ラグビーW杯を2日連続で観戦する

2019ラグビーワールドカップが始まった。日本で開催されるこの大会に否が応でも胸が高まる。

僕は2人の息子と、ラグビーに関して言えば娘の影響を受けて、スポーツ観戦もかなり好きな方である。プロ野球、サッカー、そしてラグビー。大相撲も大好きだし、陸上も水泳もウィンタースポーツも熱心なファンである。

と言って、自分がやるわけでは決してなく、もっぱら観戦と応援の担当である。

サッカーは長男が幼少の子供の頃から高校時代までずっと続けていたので、その影響をモロに受けた。ラグビーは、長女が高校のラグビー部のマネージャーを務めていて、その影響もあってかなり好きなスポーツとなっている。

 

2019年の今年はラグビーのワールドカップが日本で、来年の2020年は夏のオリンピックが東京でと、スポーツの最高の祭典が立て続けに自国で開催されるということで、興奮が収まらない。東京オリンピックのチケットは幸いなことに、大好きな陸上を中心に7人制ラグビーもチケットが当選し、狂喜していたところ、長男がこれまた幸運にもラグビーのワールドカップのチケットもうまく入手してくれて、嬉しい悲鳴となった。

東京オリンピックにかなりの出費がかさんだので、ラグビーは元々申し込んでいなかったし、残念ながら諦めてテレビ観戦と決めていたのだが、長男が最終申込日に運良くスムーズに申込みサイトに入れて、欲しいチケットが自由に取れる幸運に恵まれた。

大変な出費となってしまい顔面蒼白。でも、今回のラグビーのうたい文句、「4年に一度じゃない、一生に一度」と自らに言い聞かせて、なけなしのお金を注ぎ込んだという次第。

 

それにしても、開会式を含む初戦の日本vs ロシア戦を皮切りに、実質的な決勝戦とも言われるニュージーランドvs 南アフリカ、更に多分、日本の決勝トーナメント進出がかかる極めて重要な試合となる日本vs スコットランド戦の、3試合も直前になってチケットが入手できたことはラッキーとしか言いようがない。

 

で、早速、2日間連続して観戦に行って来たのである。

僕は観戦は好きだが、ラグビーのことに詳しいわけでも何でもない。全くの素人と言うに等しい。そこで、このレポートは、試合の展開とか、選手のことやラグビーの技術的なことは一切触れずに、4年に一度のラグビーのワールドカップを実際のスタジアムで観戦してきたという、ただその体験談に限定して書いてみたい。こんなレポートがあってもいいだろう。

 

全くの素人によるスタジアムでのラグビーワールドカップの観戦記だ。

 

第1日目:2019.9.20

           開会式  開幕戦 日本vs ロシア

           於:東京スタジアム

 

来年の東京オリンピックでもラグビー会場となる東京スタジアムは、いわゆる味の素スタジアムとして知られているものだ。京王線飛田給という駅が最寄り駅。東京都調布市にある。

僕はこのスタジアムは初めての来場となる。

この日の試合は開幕戦ということで、試合に先立って30分程度の開会式も行われるとのこと。その開会式は18:30からだ。息子の情報では、入場する際の所持品検査などで60分から90分もかかりそうとのことだった。仕事を早めに切り上げて、就業時間の16:30に御茶ノ水を出た。新宿まで出てから京王線に乗り換える。飛田給駅にも行ったことがない。そもそもこの駅、何て読むんだ?というレベル。ちなみに「とびたきゅう」という。この日はラグビーワールドカップ開催ということで、普段は停まらない特急も臨時停車するということで、それに乗り込むことに。

それにしても、まだ帰宅ラッシュが始まる5時前だというのに、ものすごい混雑だ。一刻も早くスタジアムへという一心でギュウギュウの特急電車に飛び乗る。周りを見るとラグビー日本代表のユニフォームを着た人がやたらと目につく。ここ新宿で早くもワールドカップへの期待が否が応でも盛り上がる。

