こんな本を読んできた 総論1:文学

さて、僕が読んで来た本、好きな本を具体的に紹介していきたい。先ずは総論だ。

僕は様々なジャンルのものを読むが、基本的には純文学と評論、そしてノンフィクションが中心。3本柱と言っていい。実はもう一つ、漫画という愛してやまないジャンルがあるのだが、これは今回の本とは一応切り離すことにしたい。僕は手塚治虫白土三平の熱烈な愛読者で、この二人の漫画のコレクションが部屋を占拠している。だからいずれ漫画についても書かなければならなくなるが、今回の本とは切り離すことにしたい。

 

純文学はハッキリ言って古典。もう名作との評価が揺るぎないものだ。誰でも知っている古今東西の著名な作家の作品を熱心に読んでいる。様々な作家の作品を色々と読むタイプではなく、気に入った作家に巡り合うと、その作家の作品を徹底的に端から全て読みたくなるタイプ。このあたりは音楽、映画と全く一緒で相変わらずの凝り性の真骨頂。

 

今まで僕が夢中になって読み込んできた、そして折に触れ今でも読んでいる主な作家は、外国人では何と言ってもロシアのチェーホフチェーホフには高校時代から熱を上げていて、今でも繰り返し読み続けている。

かもめ、三人姉妹、桜の園などの名戯曲も素晴らしいけれど、僕はチェーホフの短編小説に夢中だ。「退屈な話」や「6号室」など、本当にすごい小説。好きな小説は無尽蔵にある中で、僕が殊の外、気に入っているのは「黒衣の僧」。これはすごいです!読むたびに震えが止まらなくなる。話しの恐ろしさとその完璧なまでの状況設定と芸術的完成度に。

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そして、やはりドストエフスキーは外せない。同じロシアでもチェーホフとは似ても似つかない存在だが、やっぱりドストエフスキーは人類最高の作家と呼ぶしかないかな。亀山郁夫による一連の新しい訳が出て、本当に読みやすくなった。「カラマーゾフの兄弟」はどうしても読んでおきたい最大の問題作。これを読まずして文学と人間と社会と神を語るなかれ、と言ってしまいたくなる。とにかく深い。とてつもなく深い。

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ドイツのトーマス・マンにも夢中。特に彼の短編小説には本当に心を奪われた。「トニオ・クレーゲル」を熱愛している。

音楽ではあれだけフランスものに熱中している僕も何故か文学では、夢中になっている作家は特にいない。カミュはかなり読んだが、大好きとか夢中とは言えないな。

むしろ、中国の魯迅は本当に素晴らしいと思う。中学の国語の教科書に載っていた「故郷」で魯迅に開眼。阿Q正伝や狂人日記、吶喊に収められた短編の数々には読むたびに感動させられる。

 

日本の作家の方が好きな人が多い。やはり夏目漱石芥川龍之介の二人は、もう別格的な存在だ。この二人は日本の至宝、いや世界の至宝としか言いようがない。但し、芥川龍之介は読む人を幸せにしない、むしろ人を絶望させるものばかりだから、注意が必要だ。僕はこれまた高校の教科書であの「鼻」を読んで、不幸になった。何という人間観察。実に恐ろしい。人間の本質、人間の精神の本質、その醜さと残酷さをここまであからさまにした人はこの人しかいない。

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有島武郎が大好きなのだ。この人のことを考えるといたたまれなくなる。散々苦しんで小作人を解放し、最後は愛人と情死。本当にここまで誠実で、社会問題を自分のことと考えて苦しみ抜いた人はいない。「或る女」が超ド級の傑作。妻に先立たれた後、幼い子供達に向けて書いた「小さき者よ」。これは本当に涙が止まらなくなる。そして評論の「惜しみなく愛は奪ふ」が圧巻。「二つの道」も僕を救ってくれた掛け替えのない文章だ。

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太宰も片っ端から読んだけれど、そんなに夢中になることはなかった。もちろん嫌いじゃないけれど。

そして僕が一番愛してやまない作家は、誰よりも中島敦古今東西の全ての作家の中で、一番好きな作家はと言われたら、もう迷うことなく中島敦。自分がこの人と同じ名前であることが死ぬほど嬉しい。僕の秘めたる誇り。

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これも教科書での出会いである。高校の国語の教科書に載っていた「山月記」。これがもう好きで好きでたまらない。本当に素晴らしい作品だと感嘆するだけではなく、あの主人公李徴の苦しみと絶望は僕には痛い程、良く理解できて、自分のことが書かれているのではないかと空恐ろしくなった。いつか僕も虎になってしまうんじゃないかと恐れおののいた程だ。

