ギンレイで観た全映画を語る10

シリーズ第10回目です。

大学時代の合唱団の仲間との40年ぶりの山口旅行や、ラグビーワールドカップのスタジアムでの更なる観戦等が続いて、しばらくご無沙汰してしまいました。

遅れを取り戻さなければ。ドンドン進めていきましょう!

 

その前にギンレイホールにまつわるエピソードを手短かに一つ。

 

【エピソード7】

先々週ギンレイホールに行った際、えっ!?

と驚くことがありました。

ギンレイホールでは映画本編がスタートする前に、当然のことながら次回上映作品の予告編が流れます。そして、例の動物キャラクターが楽しいマナーCMが流れるわけですが、その間にギンレイホールそのもののCMが流れます。

これ、かなり気に入ってます。ちょっとノスタルジーに満ちたBGMをバックに「あなたは何本ご覧になりましたか」とのメッセージが入ります。

その際に、過去にギンレイホールで上映された数多くの映画のタイトルが浮かび上がっては消える映像が流れます。ここにたくさんの映画タイトルが浮かび上がってくるのですが、この映画タイトルが一新されました‼️

背景の色も変わったように感じます。

先日まではかなり前の映画タイトルばかりでしたが、すっかり一新して、おおっ!と声を上げてしまいました。

つまり、最近上映された映画のタイトルに入れ替わったわけですが、その新しいタイトルが、正に僕が連載を続けているここ2〜3年のものに一新されたのです。正にこのギンレイホールで観た映画ばかりが浮き上がってきます。これは非常に嬉しかったですね。

それぞれのタイトルは直ぐに消えてしまうため、鮮明に記憶できませんが、気がついたものだけでも、あの「マンチェスター・バイ・ザ・シー」や「ラ・ラ・ランド」「ダンケルク」「しゃぼん玉」「湯を沸かすほどの熱い愛」など、既にこのブログで熱く紹介してきた作品が並びます。そしてこれからの紹介となりますが、僕が熱愛してやまない「スリー・ビルボード」まで入っていて感無量。本当に嬉しくなってしまいました。

実際にその劇場で観たものが上がってくるのは嬉しい。ちゃんとこのギンレイホールで観たぞ!という証のようで少し胸が熱くなるものがあります。こんなところにも注目してみてください。

さあ、映画の紹介に入りましょう!

 

(追記)

その後、観たら「ダンケルク」「しゃぼん玉」「湯を沸かすほどの熱い愛」は僕の思い込み。期待する思いが強過ぎて、載っているように信じてしまいましたが、実際にはありませんでした!直ぐに消えてしまうんです。

邦画タイトルが少ないのが残念ですが、嬉しい思いに変わりはありません。

 

29.2018.4.7〜4.20

 ◯ 婚約者の友人  フランス・ドイツ合作映画

  監督:フランソワ・オゾン

  主演:ピエール・ニネ、パウラ・ベーア他

 

これは今をときめくフランス映画界の精鋭フランソワ・オゾン監督のミステリーということで非常に楽しみにしていたが、期待が大き過ぎたのか。少し期待外れだったと正直に言ってしまう。

第一次世界大戦終了直後のドイツ。戦争で婚約者を失い、悲嘆に暮れているアンナは、婚約者の墓で涙している見知らぬ男を目撃する。戦争前にフランスで親しくしていた友人だと名乗る。アンナも亡くなった婚約者の両親も温かく迎え入れ、やがてアンナはフランツに婚約者の友人という以上の感情を抱くが、ある日突然、フランツは姿を消してしまう。アンナは彼を探す旅に出るのだが・・・。

何か大きなどんでん返しや謎があるんだろうと期待していたが、それは裏切られることになる。この映画は宣伝というか予告編を含めて紹介の仕方に問題があると、今回はハッキリと言わせていただきたい。

ミステリーが強調されるので、何かとんでもない謎があるんだと期待してしまうが、この映画はそういう映画ではなく、戦争によって人生を狂わされてしまった若者たちの辛い体験とそこからの再生を描こうとする深い人間ドラマに他ならない。戦争に翻弄される若い男女の苦悩と葛藤。根底にあるのは深い反戦への思い。

そう捉えれば、これは深い悲しみを湛えた実に感動的な作品で、オゾン監督の新境地を切り開いた名作と呼ぶしかない。

 

