稀代の華麗な悪女を描いた黒手塚屈指の傑作 今までにこの「手塚治虫を語り尽くす」シリーズでは、一般的に良く知られている手塚治虫のイメージをぶち壊すひたすら暗くて、人間の心の闇と悪の本質を暴き出すような救いようのない作品が多かった。 そんな作品群は「黒手塚」あるいは「手塚ノワール」と呼ばれており、僕はそんな黒手塚にたまらな...
手塚治虫を語り尽くす
手塚治虫を語り尽くすの記事一覧
敗戦直後の大阪を舞台に逞しく生き抜く青年群像 「どついたれ」。これはまたあまり知られていないが、手塚治虫の渾身の一冊である。めちゃくちゃおもしろい手塚治虫ファンなら絶対に読んでおいていただきたい作品。 何故か一般的にはほとんど知られていない隠れた傑作である。 この「どついたれ」がまた未完で終わっているのだ。何度も書いた...
日中を股にかけた壮大な歴史ロマン 今回紹介する「一輝まんだら」。これまた実におもしろく、夢中になって一気に読み切ってしまった。 日中を股にかけた実に壮大な歴史ロマンで、これは知る人ぞ知る手塚治虫の隠れた逸品とでも呼ぶべきものだ。 但し、事情があって惜しいことに未完で終わっている。本当に残念でならない。 「一輝まんだら」...
手塚の急逝によって未完となった3作品の一つ 手塚治虫を語り尽くすの22回目に取り上げた「ネオ・ファウスト」の冒頭でも書いたとおり、手塚治虫が昭和が終わった直後(1989年2月5日)に60歳で急逝したことで、連載が中断し、未完となった大作が3本あった。 既に紹介済みの「ネオ・ファウスト」とその前の21回目で取り上げた「ル...
手塚治虫の急逝によって未完となった3作品 前にも触れたが、手塚治虫の急逝によって未完に終わった作品は3本ある。 1本は前回紹介したベートーヴェンを取り上げた「ルードウィッヒ・B」。これは手塚治虫の急逝によって、若き日のベートーヴェンしか描かくことができず、全体の構想の中では、ごく最初の部分しか描けずに終わってしまった。...
またベートーヴェンなのかと呆れられそうだ。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲について4回連続して非常に長いブログを書いたばかりだというのに、「手塚治虫を語り尽くすシリーズ」でもベートーヴェンとは!? この展開は想定外で、我ながらビックリしている。実は、僕はベートーヴェンを特別に熱愛しているわけでも何でもない。もちろん大好きな...
長い間、誤解されてきた隠れた名作 今回は「アポロの歌」だ。あまり知られていない。だが、色々な意味で物議をかもした社会的にはかなり話題となった有名な作品だ。これは悲運の作品と呼んでもいいかもしれない。長い間、ずっと誤解されてきた。しかもかなり嫌な誤解である。 今こそ、この「アポロの歌」の真の価値に光を当てたい。そう思わず...
手塚治虫の前代未聞の問題作 今まで手塚治虫の隠れた名作や問題作、特に黒手塚あるいは手塚ノワールと呼ばれる人間の負の部分を徹底的に暴くダークで残酷、暗くて救いのない作品を中心に紹介してきたが、今回はその頂点、究極の黒手塚作品を紹介させてもらう。 満を持しての登場である。 それが「MW」だ。MWと書いて「ムウ」と読む。 こ...
本来の手塚治虫らしい心温まる良心作 手塚治虫の紹介シリーズ「手塚治虫を語り尽くす」では、大人や青年を対象としたいわゆる黒手塚=手塚ノワール作品が中心となっており、このところも「ボンバ!」「アラバスター」そして前回の「ガラスの城の記録」と全く救いようのない暗く、残酷な暴力に満ち溢れた作品を集中的に取り上げてきた。これぞ黒...
未完で終わった黒手塚の超問題作 黒手塚こと手塚ノワール作品をズッと取り上げてきているが、今回紹介する「ガラスの城の記録」は、一連の黒手塚作品の中でも、特に異色な問題作だ。 何と言ってもこの作品は未完で終わっている。手塚治虫の作品には何本かの未完作品がある。 それらの多くは、手塚治虫が常に多くの連載を抱えながら、60歳で...
少年誌に連載されたとんでもない黒手塚作品 久々の手塚治虫作品の紹介となる。今回は連載16回目だが、まだまだ紹介したい手塚作品は山のようにあって、実は一番取り上げたい「手塚治虫最大の問題作」はまだ大切に残してある(笑)。それをどのタイミングで取り上げるか悩んでいるが、今後もあまり知られていない手塚治虫の隠れた傑作を少しず...
「手塚ノワール=黒手塚」について 久々の手塚治虫は「ボンバ!」を取り上げる。この「ボンバ!」は実に暗く、怖い作品である。 手塚治虫には手塚治虫の一般的なイメージとは程遠い極めて暗く、救いようのない作品がいくつもあることは紹介してきたとおりである。 特に「ビッグコミック」に連載してきた青年向けの作品にその傾向が強いことも...
