ギンレイホール【番外編】ギンレイ通信について

前に予告しておいたギンレイホールの、知る人ぞ知る「ギンレイ通信」について語る日が遂に来た。

これを書きたくてたまらなかったのだ。

かつて全盛を誇った名画座は、どこでもおよそ似たような小さな上映スケジュール表を作って配っていたものだ。今でもそうに違いない。というのは最近ではもっぱらギンレイホールに通い詰めていて、昔は大いに通った早稲田松竹にもこのところ、とんとご無沙汰してしまっているので、正確には思い出せないのだ。

いずれにしても、ギンレイホールが定期的に発行している「ギンレイ通信」は本当に素晴らしい。僕はとても気に入っている。これを集めることが大変な楽しみになっていて、今回はこれを紹介したい。

 

とても小さな簡単なものである。このコンパクト感が先ずは不可欠で、貴重だ。まあこれはどこの名画座でもそうだろうが。

四つ折りになっていて、見開くと4回分の上映スケジュールが一覧として見ることができるようになっている。現物がこれ。百聞は一見にしかず。

最新のものがこれだ。

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ギンレイホールの上映サイクルは、前から言っているように、二本立てを2週間上映するというスタイルである。このギンレイ通信には、4回分の上映スケジュール、具体的な上映作品と上映時間、そしてその映画そのものの必要最低限の情報が記載されている。例えば監督や俳優陣、おおよそのストーリー紹介などだ。

他に、その映画をPRするに不可欠な様々な受賞歴や場合によってはキネマ旬報ベストテンの順位などが非常に分かりやすく掲載されている。

ちなみに最新の通信ではこんな感じである。f:id:atsuatsutakechan:20191002090109j:image
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拡大してみよう。こうな感じで紹介映画がコンパクトに紹介されている。裏面には例のパスポートとギンレイシネマクラブの案内、それと毎回、上映映画の監督のコメントなどが紹介されている。ちなみに、これはとっても楽しみにしている次回の上映作品。

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中々いい感じだと誰もが思うに違いない。

映画の時間(長さ)、受賞歴等に続いて監督と主演の紹介。その後に続く、簡単な内容紹介というかストーリー紹介がこれまた絶妙だ。いつも5行と決まっている。字数にして120字。

この120字に盛り込まれた内容がいつも本当にお見事としか言いようがない。実にコンパクトにまとまっていて、読む者にこれはどうしても観たい!と思わせるに十分だ。一体、これはどなたが書いているものなのか、気になってならない。通信の裏面に、編集:ギンレイ通信編集部との記載があるが、実際にはどなたが書かれているのだろうか?

もしかしたら、上映作品を決定している久保田支配人ご本人直々に書かれているんだろうか?その簡潔にして内容も的確に知らしめる文章力に感嘆。中々こんな風に書けるものではない。

 

2週間で上映映画が入れ替わり、4回分が紹介されるということは、このギンレイ通信は8週間毎に発行されることになる。約2ヶ月に一回ということだ。正確に言うと少し違う。見開きで4回分の上映スケジュールが紹介されるのだが、その通信の最終上映作品の紹介は、次回の通信の最初に掲載される仕組みとなっている。

2回分の通信を見ると、古い方の最後が新しい通信の最初に載ることになる。これは常にそういう仕組みになっている。だから、2ヶ月に一回ではなく、正確には1ヶ月半毎の発行となり、新たな映画の紹介としては3回分が掲載されることになる。

僕はもうこの通信の発行が楽しみでならない。今、手元にある通信の最後の上映作品が始まるタイミングで、次回の通信が発行されるわけである。

新しく発行された通信を手に取って広げる時のワクワク、ドキドキ感がたまらない。今後1ヶ月半の上映映画がここで明らかになる。6本の上映映画の顔ぶれだ。

こうして、ギンレイ通信はギンレイホールに通う映画ファン、特に例のパスポートを持っているギンレイシネマクラブの会員にとって、必須にして最も大切なアイテムとなる。

 

この通信は毎回、紙の色が違うのである。これがまた楽しい。センスの良さを感じる。過去の通信を広げてみるとこのとおり。

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正確に何色を使い分けているのか不明だが、これを見る限り、9色のようだ。10回目に元の色に戻っている。中々いいでしょう?