中島敦と言えば、山月記の他にも「李陵」「弟子」「名人伝」など、中国の古典に題材を取った格調の高い作品で知られているが、現代ものがこれまたものすごい。過去帳と名付けられた「狼疾記」と「カメレオン日記」の二編が圧巻。是非とも読んでいただきたい。それとわが西遊記と名付けられた「悟浄歎異」と「悟浄出世」の二篇。これらを読んでもらえれば中島敦の現代人としての底知れぬ苦悩を体感できる。そしてまたそこからの脱却も。

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他にも色々と読んでいるが、作家そのものに惚れ込んで、とことん読み尽くした作家は大体こんな感じである。

次は、純文学以上に夢中になって読み続けている評論とノンフィクションの作家達について。

遂に本の感想と紹介を始めます

この熱々タケちゃんブログもスタートして半年が経過しました。この間に投稿した記事は今のところ全部で42編。ひとつ一つが非常に長いので(笑)、普通にカウントすれば、もう分量的には軽く100編は超えているのではないでしょうか。

ちなみにブログのスタートは昨年(2019年)の8月14日。暑い盛りでした。今日は2月6日、この冬一番の寒さで、北風も強く外ではコートを着ていても寒さが身にしみた一日でした。真夏から真冬へ。何だか感慨深いものがあります。

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今まで投稿した全42編の記事はほとんどが映画に関するものでした。ギンレイホールで観た映画の紹介がほぼその中心を占めています。

映画はもう死ぬほど好きですが、僕は同じくらい好きなもの、興味の対象が他にも色々とあるんです。

何と言ってもこれでも一応合唱指揮者の端くれで、東京フリューゲルという20年間に渡って天塩にかけて来た合唱団での活動があります。そして合唱に限らず、ありとあらゆるジャンルのクラシック音楽が好きで、45年間に渡って集めたCDが約3万枚。いや、本当にこれは枚数がまるで分からない。5万枚近くあるような気もします。

映画のDVDとブルーレイは3,000枚から5,000枚といったところでしょうか。

実はそれだけではなく、僕は根っからの本の虫なんです。とにかく本を読む。本を買って読む。図書館には一切行かず、自分で買って、本を読む。

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この波乱万丈の我が人生。本を読むことで、何度か訪れた人生の様々な深刻な危機を乗り越えて来たました。僕から本を取ったら何も残らないというくらいに、僕に取っては本は大切。ここからありとあらゆることを学んで来たと断言できます。

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そんな僕なので、ブログを書き始めた当初から念頭にはあった本に関する記事。書評なんていうのはおこがましい。読んだ本、今まで過去に読んで来た本の感想と紹介、様々な場面で我が悩み多き人生を救ってもらった本との出会いなど、そんなものを書いてみたい。

但し、これが中々厄介。かなり気が重いのです。

本のことは、今、書きまくっている映画の紹介のように気軽に書ける代物ではないのです。本の感想と紹介は、神経を使います。映画のように自分の感性だけに基づいて、勝手なことを言いたい放題言っているのとは訳が違います。これは大変だとプレッシャーに押し潰されそう。だが、これを避けてはとおれません。

どうしても書かないわけにはいかないのです。

まあ、できるだけ肩肘張らず、気楽に書いていこうと思っています。読者の皆さんもどうかお気軽にお付き合いください。

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ちなみにか我が家にどれだけの本があるのか、数えたことはありません。書棚と本棚の類が我が家に7本あって、その全てが僕の蔵書で埋まっています。しかもほとんど全てが手前と奥の2列にギッシリと詰め込まれているので、相当な量になると思われます。

それとは別に外付けのプレハブがあって、そかにも本がビッシリ。

本当に数えたことはが全くありませんが、2万冊から3万冊くらいでしょうか?

全く想像もつきません。

書棚の外観を写してみました。まあ、こんな感じですね。

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女房に目の敵にされている僕の一連のコレクションの一部ということになります。

家の床が抜けないか、それが家族の一番の心配事。本は重いんです。

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この後は、少しずつ僕の読んできた本について紹介していこうと思います。

どうかお付き合いください。

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ギンレイで観た全映画を語る14

ギンレイホールで観た全映画を紹介するシリーズの第14回目です。ドンドン進めます。

 

38.2018.8.11〜8.24

シェイプ・オブ・ウォーター アメリカ映画

 監督:ギレルモ・デル・トロ

 出演:サリー・ホーキンスマイケル・シャノンリチャード・ジェンキンス

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2017年のアカデミー作品賞に輝いた傑作の登場だ。この年のアカデミー賞では作品賞だけではなく、監督賞も獲得。更に音楽賞と美術賞も獲得したこの年の最大の話題作と言っていい。作品賞と監督賞の二冠は大したもの。

このオスカーを獲得したギレルモ・デル・トロ監督は以前より映画界では一部熱烈なファンを持つ、知る人ぞ知る鬼才。

 