新宿から飛田給駅まで特急で20分強だったろうか。ギュウギュウのすし詰め状態から漸く解放されて、駅に到着。改札口を出るともうそこはワールドカップ一色だった。とにかくすごい熱気。日本とロシアのユニフォームを身に纏った大柄な外国人がやたらと多いことに圧倒される。これがワールドカップを日本で開催するっていうことなんだなと妙に納得し、どんどんボルテージが上がって行く。

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この日に休みを取っていて、早めにスタジアム入りしていた娘の情報では、所持品検査ではそんなに時間はかからなかったが、ペットボトルは完全に没収されてしまったという。食料品も持ち込めないルールだが、バックの下等に忍ばせておけばそんなに厳しくはチェックされないらしい。駅からスタジアムに行く間の道路沿いにも臨時の売店が出て、飲み物や食べ物が色々と売られていたが、脇目も振らずスタジアムに直行。駅からスタジアムまで7〜8分だったろうか。

スタジアムはさすがに大きい。都内にこのスケールのスタジアムを設置するのは大変なことだと思う。とっても綺麗な建物という印象だ。スタジアムまでの道路沿いにもスタジアムに着いてからも、あっちこっちにボランティアとおぼしきスタッフが大勢出ていてとてもいい感じ。これは中々感動的だった。

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早速、チケットを出して、この入り口はと尋ねるととっても感じ良く、分かりやすく教えてくれた。広いスタジアムを最寄りの入り口から入るまでが大変だ。漸く入口にたどり着いて、所持品検査を受ける。結構な行列となっていたが、娘の言うとおりそんなにチェックは厳しくない。カバンを開けて、上から簡単に覗き込むだけ。これならおにぎりやサンドウィッチを忍ばせておけば良かった、と言ってももう後の祭り。このことはまた後で触れたい。

チケットの提示も厳しいと予想されていた。実は、僕のチケットは長男が申し込んでくれたものだった。もちろん、お金はちゃんと支払っている。最近は転売などが非常に厳しくなっているので、長男はわざわざ家族に譲ったとの委任状まで用意してくれていた。その上、身分証明書として運転免許証まで待ち合わせていたのだ。

その問題のチケット確認。これがもう拍子抜けするほど簡単だった。委任状も運転免許証も全く求められない。バーコードで読み取って、ハイ終わり!みたいな調子で驚かされた。まあ簡単で済むならそれに越したことはない。

 

さて、こうしてスタジアムの中に足を踏み入れる。

その時の感動と言ったらない。もう完全にそこは別世界であった。目の前に広い試合コートが突然、飛び込んで来る。グリーンの美しいコートだ。そしてそのコートの上に果てしなく空に向かって広大な空間が広がっている様に、いたく感動し、しばらく金縛りにあったように身動きができない。そして、コートの周りを取り囲む観客の海。何故か涙が込み上げてくる。

僕の席はカテゴリーCで、決してそんなに高価な席ではなかったのだが、場所としてはゴールラインに近く、1階席の前の方だった。最高のロケーションと言っていい。

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当たり前のことだが、全て指定席。席は決して広くはないのでかなり窮屈ではある。僕が良く行く音楽ホールやギンレイホールのような映画館ともまるで違う。当たり前のことだ。僕の両隣りはガッチリした男性で、この窮屈感は辛かったが贅沢を言ってはいけない

両隣りのお二人も太ったオッサンだなあと思っていたはずである(笑)。

 

会場の雰囲気は最高だった。至福の数時間を過ごさせてもらった。

先ずは開会式。これは30分足らずの短いものだったが、素晴らしかった。東京スタジアムは設備的にもかなり進んだスタジアムのようで、色とりどりの採光や炎が立ち上がる🔥ような演出もあって見応え十分。特にシートを使って富士山を演出する企画には目頭が熱くなった。そして歌の力、というよりも合唱の力が圧倒的だった。これは随分と感動的なものを見させてもらったと嬉しくなる。

 

そして、いよいよ試合が始まる。国歌斉唱では平原綾香の見事な君が代に感動してしまった。というのは先日のマラソンMGC開幕時の小渕健太郎の大失敗の記憶が生々しかったからだ。

ロシア国歌を歌い上げたロシア人歌手も素晴らしかった。

 