 

これだけの内容だと、上映期間が終了しても直ぐに捨ててしまうことができない。記念として大切に保存することになる。

ちなみに僕はこれをクリアファイルに保存している。折りたたんだ状態だと、却って保管が難しく、一目で過去の上映作品が分かるように広げて保存している。

実は、これを保存しているので、今回、僕がずっとシリーズで書き続けている「ギンレイで観た全映画を語る」の基本データが書けるわけだ。非常にありがたい。

こんな感じで、ファイリングしている。

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こんなファンもいるのである。ギンレイホールの全スタッフに知ってもらいたいものだ。久保田支配人、どうか皆様によろしくお伝えください。

これからも新しい通信の発行を楽しみに待ち続けたい。

 

 

ギンレイで観た全映画を語る9

ギンレイホールで観た全ての映画を語るシリーズの第9回目です。

ドンドン進めて行こうと思います。上映時期を見てもらうと分かりますが、今回紹介する映画は去年の3月〜4月にかけてギンレイホールで上映された映画です。今からちょうど1年半前ということになります。まだまだ道のりは遠いですね。紹介作品数もまだ半分にも到達していません。

急ぎましょう。

 

27.2018.3.10〜3.23

久々の邦画の2本立てとなった。前にも言ったが、ギンレイホールでの邦画の上映は、およそ3ヶ月から4ヶ月に一回程度のサイクルで回ってくるが、選りすぐりの名作、話題作が多く、お客さんの入りも概して多い。邦画が上映されているときはかなり混んでると覚悟が必要だ。

この時の2本も、いずれも非常に世評の高かった作品で、ほぼ満席に近かった記憶がある。

 

◯ 幼な子われらに生まれ  日本映画

  監督:三島有紀子

  主演:浅野忠信田中麗奈宮藤官九郎

 

これは再婚した夫婦と妻の連れ子の家庭ドラマ。今の日本の世相を反映した映画なのだろう。中々切実で感情移入しやすい良心作だった。

妻の連れ子と一家3人で暮らしているバツイチ同士のカップルに待望の赤ちゃんができた。ところがそんな状況の中、血の繋がらない連れ子の娘が、「この家は嫌だ、本当の父親に会いたい」と言い出す。どう接するのか?実の父親に会わせるのか?この血の繋がらない父娘はどうやって幸せな家庭を築いていくのだろうか。

直木賞作家、重松清原作の待望の映画化らしい。

俳優が何とも豪華でこの顔ぶれを観るだけでも一見の価値がある。

浅野忠信は最近では非常にエクセントリックな役柄が多く、例の「淵に立つ」など、その存在そのものが恐怖=畏敬の対象になるほどだが、ここでは悩みつつも極めて家庭的な優しい夫と父親役を演じる。こういう役柄でもちゃんといい味を出すあたり、浅野忠信は本当に大したものだと思う。

田中麗奈は難しい役どころだが、複雑な感情をうまく表現していて、僕はかなり好感を持った。絶賛に値する。

特筆すべきはあの有名な脚本家のクドカンこと宮藤官九郎が大事な役で出ていることだ。

田中麗奈の別れた前の亭主。仕事にも就かず、遊び呆けているどうしようもない男。連れ子の父親な訳だが、このクドカンのダメ男ぶりがいい。全く違和感がなく、正に地でやっている感じ。

 

ごくありふれた普通の家庭を築くことがどれだけ大変なことなのかを思い知らされる一本。

 

