出口さんの最新刊の1冊

続いて読んだのは、まだ出版されたばかりの新刊だ。

タイトルがめちゃくちゃ長くて、少し困ってしまう代物。「誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。逆境を苦しんだ僕からの31のメッセージ」という本だ。

詳細は後述するが、昨年(2025年)の12月に出版されたばかりの本だ。

これは出口哲学の総まとめのような本で、これまた非常に読みやすく、直ぐに読める手頃な本である、それでいて内容はかなり濃厚なので、読み応えもしっかりあるお薦めの一冊だ。

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本書「誰も・・」の基本情報

祥伝社から出ているソフトカバー。令和7年12月10日 初版第1刷発行。去年12月に出たばかりで、まだ発行から2カ月ちょっとしか経っていない新しい本である。

ページ数は236ページ。本書も空白が多く、更に全体的に余白を広めに取っているため、実質的には200ページくらいのイメージだ。

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長いタイトルのいわれ

本書のやたらと長い「誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。」というのは、実はAPUの学長だった出口治明さんの2019年春学位授与式での言葉である。

「Go where nobody has gone, Do what nobody has done.」から来ている。

日本語に訳すと「誰も行ったことのない場所へ行け、そして誰もやらなかったことをやれとなる。そこから引用してきたタイトルだ。

本書の第1ページにこの本文が掲載されている。

全体の構成等

先ずは「はじめに」。少し変わっていて、「はじめににかえて」として「あきらめれば人生は何とでもなる」となっている。これが冒頭から10ページに及んでいる。

これがサブタイトルにある「逆境に苦しんだ僕からの31のメッセージ」のうちの1番となる仕掛けで、残りの30編のメッセージが5つの章に分かれて配置されている。

最後は5ページの「おわりに」で終わる。

本書の本文の構成

第1章 人生の本質 現在も未来も不安。だからこそ、今を迷わずに進もう
   7/30

第2章 仕事の本質 キャリアと夢と現実の間で揺れるとき
   7/30

第3章 お金の本質 経済的不安と自立へのプレッシャーについて
   5/30

第4章 人間関係の本質 対人間関係の迷路、どう抜け出す?
   6/30

第5章 学びと思考の本質 自己成長感や自己肯定感に悩むあなたへ。世界は広い
   5/30

前回取り上げた『「捨てる」思考法』は、81の教えだったが、今回は30のメッセージ。それぞれのメッセージは、『「捨てる」思考法』よりは長めになっている。

4ページと短めのものもあるが、一番長いもので9ページ。8ページがかなり多い。

それぞれのエピソードは、5つのパーツから構成されている。これが読みやすさの秘訣だ。
①タイトル
②サブタイトル
③数行によるリードのようなもの
④本文
⑤まとめ(箇条書き)

①タイトル ②サブタイトル ③リード ④本文 構成が分かってもらえるだろうか。
①タイトル ②サブタイトル ③リード ④本文 構成が分かってもらえるだろうか。
④本文 ⑤まとめ(箇条書き) 全てのメッセージがこの構成になっている。非常に読みやすい。
④本文 ⑤まとめ(箇条書き) 全てのメッセージがこの構成になっている。非常に読みやすい。

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本書は取材を元にライターが書いた

本書は出口さんが直接ご自身で執筆されたものではなく、取材を元に、実際にはライターが書いたものである。

「おわりに」の最後、本書の最終部分にこう書かれている。

「なお、本書はライターの岡田仁志さんと祥伝社の栗原和子さんに取材をしてもらい、岡田さんが原稿にまとめてくれました」

出口さんの本の書き方の詳細は存じ上げないが、脳出血で右半身麻痺になられてからは、このようなスタイルで本を出版されているのだろうか。今回、ここまで明白に書かれているのは初めて見た。

出口さんからの新社会人へのメッセージ

本書は若い社会人向けに書かれた本である。ズバリ社会人1年生を念頭に置いている。冒頭の「はじめにかえて」の最後に、こう書いてある。

『この本では、おもに社会に羽ばたいて新たな挑戦を始めた若いみなさんに、僕からのメッセージを伝えることにしました。さまざまな悩みを抱える「あなた」たちに送る僕からの手紙のようなものだと思ってください。もちろん社会人1年生以外の方にも手に取ってもらえたら嬉しく思います。
 社会に出てからおよそ50年、「何が起こるかわからない世界」を生きてきた僕の言葉が、「あなた」の行く手を照らす明かりになれば、と願っています』

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60代後半の僕が読んでも役立った

社会人1年生に向けて書かれたという本が、何故か僕の心にも大いに響いた

僕はもう60代後半で、70歳が近づいてきている。そんな出口さんとそれほど年齢の変わらない僕が読んでも、この本は十分におもしろく、非常に役に立ったと明言させてもらう。

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出口哲学の総まとめ

出口さんが今まで様々な著作を通じて語ってきた(書いてきた)ほぼ全ての内容が、易しく分かりやすい言葉で、読み聞かせるような丁寧な口調で書かれている。手紙とはさもありなん。