ラグビーの応援席というか観客席は両チームのどちらを応援するかによって、区分けはなされていない。サッカーがどうなっているのか良く分からないが、野球は明らかに区分されている。したがって、この日もさすがに日本代表を応援する客が大半だったが、すぐ近くにロシア応援団もいて、みんな同じ場所で日本を応援してり、ロシアを応援したり。それがなんだか妙に嬉しい。サッカーのフーリガンのような過激な応援がないところに好感が持てる。

 

試合そのものはスタート直後に日本が固くなっていることが明らかで、見ていてハラハラさせられたが、見事に大逆転。松島のハットトリックを目の前で見られて感動。松島のトライと言えば、あの幻のトライとなった2つ目のトライは目の前で繰り広げられただけに、複雑な心境だった。それにしてもレフリーは良く見ているものだ。

とにかくこのワールドカップの日本戦を目の前で見ているというのは充実感が半端ない。しょっちゅう沸き起こるウェイブにも全力で応じる。近くで沸き起こる「ロ!シ!ア!」の大声援に負けじとこちらも、「ニッポン、チャチャチャ!」で応戦。手が痛くなってきて辛いが、中々楽しい。

 

そんな中で唯一閉口したのは食べ物の件。持ち込み禁止ということで、手元には何も食べるものがない。会場内で買えばいいと気軽に考えていた。娘からものすごい行列だよと連絡が入ったが、聞きしにも勝る大行列。全く並ぶ気にすらならない。ものすごい長蛇の列。

それはトイレも一緒で大いに閉口させられたが、飯にありつけないのはかなり辛い。結局、スタンドの客席まで売りに来るビールを2杯飲んだが、全く飯を食べることができずに10時近くまで過ごすことになってしまった。これは何とかしてもらわないと酷すぎると運営サイドに怒りの矛先が向いてしまう。

 

そもそもビールだって350mlの缶ビールが700円というのはどう考えても高過ぎるだろう。3杯飲んだら2,100円はいくら何でも高過ぎる。暴利を貪っている!

そんな不満がありながらも、ロシア相手に快勝したこともあって、正に至福のひとときを過ごすことができた。

帰りは特急で京王線の特急で新宿まで戻ったのだが、飛田給駅で座ることもできた程空いていて快適だった。

 

第2日目:2019.9.21

           ニュージーランド vs 南アフリカ

           於:横浜国際総合競技場

 

ロシア戦の興奮覚めやまぬまま、翌日はニュージーランド vs 南アフリカという実質的な決勝戦とも言われる好カードを、今度は横浜に見に行った。

僕は特段ラグビーに詳しいわけでもなく、また一方で日本戦だけを応援するというのでもなく、本当にいいラグビーの試合を生で見たい、その一心であった。とすればこのPOOLBのニュージーランド南アフリカの試合が最高だ。しかも試合会場は我が家からはかなり近い横浜国際、いわゆる日産スタジアムだ。これはありがたい。そして、もう一つ。僕は何としてもあのオールブラックスのハカを生で見てみたかったのだ。どうしてもあの声を生で聞いてみたかった。

 

この日は僕の合唱団、東京フリューゲルの練習日、練習終了後は必ず仲間と一緒に飲みに行くことを常としている僕としては、少し後ろ髪を引かれたが、先日、この飲み会の後、例の大怪我を負ったこともあって、今回は迷うことなく一路、日産スタジアムの小机へ。

横浜線が大混雑だろうと覚悟をしていたが、アレっと思う程ガラ空きで肩透かし。昨日は日本戦だったからあんなに観客が集まったが、今日はいくらいいカード、あのオールブラックスが出るとは言っても会場はガラ空きなのかと嫌な予感がした。

小机に着く。そんな心配は全くの杞憂であることが良く分かった。昨日の飛田給駅に勝るとも劣らない人だかりだ。

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小机からスタジアムまでは畑の中を歩いて行くような所であるが、そんなに離れているわけではない。だが、この日は交通規制が行われていて、随分と回り道を強いられた。これは仕方がないことだろうか。目の前に大きなスタジアムが近づいてくるのに、一向にたどり着けない、そんな焦燥感に駆られる。

