教会カンタータ全200曲から合唱部分だけを抜き出してみる

教会カンタータ200曲、CD55枚の中には、ありとあらゆる声楽(人間の声)の編成、演奏形態が詰め込まれていることは既に説明したとおりだ。バッハの生々しい作曲技法がダイレクトに反映しているだけに、200曲、その一つ一つのカンタータのどの一部分聴いてもその素晴らしい楽想と祈りに魂を洗われる思いがする。

その中でも、現役の合唱指揮者であって、合唱曲大好き人間の僕は、カンタータの中ではどうしても合唱部分に夢中になってしまう。バッハが合唱の妙技をこれでもかと心置きなく展開したのは、何と言ってもロ短調ミサ曲。そしてヨハネ受難曲。更にオーケストラを伴わないモテット集である。これらの合唱曲は細部に至るまで良く熟知しているのだが、カンタータとくると20曲強を除いて、初めて聴くものばかり。バッハにこんな心躍る素晴らしい合唱曲が他にもこんなに無尽蔵にあったんだと感動と感激が収まらない。

そんなときに、悪魔のささやきが(笑)。

バッハの合唱曲が好きで好きでたまらない僕は、教会カンタータの中に収められた合唱曲をじっくりと味わおうとすると、とにかくCD55枚を繰り返し聴くしかないことになる。教会カンタータの中で合唱が占める割合は、曲にも依るが、カンタータ1曲20分間として、基本的には冒頭の5分程度なのである。もちろん必ずと言って良いほど出てくるコラールは混声4部合唱で歌われるのだが、やはりオリジナルの合唱曲とは別の範疇だ。

そこで、悪魔のささやきが。全ての教会カンタータの中から、合唱曲だけを抜き出して聴くことはできないだろうか!?という本当に困ったささやきがあり、誘惑された。
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あくまでも個人の楽しみのため。正しい聴き方ではないのだが

誓って申し上げるが、これはあくまでも竹重個人が聴いて楽しむだけの目的だ。僕は意を決して、CD55枚に及ぶ全教会カンタータの中から、合唱部分だけを抜き出して、オリジナルのCDを作ることを思い立った。

もう一つ申し上げておきたいことは、こんな聴き方は教会カンタータの正しい聴き方では決してないということ。教会カンタータはそれぞれの曲がプロテスタントの宗教曲として、その1曲毎に一連のストーリーと訴えかけがあるのは当然のことであって、前後の脈絡なく合唱曲だけを抜き出して聴くなんてことは、バッハも決して許してはくれないだろう。だから悪魔のささやきだと言っている。それは良く分かっているのだが、これは合唱指揮者の勉強のためと、何と言っても合唱曲マニアのたまらない欲望を満たすためだと思って許してほしい。誤解があってもいけないが、僕はこのオリジナルCDを聴く一方で、55枚の全教会カンタータの全体を聴くことを決して怠らないつもりではある。

合唱曲だけのオリジナルCDを作成することは中々の作業量。大変なアルバイトであるが、やってみる価値は大いにある。CD55枚にも及ぶ教会カンタータ全200曲から純粋に合唱曲だけをチョイスしたら、どれくらいの分量になるのか興味津々であった。これは解説書を調べれば直ぐに分かることではあるが、全教会カンタータの中に合唱曲は何曲あって、時間にしてどれくらいになるのか?まとめてCDにすると何枚分位になるのであろうか?

鈴木雅明・BCJの場合には、ゼン教会カンタータはCD55枚分である。その中から合唱部分だけを抜き出してきたら、CDは一体何枚位になるのであろうか?

これは本当に気の遠くなる作業となることは容易に想像がついたが、とにかく凝り性の僕は一度思い立ったら、やってみないことには諦めがつかず、その大作業を決行!
パソコンを駆使して、教会カンタータの全曲から合唱部分=合唱曲だけを抜き出す作業に取り掛かった。毎日3~4時間かかる作業を1週間ほどかかっただろうか。何とか実現することができた。

こんなオリジナルCDを10枚も作ってしまったのです!
こんなオリジナルの合唱コンピレーションCDが10枚も。バッハの肖像画は有名な2種類を使い分けてみた。

こうして夢の合唱CDが完成

こうして、正に垂涎の夢の合唱コンピレーションCDが出現した。繰り返すが、これはあくまでもCDの所有者である僕が、自分の楽しみのためだけに作ったオリジナルCDであって、他の目的は一切ない。自分が聴いて楽しんで、研究するためだけの目的だ。

こうして出来上がったCDが、ちょうど10枚となった。1枚当たりのCDにはそれぞれ75分収録した。というよりもそれが1枚当たりのCDに収録できる録音時間の限界だ。それがピッタリ10枚。

これが僕が教会カンタータ全集(CD55枚組)から作ったオリジナルの合唱コンピレーションCDの全容。全10枚


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教会カンタータに占める合唱曲の全容が明らかに

この大作業を決行して、結構重要なことが明らかになった。合唱を伴う教会カンタータの数は136作品。その中で合唱曲の数は全部で170曲!
全ての教会カンタータを通じて合唱曲は170曲ある。170曲!何だか途方もない数。

僕のようなバッハの熱愛者にして合唱指揮者でもある合唱音楽マニアが、この宝の山であるCD10枚にも及ぶ合唱曲をほとんど放置していたのである。本当に恥ずかしい。だが、これで俄然、元気になって、以来毎日狂ったようにずっと聴きまくっている。

実はことはそれだけでは終わらなかった!僕はとにかく異常なまでの凝り性なのである。

こんな感じ。CDに収められた曲の内容はかなり丁寧に表示してある。

コラールももちろん合唱。これも全て抜き出してみる。

合唱曲とは別に、全てのコラールもまとめてCDにしてみようと思い立ったのだ。教会カンタータの全曲を対象とした合唱のコンピレーションCD作成の第2弾である。

さすがに讃美歌のコラールだけを抜き出してもこれだけを聴くことは少し辛くなってくる。コラールは4部合唱によって歌われるが、基本的には1曲は40~50秒足らずの短い曲ばかり。讃美歌なんだから想像がつくでしょう?