◯ 映画  夜空はいつでも最高密度の青色だ

                                      日本映画

  監督:石井裕也

  主演:石橋静河池松壮亮松田龍平

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これはこの年のキネマ旬報ベストテンのベストワンに輝いた話題作。2017年に公開された全ての日本映画の中の最高傑作と評価されたわけで、期待するなと言う方が無理。しかも主人公は看護師だと言う。病院勤務の僕としては否が応にもボルテージは上がるばかりであった。

 

タイトルが変わっている。「夜空は最高密度の青色だ」という名前にわざわざ「映画」と付くのである。元々、夜空は最高密度の青色だという詩集があって、それの映画版だということらしい。原作が存在するものはみんなそうじゃないかと言ってみたくなるが、この映画のタイトルには、冒頭に映画と付けなければならない。

都会の病院で働く看護師の青春模様を淡々と描く。仕事への不満や悩みがあって、恋人ができて、親しい人の死に直面して。少し障害を抱えた恋人との恋愛模様が中心となるが、言ってみればそれだけのこと。

繊細な描写が続き、悪くはないのだが、このヒロインのナースがどうにも煮え切らず、僕は最初から最後まであまり好感を持てなかった。

大体、ナースというのは元気な人が多く、そうでないとこんなハードな仕事はこなせない。元気でエネルギッシュな人が多い。

ところが、この映画のヒロインは、どうして自分がナースになったのか、夢も希望もなく毎日ジクジク、ウジウジしっぱなし。

そういうナースの生き様に却って共感を感じるナースもいることだろう。でも、僕には違和感があった。

ウジウジ、ジクジクする背景とか精神状況、彼女の孤独の闇をじっくりと描いてくれれば、それはそれで見応えのあるものになったと思うが、そのあたりが描かれない不満が最後まで残ってしまう。察して欲しいということかもしれないが、僕は勝手にいじけてればいいよ!と思ってしまうのだ。冷た過ぎるだろうか。

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僕が親しくしている映画仲間のナースも、共感できなかったとの厳しいお言葉。こういう映画があってもいいのだが、これがベストワンはないというのが率直な感想。

パターソン同様に、どなたか、それは見方が浅過ぎる。全く映画の本質を理解していないとアドバイスしてもらえないだろうか。

 

思わぬ拾い物は、この映画のパンフレットが実に作りのいい素晴らしい代物だったことだ。とにかく分厚くて、色々な情報が満載だ。ところが、皮肉なことにあまり読む気にもならない。珍しいこと。誰か怒ってほしい。

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28.2018.3.24〜4.6

暗めの邦画2本立ての後のハリウッドの大作2本が嬉しかった。この2本には満喫させられた。どちらも超話題作だったので、ご覧になられた方が多いのではないだろうか。

 

◯ ドリーム  アメリカ映画

 監督:セオドア・メルフィ

 主演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンシー、ジャネール・モネイケビン・コスナー

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1950年代、米ソが宇宙開拓の凌ぎを削っていた時代の、今まであまり語られることのなかった黒人女性スタッフ達の活躍振りを描いた感動作。

これは誰からも愛される素晴らしい作品だ。あの黒人への蔑視が当たり前の時代にあって、しかも女性。二重の差別の中で、NASAという時代の最先端の科学技術を求められる職場で、激しい偏見と闘いながらも、立派な功績を残した黒人女性たち。素直に感動できる。

天才的な才能に恵まれた3人のヒロインはいずれも素晴らしいが、上司役を務める久々の銀幕登場のケビン・コスナーが最高だ。彼のリーダーシップに熱くなる。

それともう一人、出番こそ少ないが、アメリカで初めての有人飛行を成し遂げたあのジョン・グレン役にゾッコン。彼が偏見を持たずにヒロインを高く評価する姿があまりにもカッコよくて、惚れ惚れする。

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人種差別と女性差別を声高に叫ばなくても、そんな偏見を捨てなくてどうするんだということがヒシヒシと伝わってくる実にいい映画。

 

ダンケルク  アメリカ映画

 監督:クリストファー・ノーラン

 主演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン・=カーニー、ジャック・ロウデン他

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いよいよダンケルクの登場だ。クリストファー・ノーランダンケルク‼️