何と言っても10年ちょっと前の2007年に公開された『パンズ・ラビリンス』が大変な傑作で、これを観た映画ファンはたちまちこの映画と監督に心を奪われてしまったのだ。もちろん僕もその一人。

 

更にギレルモ・デル・トロ監督は日本のアニメの熱狂的なファンとしてつとに有名で、それにちなんだ作品も多い。日本と非常に縁の深い監督なのである。

その一部ファンから熱烈に注目されていたギレルモ・デル・トロ監督が遂にアカデミー賞の監督賞に輝き、作品賞まで獲得したことは世の映画ファンを狂喜させた。

 

で、このシェイプ・オブ・ウォーターである。感動的な素晴らしい作品という他はない。

東西冷戦の真っ只中、アメリカの軍事基地で未知なる生物が捕獲されていた。地球外生物というか異形の生物。軍事基地で研究対象とされてひどい扱いをされていたのだが、またまたそこで清掃を担当していたパッとしない吃音の女性がその存在を知って、人目を忍んで交流が始まる。やがてその異形生物を殺処分することが決まってしまうのだが、彼女は「彼」を何とか救い出そうとする。軍を相手にどうやって救い出すのか?

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サスペンスとしても実に良くできていて、ハラハラドキドキのしっぱなしだが、ここは何と言っても異形ではあるが、彼女が心底愛してしまった「彼」との間に芽生える愛の行方から目が離せない。いわばマイノリティの愛の成就を固唾を飲んで見守ることになる。そしてやがて訪れる悲劇。でも、それが単なる悲劇で終わらないところがいかにもデル・トロだ。それは観てのお楽しみ。

 

ヒロインを演じたのは前回紹介したあのモード・ルイスを演じたサリー・ホーキンス。美人でも何でもないのにこの存在感となりきり感はすごい。全く大した才人だ。

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これは正しく必見の名作なのだが、一つだけ困った点が。ストーリーの本筋と離れたところで品のない露骨なSEXシーンがかなり出てくる。かなり過激なエロシーンで、家族揃って観るわけにいかない代物。困る。

ストーリー的には是非とも子供にも観せたい作品なのに、余計なシーンのおかげでとても観せられない。これはダメだよね。

どうしてあんなにSEXシーンばかり入れるんだろうと訝しがっていたところ、職場の映画仲間曰く「それは決まってます。このマイノリティの愛に比べて人間どもの愛が如何に愛情の欠落した快楽だけを求めたダメなものになっているか。それに比べてあの異生物と彼女の愛は崇高なものだと描きたいんだ」と。

う〜ん。なるほど。これには眼から鱗。僕の映画鑑賞眼も大したことないなと恥じた次第。

でも実際に、あれは困る。家族と一緒に観たいのに〜。そう思っている人、かなり多いと察します。

 

この映画を気に入った方は、是非とも『パンズ・ラビリンス』を!正直に言うと、僕はパンズ・ラビリンスの方が遥かに好きだ。あのスペイン内乱に題材を取った素晴らしいファンタジー。正に必見。エロいシーンも皆無で、これは心の底から感動できる名作。

 

 

ナチュラルウーマン チリ・アメリカ・ドツ・スペイン合作映画

 監督:セバスティアン・レリオ

 出演:ダニエラ・ヴェガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニエッコ 他

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僕は何度か触れてきたが、どうもLGBTは苦手なのである。こんなことを言ってはいけないと思いつつも、本当のことだから仕方がない。トランスジェンダーについてもあまり良き理解者ではなかった。

このナチュラルウーマンはずばりトランスジェンダーの「女性」を描いたものだ。この後昨年12月に観た例の「ガール」で、僕のトランスジェンダーに対するイメージは一変したのだが、この映画を観た当時はまだトランスジェンダーの何たるかも全く理解しておらず、気の毒だなあ、ひどいなあと思いながらも、本質的な理解はなかったと言っていい。

 

トランスジェンダーのヒロインが付き合っていた男性がある日、あっけなく亡くなってしまう。同性愛に対する偏見はすさまじく、遺族から徹底的に忌み嫌われ、葬儀にも顔を出せない。周囲から排斥される辛い生き様と、何とかそれに立ち向かおうと必死に前向きに生きる姿を感動的に描く。

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このナチュラルウーマンを観た段階ではトランスジェンダーのことを全く理解していなかった僕も、『ガール』を観た今日、もう一度観れば相当に感銘が深くなっていることと思われてならない。それくらい真摯に描かれた誠実な作品ではあるのだ。「ヒロイン」のマイノリティならではの悲しい表情と、それに立ち向かう決然とした表情、そのいずれもが、脳裏から離れない。

 

39.2018.8.25〜9.7

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 アメリカ映画

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 出演:メリル・ストリープトム・ハンクス、サラ・ボールソン 他

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これはスピルバーグの久々のクリーンヒット。とても良い映画に仕上がっていて素晴らしい!

