目 次
久々に大興奮の凄い映画を観た!
このブログで映画を取り上げるのは随分久しぶりのことだ。最近、少し映画から遠ざかっていた。
もちろん、シネフィルの僕はそれなりに観てはいたのだが、今一つ気に入った映画にお目にかかれなかったという実態がある。
世界中で話題沸騰のPTAことポール・トーマス・アンダーソン監督の「ワン・バトル・アフター・アナザー」も観たが、それなりに楽しめたものの、僕はいまひとつ感情移入できず、どうしてあの映画があそこまで大絶賛されるのか、良く分からなかった。
ところが、その後で、凄い映画を観たのだ。これがもう手に汗握る興奮が収まらない大活劇で、久々に映画を観て大興奮。血がたぎり肉躍る展開に画面に釘付けになってしまった。
それが昨年(2025年)公開された香港映画のトワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」である。
いかにも安っぽい娯楽アクション映画のようなタイトルだが、そのとおり。香港の完全なアクション映画である。


ところが、この香港発のアクション映画が、もの凄い出来栄え。涙抜きには観れないような感動作にもなっていて、直近のキネマ旬報ベストテン(2025年)でも上位に食い込んだ非常に高く評価された大傑作なのである。
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映画の基本情報:「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」
香港映画 126分(2時間6分)
公開
2024年5月 1日 香港
2025年1月17日 日本
監督:ソイ・チェン
脚本:歐健兒、陳大利
原作:余兒(ユーイー)「九龍城砦」
出演:ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、トニー・ウー、ジャーマン・チョン、リッチー・レン、ケニー・ウォン、サモ・ハン、アーロン・クォック 他
音楽:川合憲次
撮影:鄭兆強(チェン・チュウキョン)
編集:張嘉輝(チュン・カーファイ)
アクション指導:谷垣健治
【受賞】
第43回香港電影金像奬(香港アカデミー賞)最多9部門受賞
キネマ旬報ベストテン:2025年度 第99回 第8位
読者選出ベストテン 第7位
※評論家からも一般観客からも非常に高く評価された。

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どんなストーリーなのか
まだ中国に返還される前の1980年代の香港が舞台。当時、香港では裏社会の集団が激しい勢力争いを繰り広げており、2大勢力による大抗争の後、一旦はそれぞれ均衡を保ちつつ、緊張が続いていた。
そんな中、香港に密入国した身寄りのない極貧の青年チャン・ロッグワン(陳洛軍)は、腕っぷしだけは良かったが、裏社会の大ボスに騙されて、追われる身に。逃げついた先が大ボスたちも立ち入ることができない九龍城砦と呼ばれる巨大な廃墟のような高層のスラム街だった。
幸運にも九龍城砦に逃げ込めたチャンだったが、今度は九龍城砦を守っている幹部たちから追われる羽目に。

そこの実質的な指導者である龍兄こと龍捲風(ロン・ギュンホン)に簡単に打ち負かされた主人公は、やがて九龍城砦の中に居場所を見つけ、面倒見のいい龍兄の信頼を得て彼の元で真面目に働き始め、若い幹部たちと友情を育んでいく。
チャンの正体が絡む過去の大抗争の因縁などが複雑に絡み合いながら、大ボスたちが九龍城砦に攻め込み、全面衝突に発展。瀕死の重傷を負ったチャンは無事に逃げられるのか?苦戦を強いられた龍兄と部下たちの命運は?このまま九龍城砦は大ボスの手に落ちてしまうのか?
命を懸けた最後の大決戦が始まる。その行方は?貧しい人々が平穏に暮らす九龍城砦を守ることはできるのか?


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アクション映画に深く感動
ストーリーを書いてみると、これは本当にただのアクション映画、闇社会集団による抗争劇に過ぎないと言ってもいい。もちろん、九龍城砦側は平穏に暮らしており、特にリーダーの龍兄は争いを回避するべく尽力するが、思わぬ過去の因縁も絡んで、やむなく全面衝突に至る。
どんな大義名分があっても、所詮は2つの闇集団の勢力争いに過ぎないと言えば、そのとおりではある。
それなのにこのおもしろさと感動は、一体どこから来るのだろう。
アクションシーンが半端ない
とにかくそのアクションシーンの圧倒的な迫力と迫真性、アッと驚かされるユニークなアクションの続出に目を奪われて、画面に釘付けになる。
肉弾戦のリアルさにCG効果が上手く組み合わされて、見応え十分。手に汗握る展開に、思わず唸ってしまう。

このアクション指導を担当したのは、日本の谷垣健治だ。素晴らしい仕事をやってのけた。
相手があまりにも現実離れした不死身で、多少シラケる程なのだが、それはそれで僕は最後まで堪能できた。

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人間ドラマがまた熱い
日本のかつての任侠映画よろしく、裏社会に生きる者たちを描きながらも、ここには師や恩人との絆、仲間との友情など義理と人情が全面に出てきて、本当に胸が熱くなる。
日本映画にも通じる香港映画ならではの、仲間のために命を懸けて戦う熱い男たちに涙が止まらなくなる。