これはすごい映画だった。僕は度肝を抜かれたというか、その見事な語り口と想定外の強烈な映像に完全に圧倒されてしまった。

今回は監督のクリストファー・ノーランのことを強調しなければならない。ノーランは現在、世界で最も期待される最高の映画監督の1人。僕も大好きだ。

イギリス出身のノーランは今はハリウッドで映画を作り続けているが、ハリウッド映画の中で唯一、作家性を保った稀有な存在と呼ばれる。

ノーランを一躍世界のトップ監督に押し上げたのはあの「ダークナイト」。このダークナイトを熱愛している映画ファンがどれだけいることか。かく言う僕もその一人。

あのバットマンの新シリーズで、世界の映画ファンの度肝を抜いた。

ヒース・レジャーのジョーカーの造形が尋常じゃない。あのダークでいて妥協を許さない徹底的な描写。驚異の映像美。みんなこのダークナイトを観て、ノーランに心を奪われた。

その後も「インセプション」や最近の「インターステラー」まで、全ての映画が問題作にして名作ばかり。正に天才と呼ぶべき存在だ。

 

その天才ノーランが作ったダンケルク第二次世界大戦のあの特殊なエピソードを如何に描くのか!?

皆さん、ダンケルクのことをどこまでご存知だろうか。いかにもカッコいい名前もあって、そこで大激戦が繰り広げられたと想像しているかもしれないが、そうではない。これは連合国の負け戦、ひたすら逃げまくった戦いなのである。激しい戦闘シーンを期待してもダメ。そんなものは元々なかったのだ。

 

フランスのダンケルクに集結した全く勝ち目のない40万の英仏連合軍を、迫りつつあるドイツ軍から如何に救出するか。それはズバリどうやって逃げたのかということだ。だからダンケルクを描いた映画は過去に何本もあるが、いずれもえっ!何これは?という期待外れの映画となってしまう。それでも繰り返し繰り返し、描かれのはどうしてなのだろうか?

 

それを明らかにして、新たなダンケルクを描き切ったのが、このノーランのダンケルクというわけだ。

激しい戦闘場面など皆無の、不安と焦りだけの救出劇をどうやって描くのか、どうやって緊張感に満ち溢れた映画にまとめ上げるのか。ノーランの答えがここにある。その力量たるや、感嘆するしかない。それほど、この映画には独特の語り口と創意工夫、そして何よりも映画的興奮に満ち溢れている。

 

普通に描いても盛り上がるはずがない逃走劇をノーランは天才的な発想で描く。ダンケルクを空と海と陸の三ヶ所からの別々の視点から描くのだ。ほとんど会話は出てこない。ひたすら映像と音と音楽だけで、この緊迫した状況を描いていく。すごい。僕は圧倒された。これは本当の天才でないと作れない稀に見る傑作。

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一切の先入観を捨てて、ただひたすらこの映像と音の世界に身を委ねて欲しい。後はそれをどう感じるかというに尽きる。

これは問答無用の体験する映画である。黙ってこの世界に身を委ねるべきだ。

 

これで通算51本。ちょうど半分くらいだろう。まだまだ続く。請う、ご期待。

 

 

 

ラグビーW杯を2日連続で観戦する

2019ラグビーワールドカップが始まった。日本で開催されるこの大会に否が応でも胸が高まる。

僕は2人の息子と、ラグビーに関して言えば娘の影響を受けて、スポーツ観戦もかなり好きな方である。プロ野球、サッカー、そしてラグビー。大相撲も大好きだし、陸上も水泳もウィンタースポーツも熱心なファンである。

と言って、自分がやるわけでは決してなく、もっぱら観戦と応援の担当である。

サッカーは長男が幼少の子供の頃から高校時代までずっと続けていたので、その影響をモロに受けた。ラグビーは、長女が高校のラグビー部のマネージャーを務めていて、その影響もあってかなり好きなスポーツとなっている。

 