 ◯ エタニティ 永遠の花たちへ  フランス・ベルギー合作映画

  監督:トラン・アン・ユン

  主演:オドレイ・トトゥ、メラリー・ロラン

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この映画はとっても気に入った。全く期待していなかったのに、何も知らずに観て一挙に大好きになる映画との出会い。ギンレイホールならではの典型的な感動がこの映画でも実現した。こういう時が一番嬉しい。正に至福の時である。

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ストーリーはあってないが如く。ある女系一家の三代に渡る家族史を淡々と描いていくだけだ。細かいエピソードをあげても仕方がない。恋が生まれて結婚があり、出産が続いて、子供が成長し、親しい者との死別があり、そうして流れていく家族のヒストリー。それがもう信じられないほどの美しい映像で綴られていく。

これはもうその美しい映像をひたすら堪能してもらうだけの映画。けなしているわけではもちろんない、それってこれ以上ない至福の映画体験に他ならないではないか!

 

この映画はフランスとベルギーの合作だが、正にあのフランス印象派の美しい絵画を見るかのよう。モネやルノワールの美しい絵画の数々が映像となって目の前で動く。そこに美人女優によるささやかなエピソードが付加されるという趣の映画。何だか退屈そうに聞こえてしまうかもしれないが、とんでもない。この映像の美しさは尋常じゃないレベルに建っているし、長回しを多用したカメラワークも傑出していて、映画を観る醍醐味に満ち溢れている。観ていてその美しさにただただ溜息を吐くばかり。

正直言って、これだけ美しい映画は中々思いつかない。そして大胆にも、僕が熱愛してやまないあのスタンリー・キューブリックの「バリー・リンドン」に勝るとも劣らないものだと言ってしまいたくなる。映画的完成度はキューブリックにとても比べられないが、こと映像の美しさと色彩の豊穣さでは、本当に「バリー・リンドン」と並び立つものだ。

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監督はトラン・アン・ユン。ベトナム出身だ。12歳の時にベトナム戦争の戦火を逃れてフランスに移り住んだというが、この美的センスをどこで磨きをかけたのだろうか。どこからどう観たって、ここにはヨーロッパの第一級の美術と芸術の粋が宿っている。

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美しい映画にドップリと身を任せたい人にはこれ以上の映画はない。一人でも多くの方に観ていただきたい逸品だ。

         

30.2018.4.21〜5.4

ゲット・アウト  アメリカ映画

 監督:ジョーダン・ピール

 主演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ他

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これには興奮させられた。これも何の予備知識もなく観て、途中でワクワクドキドキ。観終わった後には、言葉に尽し難い満足感を満喫させられた貴重な映画。

これはジャンルとしては何になるのだろうか?それすら分からずにボケっと観ていた。

美しい白人女性と恋に落ちた黒人の主人公は、彼女の実家に招かれるのだが、当然怪訝そうな周囲の目と闘わなければならない。持ち前の反抗心で平気を装うあたり、これは黒人への差別と偏見を取り扱った映画かなと思わせるのだが、いつのまにか、それこそ知らないうちにトーンがジワジワと変わって来る。

この変化は、これは一体何なんだと観ていて混乱をきたす程なのだが、何とも不気味でいかにも空恐ろしい。そして、遂に・・・。

 

これは本当におもしろかった。観終わった後の衝撃度と満足感は別格だ。願うらくはできるだけ事前情報や先入観を排除して、あなたの身も心も全て映画に委ねること。

そうすれば、必ずや最高の映画的興奮を味わえるはずだ。

 

◯ IT/イット“それ”が見えたら、終わり  アメリカ映画

 監督:アンディ・ムスキエティ

 主演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード他

 

ご存知スティーブン・キングのホラーの映画化。いかにもキングの原作らしい設定で、正にキングの世界がこれでもかと展開する。

少年達が怪奇現象に立ち向かうあたり、「スタンド・バイ・ミー」を皮切りに繰り返し繰り返し描かれてきたものだ。

それでもやっぱり引き込まれてしまうのは、キングのストーリーテラーとしての傑出した力のせいに他あるまい。

 

今回はかなり大掛かりで大いに楽しめる、いやハラハラドキドキさせられるが、僕は少し納得できないものが残った。

結局のところ、そのITとは何なのか?どうもよく分からない。そんなのありか?と思ってしまう。本質的な部分での種明かしがないと、ただ怖がらせ、不安がらせるだけで、僕は子供騙しとしか思えなくなる。

もう一工夫できなかったか?もう少し恐怖の本質に迫ってほしかったと思わざるを得ない。

これも熱心なファンからの反論を是非とも聞いてみたいところだ。

 

今回はここまで。