「空気の底」を凌ぐ充実のミステリー短編集 「空気の底」を紹介した際に触れた手塚治虫の傑作短編漫画集の「ザ・クレーター」を予告どおりに取り上げる。 最初に断っておくが、「空気の底」は大人向けの雑誌に掲載された作品であり、この「ザ・クレーター」は少年誌に掲載。その違いは明らかにあるということだ。 少年向けにテーマは限定され...
長編でも短編でも天才ぶりを発揮した手塚治虫 手塚治虫は本当に天才だった。 何度も書いているが、ずば抜けた独創性と卓越したドラマ性、それらを巧みに伝えることのできる傑出した表現力を身に付けていた手塚治虫は、正に天才というか怪物というか、人知を超えた存在だった。 時空を自由に飛び越える常人の想像を絶する途方もない発想と壮大...
久々の手塚治虫はお気に入りの「シュマリ」 手塚治虫作品を紹介するシリーズ「手塚治虫を語り尽くす」がしばらく空いてしまった。3カ月振りとなる。それに当たってはとっておきの大作を取り上げたい。 「シュマリ」である。これは僕の大のお気に入り作品。かなり長い。あの「アドルフに告ぐ」とほぼ同じ長さの力作だ。 僕はこのシリーズで、...
今すぐに読んでほしい手塚治虫の最高傑作がこれだ 今回はいよいよ「鳳凰編」だ。手塚治虫の畢生の大作にしてライフワークの「火の鳥」シリーズの中でも、「未来編」と並ぶ甲乙付けがたい頂点であり、手塚治虫の全作品を通じても、ベスト5の一本だということは、もう何度もこの熱々たけちゃんブログの中で触れさせてもらってきた。 本当に凄い...
戦争と人間で苦悩し、絶望の中で巡り合った救済の書 アインシュタインとフロイトによる「ひとはなぜ戦争をするのか」というテーマの世紀の往復書簡を紹介するに当たって、僕は自らの若き日に陥った戦争と人間に対する苦悩と絶望について、かなり詳細に書かせてもらった。 あの時の僕自身の絶望感から自暴自棄に陥る中で巡り会ったかけがえのな...
手塚治虫の長男によって映画化された隠れた名作 今回の手塚治虫は「ばるぼら」だ。この「ばるぼら」は錚々たるメンバーによって映画化され、昨年(2020年)11月に劇場公開、年明けの今月から動画配信されているので、既に映画を観た方もいらっしゃれば、観てないまでも、話題を耳にしたことはあるのではないか。 その映画の出来栄えは?...
60年代後半の「人間ども集まれ!」は如何に時代を先取りしていたか! 前回紹介の「人間ども集まれ!」に興味を持っていただけただろうか?手塚治虫が好きな人、少しでも興味を持っている方は、どうかこのあまり知られていないとはいうものの、手塚治虫の世界観と思想が最も端的に表れているとも言える大問題作の「人間ども集まれ!」を是非と...
一見、いかにも手塚治虫らしからぬ作品だが 「アドルフに告ぐ」から始まって、「きりひと讃歌」「奇子」と手塚治虫晩年の青年・大人向けの衝撃的な作品を取り上げてきた。「きりひと讃歌」「奇子」とビッグコミックに連載された作品がその発表順どおりに続いたので、このままその後のビッグコミック連載を追いかけてもいいのだが、あまりにも内...
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プロフィール
熱々たけちゃん
熱々たけちゃんです。
小学校4年から合唱を始め、同志社コール・フリューゲルで3年間合唱指揮に没頭。合唱団東京フリューゲルを設立し、20年間指揮者を務めました。
本職は病院経営。病院の経営マネジメントの推進です。40年近くに渡って医療業界に勤め、経営改革請負人としていくつもの病院で事務長(事務局長・事務部長)を務めています。
趣味が非常に多く、クラシック音楽全般、合唱、ジャズ。映画。文学、ノンフィクション。漫画。哲学。歴史。美術鑑賞。写真、動画撮影など多方面に渡っています。
若き日にかなり登った山についても国内、海外を問わず詳しい。スポーツ観戦、落語も好きで、ホタルにも夢中。 ラーメン、寿司、焼酎も大好きですが、最近はシャクヤク栽培にハマっています。
異常なまでの凝り性で、好きなことにはトコトンのめり込まないと気が済まないタイプ。
詳細はフッターのプロフィールをご覧ください。
小学校4年から合唱を始め、同志社コール・フリューゲルで3年間合唱指揮に没頭。合唱団東京フリューゲルを設立し、20年間指揮者を務めました。
本職は病院経営。病院の経営マネジメントの推進です。40年近くに渡って医療業界に勤め、経営改革請負人としていくつもの病院で事務長(事務局長・事務部長)を務めています。
趣味が非常に多く、クラシック音楽全般、合唱、ジャズ。映画。文学、ノンフィクション。漫画。哲学。歴史。美術鑑賞。写真、動画撮影など多方面に渡っています。
若き日にかなり登った山についても国内、海外を問わず詳しい。スポーツ観戦、落語も好きで、ホタルにも夢中。 ラーメン、寿司、焼酎も大好きですが、最近はシャクヤク栽培にハマっています。
異常なまでの凝り性で、好きなことにはトコトンのめり込まないと気が済まないタイプ。
詳細はフッターのプロフィールをご覧ください。
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