社会人1年生に向けて書いた非常に分かりやすく読みやすい本が、奇しくも出口さんの哲学、人生論の総まとめになった感がある。

出口さんの哲学、人生論のエッセンス

元々長い本ではなく、若い読者を念頭に置いて分かりやすさ、理解しやすさに徹して書かれており、本書を出口哲学の集大成と呼ぶことはできない。

だが、ほぼ全ての論点が網羅されており、出口さんの哲学、人生論のエッセンスと呼ぶのが一番最適ではなかろうか。

出口哲学が、非常に易しい言葉で、どこまでも分かりやすく書かれた本。出口さんの思想を整理するにも最適だと思われる。

自らの人生の振り返りの貴重な指針に

社会人1年生のために書かれた本が、60代後半の初老の役にも立つ。それを今、しみじみと実感している。

新社会人に宛てたメッセージを読むことで、自分の今までの人生を振り返る貴重な指針となるものだ。

僕自身の70年近い人生、社会人となって40年近い人生が、どうだったのか。

出口さんが社会人1年生に向けて書いたメッセージが、実際に全うできてきたのかどうか、それを振り返るにこれ以上のテキストはない

僕の社会人としての人生が間違っていなかったのかどうか、自分はどのように生きてきたのか、この出口さんのメッセージを読みながら、一つひとつ検証していく作業は、時に厳しい局面もあるが、非常におもしろくワクワクドキドキが止まらなかった。

直ぐに読めてしまう

実は本当に夢中になって、アッという間に読み終えた。一気に読んでしまった感がある。

アッという間は大袈裟か。実際、僕は他にも様々な案件を抱えていたのだが、本書を2日間で読み終えた。かなり丁寧にゆっくり読んだが、時間的には通算で7時間程だっただろうか。

本書を読むことだけに専念できるなら1日、いや半日でも読めてしまうだろう。

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僕の心の琴線に響いたメッセージの数々

「わが意を得たり!」と思わず声を上げてしまいそうになることがいくつもあった。一方で、この歳になって反省を迫られ、改めて肝に銘じたことも。

4つ挙げさせてもらう。

1 メッセージ3 喜怒哀楽の総量

タイトル:『人生の幸福度は「喜怒哀楽」の総量で決まる』
サブタイトル:「そのつらさや悔しさが大きいほど、あなたの人生は豊かになっていく」

 僕は半年ほど前に、図らずも大きな挫折を体験し、その際も出口さんの本で救われたことが忘れられないが、今回改めてこの一文に接し、自分でも驚くほど心に沁みた

2 メッセージ6 次の環境変化に備える

タイトル: 「人生は偶然と運。たとえるなら凧揚げと同じ」
サブタイトル:「いつ風が吹いてもいいように準備だけは整えておこう」

本文中にある「むしろ大事なのは、次の環境変化に備えておくこと。順境はいずれ逆境に転じ、逆境はいつか順境に転じます。その変化に対応することで、僕たち人間はより幸福な人生を送ることができるのです」

「人間万事塞翁が馬」「禍福は糾える縄の如し」という故事(ことわざ)は大好きだが、同じことを強調する出口さんのこの言葉にいつも救われている

3 メッセージ15 数字・ファクト・ロジック

タイトル:「数字を根拠に話す」
サブタイトル:「説得力を高めるにはデータを常に意識する」

本文中の『自分の主張を「感想」で終わらせないためには何が必要か。それは僕のモットーである「数字・ファクト・ロジック」にほかなりません。どんな相手であれ、交渉事は数字やファクトに基づいてロジカルに進めることが何よりも大切です』

出口さんが多くの著書の中で繰り返し訴えていることで、その重要性は重々理解し、そう務めているつもりだが、改めて『自分の主張を「感想」で終わらせないためには』という恐ろしい言葉が僕の胸に突き刺さった

僕のブログ記事はそうなっていないか。改めて気づきと猛省を迫られた気がしている。

4 メッセージ30 現場に足を運ぶ

タイトル:『旅が「知の力」を太くする』
サブタイトル:「現場の空気を感じ、そこで起こっていることに触れなければわからないことはたくさんある」

本文中にこう書かれている。「自ら歩き、現地の空気を肌で感じ、そこで暮らす人々と触れ合わなければ実感できないことはたくさんあります。
これは仕事も同じ。現場に足を運んで、空気を感じ、人と触れ合わなければわからないことはたくさんあります」

これにはわが意を得たり!と思わず膝を叩いてしまった。もちろん僕が力を入れてきた病院での「院内ラウンド」である。

分かる人はやっぱり分かってくれる!これは本当に嬉しかった。

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新社会人はもちろん、人生の円熟者にも

出口さんの哲学と人生観のエッセンスを吸収できる、貴重な本だ。直ぐに読めるコンパクトさも嬉しい。

もちろん本書は出口さんが想定したとおり、新社会人に読んで読んでもらうことが最も相応しいが、僕の心に強く響いたように、もう既に一線を退いた人生の円熟者が読んでも、十分に楽しめ、感動できるものだ。

幅広く多くの方に、是非とも一読をお薦めしたい。

 

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誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。逆境を苦しんだ僕からの31のメッセージ (単行本) [ 出口 治明 ]

 

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