2019年の今年はラグビーのワールドカップが日本で、来年の2020年は夏のオリンピックが東京でと、スポーツの最高の祭典が立て続けに自国で開催されるということで、興奮が収まらない。東京オリンピックのチケットは幸いなことに、大好きな陸上を中心に7人制ラグビーもチケットが当選し、狂喜していたところ、長男がこれまた幸運にもラグビーのワールドカップのチケットもうまく入手してくれて、嬉しい悲鳴となった。

東京オリンピックにかなりの出費がかさんだので、ラグビーは元々申し込んでいなかったし、残念ながら諦めてテレビ観戦と決めていたのだが、長男が最終申込日に運良くスムーズに申込みサイトに入れて、欲しいチケットが自由に取れる幸運に恵まれた。

大変な出費となってしまい顔面蒼白。でも、今回のラグビーのうたい文句、「4年に一度じゃない、一生に一度」と自らに言い聞かせて、なけなしのお金を注ぎ込んだという次第。

 

それにしても、開会式を含む初戦の日本vs ロシア戦を皮切りに、実質的な決勝戦とも言われるニュージーランドvs 南アフリカ、更に多分、日本の決勝トーナメント進出がかかる極めて重要な試合となる日本vs スコットランド戦の、3試合も直前になってチケットが入手できたことはラッキーとしか言いようがない。

 

で、早速、2日間連続して観戦に行って来たのである。

僕は観戦は好きだが、ラグビーのことに詳しいわけでも何でもない。全くの素人と言うに等しい。そこで、このレポートは、試合の展開とか、選手のことやラグビーの技術的なことは一切触れずに、4年に一度のラグビーのワールドカップを実際のスタジアムで観戦してきたという、ただその体験談に限定して書いてみたい。こんなレポートがあってもいいだろう。

 

全くの素人によるスタジアムでのラグビーワールドカップの観戦記だ。

 

第1日目:2019.9.20

           開会式  開幕戦 日本vs ロシア

           於:東京スタジアム

 

来年の東京オリンピックでもラグビー会場となる東京スタジアムは、いわゆる味の素スタジアムとして知られているものだ。京王線飛田給という駅が最寄り駅。東京都調布市にある。

僕はこのスタジアムは初めての来場となる。

この日の試合は開幕戦ということで、試合に先立って30分程度の開会式も行われるとのこと。その開会式は18:30からだ。息子の情報では、入場する際の所持品検査などで60分から90分もかかりそうとのことだった。仕事を早めに切り上げて、就業時間の16:30に御茶ノ水を出た。新宿まで出てから京王線に乗り換える。飛田給駅にも行ったことがない。そもそもこの駅、何て読むんだ?というレベル。ちなみに「とびたきゅう」という。この日はラグビーワールドカップ開催ということで、普段は停まらない特急も臨時停車するということで、それに乗り込むことに。

それにしても、まだ帰宅ラッシュが始まる5時前だというのに、ものすごい混雑だ。一刻も早くスタジアムへという一心でギュウギュウの特急電車に飛び乗る。周りを見るとラグビー日本代表のユニフォームを着た人がやたらと目につく。ここ新宿で早くもワールドカップへの期待が否が応でも盛り上がる。

新宿から飛田給駅まで特急で20分強だったろうか。ギュウギュウのすし詰め状態から漸く解放されて、駅に到着。改札口を出るともうそこはワールドカップ一色だった。とにかくすごい熱気。日本とロシアのユニフォームを身に纏った大柄な外国人がやたらと多いことに圧倒される。これがワールドカップを日本で開催するっていうことなんだなと妙に納得し、どんどんボルテージが上がって行く。

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この日に休みを取っていて、早めにスタジアム入りしていた娘の情報では、所持品検査ではそんなに時間はかからなかったが、ペットボトルは完全に没収されてしまったという。食料品も持ち込めないルールだが、バックの下等に忍ばせておけばそんなに厳しくはチェックされないらしい。駅からスタジアムに行く間の道路沿いにも臨時の売店が出て、飲み物や食べ物が色々と売られていたが、脇目も振らずスタジアムに直行。駅からスタジアムまで7〜8分だったろうか。