素晴らしいのは、登場人物一人ひとりの造形だ。人間ドラマが、単純なものとは言え、実に良くできていて、観ていていつの間にか完全に感情移入させられてしまう。

シナリオが実に良くできている。
主人公たちが土壇場まで追い込まれながら、起死回生を狙う最後の大決戦に向けて、観る者の心を鷲づかみにして、一気になだれ込んでいく。
様々に張り巡らされた伏線が、最後に全て一本の太い線にまとまって、怒涛の最終決戦に突入するあたり、実に見事で盛り上がることこの上ない。
これにはやられた。久々に血が湧き、肉躍る大興奮を堪能した。
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龍兄が最高の魅力を放つ!
九龍城砦側の登場人物たちはいずれも魅力的なメンバーばかりだが、何と言っても最高にカッコ良くて魅力的なのは、ルイス・クー演じる龍兄だ。

これは観る者全てが好きになってしまうだろう。九龍城砦の最強の武術家にして普段は理髪店を営む温厚な人物。
かつては最強の敵と7日間も不眠不休で戦って勝利を得た伝説の格闘家。

今でも最強で無敵なのだが、争いを好まず、暴力が嫌いでできるだけ平穏に収めようと尽力する。そして主人公の青年チェンの面倒を見る人情の人でもあり、若手の部下の信頼も厚い。


本当に、これだけ魅力的な人物が、どんな映画に存在しただろう?と考え込んでしまった。実際、どこにもいない。
映画に描かれた最も魅力的な人物に認定したい。
中年のおっさんである。渋い、いかにも渋いのだが、このカッコ良さは別格。彼を観るだけでもこの映画を観る価値がある。
演じたルイス・クーは現在(2026年)55歳になる香港の著名な俳優の一人である。日本の江守徹によく似ている。横顔などはそっくりだ。
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ビジュアルと斬新な映画手法も凄い
この映画のビジュアルはもの凄い。九龍城砦は創作上の代物ではなく、90年代に取り壊された実際に存在した廃墟に近い高層アパート。実在した伝説のスラム街だ。
それを忠実に再現した美術が大変なもので、この映画の大きな見どころともなっている。10億円かけて再現したという。当時を知っている香港人が観たら、これはたまらないだろうと思われる。



また、映画的な表現はかなり凝っていて、手に汗握るハラハラドキドキの頂点で、突然に顛末が途切れるアッと驚く省略法など、本当に驚かされる。
映像の美しさとカメラワークなど斬新な映画的手法がこの映画のもう一つの見どころだ。
香港映画について
ここで香港映画について、簡単に話題にしておきたい。
映画にあまり詳しくない方は、香港にこんな凄い映画があるんだと驚かれたかもしれない。
だが、香港は世界中で最も映画作りが盛んなところの一つで、著名な作品も数多い。世界中の誰でも良く知っている大スターが何人も出ている。
何と言ってもあのブルース・リー。「燃えよドラゴン」も香港映画。もちろんジャッキー・チェンも。チョウ・ユンファ、アンディ・ラウ、レスリー・チャンなど名優の枚挙にいとまがない。
そしてハリウッドでもカリスマ大監督となった僕が熱愛して止まないジョン・ウーも、ずっと香港で映画を撮っていた。「男たちの挽歌」シリーズや、「狼 男たちの挽歌・最終章(ザ・キラー)」など。
「花様年華」のウォン・カーウァイなど世界的な名監を何人も排出している。
あれだけ映画作りが盛んだった香港が、ご存知のとおり中国による弾圧に遭って、民主化が崩壊してしまった後、どうなるものかと心配していたが、今回の「トワイライト・ウォリアーズ」を観て、取り敢えずホッとしたところだ。
民主化推進、共産党批判など政治的な主張を含まなければ、今でも表現の自由、映画としてはあそこまで描いても問題にはならなかったようだ。その点だけはとにかく嬉しい。
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社会の底辺に生きる人々への熱い眼差し
激しいアクションが全面的に展開される映画ではあるが、九龍城砦で働く市井の人々の様子はかなり丹念かつ丁寧に描写されており、この時代の極端な貧富の差の中にあって、社会の底辺に置かれた虐げられた人々への優しい眼差しが伝わってくる。

そこもこの映画が多くの人々の熱い共感を集めた理由ではないだろうか。
本当にいい映画だった。
本作の大ヒットの高い評価を受けて、監督のソイ・チェンは続編の制作を正式に発表した。しかも2本だ。
龍兄の若き日の大抗争と、もちろんチャンたちのその後が描かれる2本となる。今から楽しみでならない。
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この傑作がAmazonプライムで見放題
Amazonプライムでは最新の名作・傑作が見放題になるケースが多いと以前、集中的に話題作を取り上げたことがあったが、この昨年公開されたばかりの話題の大傑作「トワイライト・ウォリアーズ」も、驚くべきことに現在、Amazonプライムで見放題となっている。
昨年(2025年)の12月下旬からAmazonプライムの見放題に加わった。本当にありがたいことだ。
どうか直ぐにでも、Amazonプライムでこの映画を観てほしい。例えようのない貴重な映画体験となるはずだ。
ブルーレイの特典映像が感涙もの
但し、僕は下に紹介したブルーレイを大いに推奨したい。これは本編とは別にもう1枚ブルーレイが付いていて、全て映像特典となっている。メイキング映像を始め約2時間に及ぶ映像特典は感涙ものだ。
この映画に感動した人は、是非ともこの特典映像を観てほしい。
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