この日の試合は昨日の開会式と同じ時間、つまり夜の6時半からだった。合唱団の練習後に都立大学駅から駆けつけたので、到着は6時を回った。もう辺りはすっかり暗くなっている。

所持品検査もチケット確認も昨日の東京スタジアムと全く一緒。ここはいとも簡単にスルーできた。時間が迫っていたので、大慌てでスタジアムに入る。

 

この日産スタジアムは2002年の日韓同時開催のあのサッカーワールドカップの時に建設されたものだ。あの時もここで決勝戦が行われた。今回のラグビーワールドカップでも決勝戦はここで開催されることになっている日本最大のスタジアム。収容人数は72,000人強。昨日の味スタこと東京スタジアムは、50,000人弱なので、やはりこちらの方が遥かに大きい。中々入口にたどり着けない。漸く到着するも、今日は2階席。この2階席というのが中々大変で、2階とは言っても階段を5階分も6階分も上がって漸く到着するという代物だ。

息を切らせて漸くスタジアムの中に入る。と、やっぱり昨日同様に目の前に広がる大空間に身体中が衝撃を受ける。昨日よりも更に広い。しかも収容人数を増やすために東京スタジアムよりも角度のきついすり鉢状になっている。

わあ!広いなあ。すごい空間だなあ、とやっぱり金縛りのように立ち尽くしてしまう。とんでもないところに入って来たという他に喩えようのない不思議な感覚に身体が興奮する。

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昨日よりもずっと上の方の席であったが、ここでは客席の角度がキツく、逆に言うと前の席が下がっているので、視界を遮るものは何もなく、正に目の前に広大なコートがそのもの広がっている感じなのだ。これはこれで素晴らしい。爽やかな風が通り抜けて、実に気持ちがいい。席の窮屈さは昨日と変わらなかったが、幸いこの日は左側は小柄な女性。右側はたまたま空席でこれは何ともラッキー。広い空間で思う存分応援に没頭できた。

元々日本戦ではないため、昨日よりも外国人が多い。しかもやっぱりニュージーランド南アフリカの応戦席は全く区分けされていないため、すぐ近くにニュージーランドの応援団もいれば、南アフリカの応援団もいるという状況。これが何とも素晴らしい。周囲の日本人はほとんどがニュージーランド、つまりオールブラックス目当てに来ていることは明白だったが、前後に南アフリカを応援している外国人が大勢いて、それでも全く諍いなど起きない。

これは正にラグビーという競技そのものが持ち合わせている美徳なんだろうとつくづく思う。

本当にラグビーというスポーツは、試合中はあんなに激しく、正に格闘技そのものなのに、終了のホイッスルが吹かれた途端にノーサイド。直ぐに敵チームの選手と抱き合い、お互いの健闘を讃え合う姿が目につく。

 

前回のワールドカップで日本が例の南アフリカに勝利するという世紀の番狂わせを成し遂げた際の五郎丸選手のコメントが忘れられない。勝利の瞬間、日本チームは大はしゃぎをしていたが、南アフリカの選手が寄ってきて日本の選手を讃えたという。それが恥ずかしかったと。

そういうスポーツなのだ。素晴らしいことだ。その精神が応援にも乗り移る。誠に気持ちのいい応援なのである。

 

ハカを目の前で見ることもできた。あの広い会場の中、マイクも何も使っていないのに、スタジアム中にあのハカの雄叫びが轟音のように響き渡る様に凍りついた。本当にすごいものだと驚嘆させられた。これを体験できただけでも25,000円の価値があったというものだ。

試合も、押し込まれていたニュージーランドが最後にはその実力を思う存分発揮して逆転勝利。お目当てのボーデン・バレットのトライも見ることができて、最高の夜となり、満足して帰途についた。

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こうして、始まったばかりのラグビーワールドカップの試合を2日連続してみることができて、未だに興奮が覚めやらない。

あの後、食べ物の持ち込みも認められることになった。あまりにも不満が噴出したかららしい。大会がスタートした後で、そんな基本的なルールが変更になるというフレキシブルな対応にも、いかにも観客サービスを優先するようで、好感を持った。

 

昨日は日本がアイルランドに逆転勝利するという奇跡も起きて、このワールドカップから目を離すことができそうにない。