 

ここでスティーヴン・スピルバーグのことを語っても膨大な字数を要するだろうし、また別の機会にしたいが、いずれにしてもスピルバーグは、本当に桁外れの力量を持った天才としか言いようがないのは事実だ。

僕はほんの数本を除いてほぼ全てを観ているが、本当にこの人が映画の歴史を何回も変えたことは間違いない。もうピークを超えて、後はどうだろうかと思っていたが、何の何の。ここ数年、また小粒ながらも素晴らしい作品を連発している。戦火の馬、ブリッジ・オブ・スパイ、そして今回の作品。もう80歳を超えているのに、本当にすごい。

 

ペンタゴン・ペーバーズ」は、実話の映画化である。時はニクソン政権下の1971年。泥沼化しつつあったベトナム戦争に国内の反対運動も高まる中、ベトナム戦争に関するペンタゴン文書という極秘資料があったのだが、それが表に出れば時の大統領が辞任に追い込まれるような国家機密。その文書の存在をニューヨーク・ポストがスクープ。

映画に描かれるのは、このニューヨーク・ポストのライバル紙であるワシントン・ポストの幹部の苦闘。存在の明らかになったペンタゴンペーパーを苦労の末、何とか入手したトム・ハンクスだったが、これを暴露したら時の政権から新聞差し止めとなり、下手をすると新聞社が倒産しかねない究極の選択を迫られる。夫が死んだ後の新聞社の経営を任されたばかりの経営ど素人のメリル・ストリープはどう判断し、どう対処するのか?

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実に見応えのある第一級の作品となった。

編集長は目覚えのないルックスだが、声がトム・ハンクスそっくりで驚くと、何とトム・ハンクスその人。実在の人物に近づくために顔の作りまで変え、素晴らしい演技を見せる。

それ以上に観るものを感動させるのはメリル・ストリープだ。この名女優がいつものストリープ色を廃して、とにかく静かな抑制の効いた演技を見せる。その静謐なる落ち着いた演技に注目だ。闘う経営者を如何にも勇しく、力強く演じるのではなく、控えめに自信なさげに、しかし内面では非常な決意を秘めた本当の強さを示すのは容易なことではない。これは大絶賛されていい。

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この作品は驚くほど短時間で撮影され、早く完成されたというが、スピルバーグの才能にあらためて驚かされる。

 

ザ・シークレットマン アメリカ映画

 監督:ピーター・ランデズマン

 出演:リーアム・ニーソンダイアン・レインマートン・ソーカス 他

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この作品もペンタゴン・ペーパーズ同様に、政府の重大な秘密を明らかにするために生命をかけた男の物語である。

同じくニクソン政権下。大統領を辞任に追い込んだあのウォーターゲート事件。あの事件では、内部告発した“ディープ・スロート”という隠語で呼ばれた人物の存在があったことは広く知られているが、その“ディープ・スロート”元FBI副長官マーク・フェルトの苦悩と決断を描いた実話だ。

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FBIに長きに渡って君臨し続けたあの有名なフーヴァー長官が死去した際、本来は副長官代理のフェルトがその後任ポストに就くはずだったが、時の大統領ニクソンは自分の息のかかった人物を据えて、FBIに圧力をかける。やがてウォーターゲート事件が発覚。フェルトはニクソン大統領自身による陰謀を確信し、身の危険を感じながらも正義を貫こうとするのだが。

FBIの天下の副長官が自ら内部告発することへの躊躇と上からかかる激しい圧力。そして長官就任を心待ちにする家族などとの葛藤を抱えながら、遂に考えられない行動を起こすその姿には、やっぱり感動してしまう。

 

スピルバーグの有名な「シンドラーのリスト」で主人公を演じた名優リーアム・リーソンの存在感はさすがの一言に尽きる。いかにも重厚な見応えのあるドラマだ。

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この二本は、いずれも時の権力の腐敗を告発するために自らの危険を顧みずに権力と真っ向勝負した人々の映画。アメリカという国には失望させられることも多いが、こんな感動的なこともかつてはできた国だったのだ。

それなのにどうして、今のトランプ政権のやりたい放題のデタラメ、正しい報道がフェイクニュースの名の下に排除されてしまう風潮。それに対して闘い抜く人々が出てこないのか、弾劾裁判にまで持ち込んでも何とか擦り抜けようとする手練手管のトランプ。本当に嫌になる。

 

でも、アメリカのことなど言っていられない。翻って今の日本はどうなのだ!?

もういたたまれなくなって逃げ出してしまいたくなる。どうしてこんな国になってしまった?自らへの問いかけに、力なく項垂れるしかない。どうしたらいい??