ということで、これだけでは少し退屈してしまいそうなので、これまた新たな悪魔のささやきがあって、今度は全教会カンタータからオーケストラによる合奏曲だけを抜き出して、コラールと組み合わせることにした。曲の冒頭のシンフォニアと呼ばれるオーケストラ曲だけのコンピレーションである。

ところがこれが思っていた以上のかなりの大作業。合唱曲だけの抽出よりも余程時間がかかってしまった。こうして出来上がったシンフォニアとコラールだけを集めたオリジナルCDが、こちらは7枚。思っていたよりも遥かに多かった。シンフォニアを中心とするオーケストラ曲が多分CD2枚分弱はあると思うので、純粋なコラールだけとしてはCD5枚分程であろう。非常に短いコラールが5枚にも及ぶことにビックリだ。とにかく歌われる数がめちゃくちゃ多いのである。

こうして、バッハの全教会カンタータCD55枚を要する中で、バッハが作曲した純粋のオリジナル合唱曲がCD10枚分。コラールが5枚分。教会カンタータ全55枚のうち、15枚分は広い意味での混声合唱が占めていることが見事に判明した。合唱の占める割合がかなり大きいことがはからずも明らかになった。

 

こちらが同じくコラール(シンフォニアを含む)だけを集めたオリジナルのコンピレーションCDの全容。全7枚。
これがシンフォニアとコラール集のオリジナルCDの拡大写真。コラールは1曲の教会カンタータの中に複数含まれていることが多い。曲の詳細を書くとバッハと鈴木雅明の肖像画も小降りに。

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カンタータの合唱曲の素晴らしさに酔い痴れる!!

こうして本当に夢の合唱コンピレーションCDが誕生した。素晴らしいの一言。教会カンタータ200曲の中から合唱曲だけを抽出した10枚のCD。これは僕にとって本当にかけがえのない宝物のCDとなった。こんなCDが自分の手元にあって、いつだって自由にそれを聴けると思うとたまらなく嬉しい。それを頭に思い描くだけで、人生は限りなく楽しくなってくる。ましてや実際に聴いてみれば、正に天国にいるかのようだ。

最近はコロナ禍の真っ最中にあり、日々やり切れないこと、嫌なこと、怒りが収まらないことなどで溢れ返っているが、このカンタータの合唱曲だけを収めた10枚のCDのことを考えると、それだけでたまらなく幸せな気分になってしまう。

バッハの合唱曲については、僕はロ短調ミサ曲を筆頭にヨハネ受難曲、モテット集などその全ての合唱曲を熟知しているつもりであったが、それらを全て集めても合唱部分はCDにして4枚程度に過ぎない。

ところが、教会カンタータ全曲の中の合唱曲は、何とそれの2倍以上。実に10枚分もあるのだ。聴きごたえのある合唱のオンパレード。

本当にこの170曲。どの曲を取っても全てが珠玉の名曲ばかり。力強さ、輝かしさ、神々しさ、そして心浮き立つ愉悦感と喜び。一方で深い悲しみと絶望。悲痛と悲愴。そんな人間の喜怒哀楽が充満する一方で、宇宙の神秘さと深遠さ。限りない美しさ。ここにはバッハの音楽の、全ての要素が凝縮されている。

時々、良く知り抜いた馴染みのある曲が流れてくる。僕が愛してやまないロ短調ミサ曲の有名な合唱曲が流れ出して来たりする。よく聴くと歌詞がまるで違う。

バッハはこんなパロディをよく使ったようだ。ロ短調ミサ曲の素晴らしい合唱曲のオリジナルが、教会カンタータにあったりする例は何曲もあって、本当に興味が尽きない。正に最高の音楽体験となる。

鈴木雅明とBCJの合唱演奏の見事さに舌を巻く

それにつけても強調しておかなければならないことは、バッハの合唱の素晴らしさだ。本当に感動的な合唱。これに尽きる。

鈴木雅明とBCJの合唱は本当に見事なもので、ただただ感嘆してしまう。こんな素晴らしい合唱は滅多に聴けるものではない。極めて純度の高いのびやかを誇りながらも、強靭さにもしなやかさにも事欠かない。それでいてその声はどこまでも美しく、優しさに満ち溢れている。

こんな最高レベルの合唱で、バッハのカンタータの全合唱曲170曲、CD10枚分を聴ける喜びと感動。僕にとって最後に残されたバッハの未知の合唱曲との出会いと耽溺。バッハと合唱を聴く至福感、ここに極まった感がある。

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このオリジナルCDを見てほしい!

僕の凝り性は我ながら半端じゃない。このオリジナルCDのレーベル印刷を見てほしい。

バッハの2種類の肖像画を並べるとこんな感じだ。

バッハの肖像画と鈴木雅明の写真を組み合わせ、詳細な曲のタイトルも印刷してみた。中々いいでしょうと我ながらご満悦。

今後はこのCDをじっくりと聴き込んで、バッハのありとあらゆる合唱曲を脳裏に刻み込みたい。至福のひとときがここにはある。



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