全国の病院の7割が赤字との厚労省報告

2025年が終わって2026年になりました。昨年末に日本の医療に関して大々的に報じられたニュースがありました。

厚生労働省が11月26日に発表した2024年度の「医療経済実態調査」によりますと、全国の一般病院の72.7%が赤字一般病院の損益は平均値でマイナス7.9%だと報告されました。

2024年度の決算状況です。つまり昨年度の報告であることに注意が必要です。

この報告を受けて、様々な報道番組やワイドショーでこの件が取り上げられましたが、テレビ朝日の「ワイドスクランブル」(2025年12月16日放送)に出演していた日本病院会会長の相澤孝夫さん(長野県松本市にある相澤病院の理事長・最高経営責任者)は、「この赤字基調はこの年だけの問題ではなく、2018年から続いていた問題だ」と強調していたことが強く印象に残りました。

「2018年度では約50%をちょっと超える病院が赤字だったが、その後、どんどん赤字の病院が増えると共に、赤字額がドンドン増えてきたのが現状であり、病院の赤字は今に始まったことではない」と指摘し、「単なる物価高や人件費が上がったら赤字という問題ではなく、根本的な問題」だと発言されていました。

ワイドスクランブルの報道によれば、帝国データバンクの11月11日の発表で、今年(2025年)の1月~10月の医療機関(一般病院・診療所・歯科)の倒産は56件で、過去最多ペースだったということです。

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病院の赤字は根が深い深刻な問題

病院の赤字基調は深刻な問題です。ある意味で実は単純な問題でもあるのですが、これを解決しようとしたら、一病院で働く事務長職に解決できる問題ではありません。

ですが、その点を抜本的に解決させないと、いずれ日本中で医療崩壊が起こりかねないので、全く放置することは許されない大問題なのですが、今、ここで書くことは控えさせていただきます。

いずれどこか違う形で、私の考えを提起したいとは考えています。

私は病院の経営面の責任を担う事務長職(事務長、事務局長、事務部長など病院の組織によって呼称は様々)を30年近くに渡って、6カ所の異なる病院で務めてきました。

組織形態、病床数など規模の大小、都会型地方型など6カ所の病院は様々でしたが、どこのどのような病院でも個別具体的な懸案は異なっていても、どこのどんな病院でも共通している病院という組織に固有の特別な問題を抱えており、どこでも同じような問題ばかりだったのです。

そこで、今までの長年に渡る様々な病院での事務長職の経験を踏まえて、赤字病院であってもその中で努力する、工夫する、知恵を絞ることで、その経営困難から脱却し、病院の経営再建を達成することは可能だと痛感させられており、そのことを一つひとつ、問題提起と解決の糸口、言ってみれば、「病院を再建し、救うための処方箋を探っていきたい」と決心し、この記事の連載をスタートさせることにしました。

テーマが多方面から極めて多岐に渡るため、検討テーマを少しずつ絞り込んでいきたいと考えています。

病院という組織、職場には大小様々な課題と問題点があって、一朝一夕には解決できるものではありません。カオスというか、魑魅魍魎というか、病院はありとあらゆる意味で伏魔殿なのです。

切り口によって、解決すべきテーマは全く様相を変えることにもなります。

自治体病院を取り巻く問題について検討

この連載では、当面「自治体病院」を取り巻く問題について、「自治体病院の病巣を斬る!」と称して、先ずは検討を始めていくことにします。

自治体病院と私の関係

私が事務長職を経験してきた6病院の中で、6番目にして初めて自治体病院の事務長を体験しました。生まれて初めて地方公務員となったわけです。

今までの5カ所の病院とは全く違った病院で、非常にインパクトが強く、世に喧伝される自治体病院独自の課題と問題点も痛感させられました。こんな病院は初めての体験でした。

今までどんな病院でも様々な課題と問題点が山積していましたが、この自治体病院の課題と問題点、膿の深刻さと問題解決の困難さは他とは比べられないものだったのです。

「これじゃあ、ダメだ。経営が良くなるわけがない。サービスが良くなるわけがない」、そう痛感させられることがたくさんありました。

という次第で、いずれはありとあらゆる病院、全ての救済のための処方箋を考えていくつもりですが、先ずは全国、北は北海道から南は九州、沖縄まで約1,000カ所ある自治体病院について、その深刻な病巣を取り除き、再生、再建させるための問題提起と解決策の提案を行っていきたいと考えています。

ちなみに、私が実際に勤務していた自治体病院の名称等は一切明らかにできないことは承知してください。関東にあるとある自治体病院とだけ言っておきます。その病院がどこの何という病院なのかといったつまらない詮索は止めていただきたいとお願いしておきます。

この記事の執筆の狙いと趣旨は、言うまでもなく私が関わった個別の自治体病院の糾弾ではなく、その病院で事務長職として勤務して得られた経験を通じて、全国のあらゆる自治体病院経営改善のための処方箋を示したい、何らかの参考にしていただいて、自治体病院の再生に活かしていただきたいということに尽きます。

私はこの自治体病院を退職してちょうど1年になります。

今でも「この病院をもっといい病院にできなかったものか」と悔やむ、あるいは「こうやったらもっといい病院にできるはずだった」と夢を抱くこともあるのですが、この記事の執筆目的は個別の自治体病院の救済ではなく、もっと広いものです。

この病院での事例を一つの悪しき例として、同じような問題と課題で日々苦しんでいる全国の自治体病院に何か一つでもお役に立てたらありがたい、ただその一心で書いています。

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僕が民間から自治体病院に招聘された経緯

私はこの自治体病院のお世話になるまで、病院の現場としては7つの病院を経験し、そのうち5つの病院で事務長職を務めました。

前半の約半分は今はJCHO(ジェイコー)となってしまった旧社会保険病院。ここは厚生労働省の外局だった今はなくなってしまった社会保険庁が国費で建てた半官半民(国設民営)の病院で、準公的病院として扱われていましたが、純然たる公的病院ではなく、ましてや自治体病院ではありませんでした。

その後、私はこの社会保険病院がJCHO(ジェイコー)に受け皿を変えて、組織が抜本的に変わるに当たって、それを強引に推し進めた国=厚生労働省=RFO(今のJCHO)のやり方に納得できず、発足を見届けた後、速やかに退職届を提出し、完全なフリーランスとなって、身体一つで全国の経営課題を抱えた民間病院の立て直しに従事することになりました。

そんな私に、思いがけずとある自治体病院の事務長のポストに就けるチャンスが巡ってきました。

その自治体病院では役所の幹部が病院の事務方のトップとして勤務しても病院のことが全く分からない以上、経営改善や病院内の的確な指導など無理だとして、民間で病院の経営改革を経験してきた民間出身者を公募する大英断をしたのです。

私は長年に渡って私淑している恩師の勧めもあって、この公募に応募し、幸い合格することができて、この自治体病院で事務長職として勤務することになりました。

それから約4年間、様々な体験を通じて、自治体病院の課題と問題点、いわば「病巣」を嫌というほど味わってきました。

その4年間から学んだ私の経験を通じて、自治体病院という公的病院の病巣を斬っていく!それがこの一連の記事を書く目的に他なりません。

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忖度なしで書かせてもらう

執筆に当たってのモットーを最初に宣言しておきたいと思います。

忖度は一切せず、言いたいことを遠慮なく、ズバズバと書かせてもらうこと。歯に衣着せず、ストレートに言いたいことを言う。書きたいことを誰にも気兼ねせずに書く! ということです。

次回から、いよいよ自治体病院の病巣に斬り込んでいきます!

 

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