スタジアムはさすがに大きい。都内にこのスケールのスタジアムを設置するのは大変なことだと思う。とっても綺麗な建物という印象だ。スタジアムまでの道路沿いにもスタジアムに着いてからも、あっちこっちにボランティアとおぼしきスタッフが大勢出ていてとてもいい感じ。これは中々感動的だった。

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早速、チケットを出して、この入り口はと尋ねるととっても感じ良く、分かりやすく教えてくれた。広いスタジアムを最寄りの入り口から入るまでが大変だ。漸く入口にたどり着いて、所持品検査を受ける。結構な行列となっていたが、娘の言うとおりそんなにチェックは厳しくない。カバンを開けて、上から簡単に覗き込むだけ。これならおにぎりやサンドウィッチを忍ばせておけば良かった、と言ってももう後の祭り。このことはまた後で触れたい。

チケットの提示も厳しいと予想されていた。実は、僕のチケットは長男が申し込んでくれたものだった。もちろん、お金はちゃんと支払っている。最近は転売などが非常に厳しくなっているので、長男はわざわざ家族に譲ったとの委任状まで用意してくれていた。その上、身分証明書として運転免許証まで待ち合わせていたのだ。

その問題のチケット確認。これがもう拍子抜けするほど簡単だった。委任状も運転免許証も全く求められない。バーコードで読み取って、ハイ終わり!みたいな調子で驚かされた。まあ簡単で済むならそれに越したことはない。

 

さて、こうしてスタジアムの中に足を踏み入れる。

その時の感動と言ったらない。もう完全にそこは別世界であった。目の前に広い試合コートが突然、飛び込んで来る。グリーンの美しいコートだ。そしてそのコートの上に果てしなく空に向かって広大な空間が広がっている様に、いたく感動し、しばらく金縛りにあったように身動きができない。そして、コートの周りを取り囲む観客の海。何故か涙が込み上げてくる。

僕の席はカテゴリーCで、決してそんなに高価な席ではなかったのだが、場所としてはゴールラインに近く、1階席の前の方だった。最高のロケーションと言っていい。

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当たり前のことだが、全て指定席。席は決して広くはないのでかなり窮屈ではある。僕が良く行く音楽ホールやギンレイホールのような映画館ともまるで違う。当たり前のことだ。僕の両隣りはガッチリした男性で、この窮屈感は辛かったが贅沢を言ってはいけない

両隣りのお二人も太ったオッサンだなあと思っていたはずである(笑)。

 

会場の雰囲気は最高だった。至福の数時間を過ごさせてもらった。

先ずは開会式。これは30分足らずの短いものだったが、素晴らしかった。東京スタジアムは設備的にもかなり進んだスタジアムのようで、色とりどりの採光や炎が立ち上がる🔥ような演出もあって見応え十分。特にシートを使って富士山を演出する企画には目頭が熱くなった。そして歌の力、というよりも合唱の力が圧倒的だった。これは随分と感動的なものを見させてもらったと嬉しくなる。

 

そして、いよいよ試合が始まる。国歌斉唱では平原綾香の見事な君が代に感動してしまった。というのは先日のマラソンMGC開幕時の小渕健太郎の大失敗の記憶が生々しかったからだ。

ロシア国歌を歌い上げたロシア人歌手も素晴らしかった。

 

ラグビーの応援席というか観客席は両チームのどちらを応援するかによって、区分けはなされていない。サッカーがどうなっているのか良く分からないが、野球は明らかに区分されている。したがって、この日もさすがに日本代表を応援する客が大半だったが、すぐ近くにロシア応援団もいて、みんな同じ場所で日本を応援してり、ロシアを応援したり。それがなんだか妙に嬉しい。サッカーのフーリガンのような過激な応援がないところに好感が持てる。

 

試合そのものはスタート直後に日本が固くなっていることが明らかで、見ていてハラハラさせられたが、見事に大逆転。松島のハットトリックを目の前で見られて感動。松島のトライと言えば、あの幻のトライとなった2つ目のトライは目の前で繰り広げられただけに、複雑な心境だった。それにしてもレフリーは良く見ているものだ。

とにかくこのワールドカップの日本戦を目の前で見ているというのは充実感が半端ない。しょっちゅう沸き起こるウェイブにも全力で応じる。近くで沸き起こる「ロ!シ!ア!」の大声援に負けじとこちらも、「ニッポン、チャチャチャ!」で応戦。手が痛くなってきて辛いが、中々楽しい。

 

そんな中で唯一閉口したのは食べ物の件。持ち込み禁止ということで、手元には何も食べるものがない。会場内で買えばいいと気軽に考えていた。娘からものすごい行列だよと連絡が入ったが、聞きしにも勝る大行列。全く並ぶ気にすらならない。ものすごい長蛇の列。

それはトイレも一緒で大いに閉口させられたが、飯にありつけないのはかなり辛い。結局、スタンドの客席まで売りに来るビールを2杯飲んだが、全く飯を食べることができずに10時近くまで過ごすことになってしまった。これは何とかしてもらわないと酷すぎると運営サイドに怒りの矛先が向いてしまう。

 

そもそもビールだって350mlの缶ビールが700円というのはどう考えても高過ぎるだろう。3杯飲んだら2,100円はいくら何でも高過ぎる。暴利を貪っている!

そんな不満がありながらも、ロシア相手に快勝したこともあって、正に至福のひとときを過ごすことができた。

帰りは特急で京王線の特急で新宿まで戻ったのだが、飛田給駅で座ることもできた程空いていて快適だった。

 

第2日目:2019.9.21

           ニュージーランド vs 南アフリカ

           於:横浜国際総合競技場

 

ロシア戦の興奮覚めやまぬまま、翌日はニュージーランド vs 南アフリカという実質的な決勝戦とも言われる好カードを、今度は横浜に見に行った。

僕は特段ラグビーに詳しいわけでもなく、また一方で日本戦だけを応援するというのでもなく、本当にいいラグビーの試合を生で見たい、その一心であった。とすればこのPOOLBのニュージーランド南アフリカの試合が最高だ。しかも試合会場は我が家からはかなり近い横浜国際、いわゆる日産スタジアムだ。これはありがたい。そして、もう一つ。僕は何としてもあのオールブラックスのハカを生で見てみたかったのだ。どうしてもあの声を生で聞いてみたかった。

 

この日は僕の合唱団、東京フリューゲルの練習日、練習終了後は必ず仲間と一緒に飲みに行くことを常としている僕としては、少し後ろ髪を引かれたが、先日、この飲み会の後、例の大怪我を負ったこともあって、今回は迷うことなく一路、日産スタジアムの小机へ。

横浜線が大混雑だろうと覚悟をしていたが、アレっと思う程ガラ空きで肩透かし。昨日は日本戦だったからあんなに観客が集まったが、今日はいくらいいカード、あのオールブラックスが出るとは言っても会場はガラ空きなのかと嫌な予感がした。

小机に着く。そんな心配は全くの杞憂であることが良く分かった。昨日の飛田給駅に勝るとも劣らない人だかりだ。

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小机からスタジアムまでは畑の中を歩いて行くような所であるが、そんなに離れているわけではない。だが、この日は交通規制が行われていて、随分と回り道を強いられた。これは仕方がないことだろうか。目の前に大きなスタジアムが近づいてくるのに、一向にたどり着けない、そんな焦燥感に駆られる。

この日の試合は昨日の開会式と同じ時間、つまり夜の6時半からだった。合唱団の練習後に都立大学駅から駆けつけたので、到着は6時を回った。もう辺りはすっかり暗くなっている。

所持品検査もチケット確認も昨日の東京スタジアムと全く一緒。ここはいとも簡単にスルーできた。時間が迫っていたので、大慌てでスタジアムに入る。

 

この日産スタジアムは2002年の日韓同時開催のあのサッカーワールドカップの時に建設されたものだ。あの時もここで決勝戦が行われた。今回のラグビーワールドカップでも決勝戦はここで開催されることになっている日本最大のスタジアム。収容人数は72,000人強。昨日の味スタこと東京スタジアムは、50,000人弱なので、やはりこちらの方が遥かに大きい。中々入口にたどり着けない。漸く到着するも、今日は2階席。この2階席というのが中々大変で、2階とは言っても階段を5階分も6階分も上がって漸く到着するという代物だ。

息を切らせて漸くスタジアムの中に入る。と、やっぱり昨日同様に目の前に広がる大空間に身体中が衝撃を受ける。昨日よりも更に広い。しかも収容人数を増やすために東京スタジアムよりも角度のきついすり鉢状になっている。

わあ!広いなあ。すごい空間だなあ、とやっぱり金縛りのように立ち尽くしてしまう。とんでもないところに入って来たという他に喩えようのない不思議な感覚に身体が興奮する。

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昨日よりもずっと上の方の席であったが、ここでは客席の角度がキツく、逆に言うと前の席が下がっているので、視界を遮るものは何もなく、正に目の前に広大なコートがそのもの広がっている感じなのだ。これはこれで素晴らしい。爽やかな風が通り抜けて、実に気持ちがいい。席の窮屈さは昨日と変わらなかったが、幸いこの日は左側は小柄な女性。右側はたまたま空席でこれは何ともラッキー。広い空間で思う存分応援に没頭できた。

元々日本戦ではないため、昨日よりも外国人が多い。しかもやっぱりニュージーランド南アフリカの応戦席は全く区分けされていないため、すぐ近くにニュージーランドの応援団もいれば、南アフリカの応援団もいるという状況。これが何とも素晴らしい。周囲の日本人はほとんどがニュージーランド、つまりオールブラックス目当てに来ていることは明白だったが、前後に南アフリカを応援している外国人が大勢いて、それでも全く諍いなど起きない。

これは正にラグビーという競技そのものが持ち合わせている美徳なんだろうとつくづく思う。

本当にラグビーというスポーツは、試合中はあんなに激しく、正に格闘技そのものなのに、終了のホイッスルが吹かれた途端にノーサイド。直ぐに敵チームの選手と抱き合い、お互いの健闘を讃え合う姿が目につく。

 

前回のワールドカップで日本が例の南アフリカに勝利するという世紀の番狂わせを成し遂げた際の五郎丸選手のコメントが忘れられない。勝利の瞬間、日本チームは大はしゃぎをしていたが、南アフリカの選手が寄ってきて日本の選手を讃えたという。それが恥ずかしかったと。

そういうスポーツなのだ。素晴らしいことだ。その精神が応援にも乗り移る。誠に気持ちのいい応援なのである。

 

ハカを目の前で見ることもできた。あの広い会場の中、マイクも何も使っていないのに、スタジアム中にあのハカの雄叫びが轟音のように響き渡る様に凍りついた。本当にすごいものだと驚嘆させられた。これを体験できただけでも25,000円の価値があったというものだ。

試合も、押し込まれていたニュージーランドが最後にはその実力を思う存分発揮して逆転勝利。お目当てのボーデン・バレットのトライも見ることができて、最高の夜となり、満足して帰途についた。

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こうして、始まったばかりのラグビーワールドカップの試合を2日連続してみることができて、未だに興奮が覚めやらない。

あの後、食べ物の持ち込みも認められることになった。あまりにも不満が噴出したかららしい。大会がスタートした後で、そんな基本的なルールが変更になるというフレキシブルな対応にも、いかにも観客サービスを優先するようで、好感を持った。

 

昨日は日本がアイルランドに逆転勝利するという奇跡も起きて、このワールドカップから目を離すことができそうにない。