【第7章】からの続き
某自治体病院ではなされていなくて、民間から事務長職として赴任した僕が新たに導入した取り組みの第8弾である。
某自治体病院が如何に何もできていなかったのか、何もやってこなかったのかを検証する第8弾だ。今回は医事課に絡む諸々の問題についてまとめてみたい。
目 次
某自治体病院の医事課の様々な課題
某自治体病院の医事課には大小様々な課題と問題点が山積していた。
課長を筆頭に、幹部職員および役所からの出向職員のほとんど全スタッフがあまりにも意識が低過ぎて、早急なテコ入れが必要だと痛感させられた。
医事課は病院で働く事務職員の中で、最も重要な役割を担う部門である。医師を始めとする全ての医療職に加えて、事務系の職員の業務まで、院内で行ったありとあらゆる業務をお金に換える部署だ。医事課がいなければ、いくら医師が一生懸命に医療行為を行っても、1円も入ってこない。
こんなことは当たり前過ぎる。
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深刻な懸案事項の数々
そん重大な役割を担う医事課に、具体的に以下のような懸案事項があった。
① レセプト請求がちゃんと行われているのかどうか。
ア 請求漏れが相当あるのではないか?
イ 請求漏れの実態に気がついてすらいないのではないか?
ウ 医師の協力があればもっと確実な請求ができるのに、その努力をしているのか?
エ DPCの分析はちゃんと行なわれているのか?
オ EVE(DPC分析ベンチマークシステム)を用いたDPC分析がほとんど行なわれていない! カ 外来管理加算(難病外来指導管理料等)はちゃんと請求しているか? などなど
②診療情報管理士の問題が大きかった。
ア 数が少なすぎること(10名のみ)
イ 診療情報管理士に本来の仕事をやらせていないこと(10名しかいないのに、その10名に診療情報管理士本来の仕事をさせていない)。
経営分析がほとんど行われず
DPCに関してイヴを用いたベンチマーク分析などができていなかったことは上述したとおりだが、それ以外にも経営分析と呼べるような分析がほとんど行われていなかった。
ア 診療科別、医師別の損益状況が作られていない。
イ 収益を拡大するためにどう取り組むべきか等の検討もなされていない。
ウ どんな施設基準を取り入れるべきか、課として検討しているか。
エ 各種加算の請求実績と対策が不足。
というよりも経営分析を行い、担当する部署が、病院の中にどこにも存在しなかった。こんな病院は全く珍しい。
組織も人もスキルもない、というのが某自治体病院の医事課の現状だった。
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抜本的な意識改革が不可欠
とまあ、某自治体病院の医事課の惨状を列挙すると、枚挙にいとまがないが、そんなことよりも僕が最も問題だと痛感させられ、抜本的な意識改革を断行する必要性を感じたのは、以下のことだった。
医事課の役割は何なのか!?
医事課の役割、換言すれば医事課の目標は何か!?
多くの病院職員が誤解している可能性があるが、医業収益の確保そのものが医事課の仕事だと言うに尽きる。
医事課は医師を中心とする各医療職が行った医療行為、看護業務などをレセプトで請求し、その結果をまとめて分析して報告する、そう思っていないだろうか?
そうじゃない!それでは全く足りないのだ。表面的に見ればそうなるがそうじゃない!
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医業収益の確保そのもの
例えば、ある病院で1カ月間の医業収益の目標額を入院・外来合わせて、仮に15億円としよう。あらゆる医療行為、看護業務などを含めて達成を目指すわけだが、本来の医事課の目的と役割は、その1カ月15億円の医業収益の確保そのものにある。この15億円の医業収益の確保そのものを医事課の役割、ハッキリ言って責任とするのである。
医事課職員は事務屋であり、医療行為は当然できないから本来1円も稼ぐことはできない。だが、医事課として1カ月15億円の医業収益の確保に責任を持つ。これがポイントだ。
民間病院ではそう捉えているし、少なくとも優良な病院の医事課はそういう意識で日々業務に当たっている。

医事課の目標と存在理由
とすると、入院患者数、ベッド稼働率、平均在院日数、入院・外来の診療単価など、医事課がはじき出す医事統計の数値(KPI)そのものの達成も医事課の責任となってくる。
それらを達成しないと医事課として目標を達成したことにならないので、
医事課職員は日々、「現在、患者数が少ないな」、「入院患者が減少していてベッドが空いているな「、「ベッドは埋まっているが、平均在任日数が長くて患者が回転していないな」などなど全ての数値の当事者となって、どうしたらもっと改善できるのか、入院の診療単価を上げるためにはどうしたらいいのか?真剣に考え、それをドクターや経営陣に提案することになる。
それが医事課の役割であり、存在理由だ。
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「コペルニクス的転回」を図れ!
それを、単に結果をまとめて報告している平気の平左、病院の経営に参画していることにもならず、この意識改革は「コペルニクス的転回」に匹敵する。
某自治体病院の医事課の幹部たちは、そのことを僕がどれだけ口を酸っぱくして説いても、最初のうちは全く理解してもらえなかった。
このポリシー、基本的な考え方を受け入れてくれるようになるまでに2年近くかかったように思う。
医事課の最大の問題はここだった。
このような意識改革ができれば、後は手段を講じるだけだった。この意識の低さの問題の前では、他の様々な懸案事項はちっぽけな問題だと言ってしまっても構わない。
その「ちっぽけな問題」の数々。
いや、いずれも大きな問題だったのだが(笑)。
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教訓と改善策【医事課の抜本的意識改革】
医事課は病院の事務部門で最も重要な役割を担っている。
そのためには抜本的な意識改革を図る必要がある。
1.医事課の目的と存在理由は、医業収益の確保そのものだ。病院の目標である医業収益の確保そのものを医事課の目標と捉えることが、絶対に必要となる。
2.そのための抜本的な意識改革が不可欠。
3.いかに医業収益を拡大し、目標を達成するのか!?医師と二人三脚で、必死で考え、勉強しなければならない。
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夜間と土日の会計に対応できないお粗末
夜間や土日の患者の医療費の計算(請求業務)ができずに、後日精算や預かりになっていることを知ってビックリ驚嘆。
自治体立のこれだけのスペックを備えた公的病院では考えられないことだった。医事課にニチイとの交渉を進めさせ、何とか2年目から改善を実現させ、夜間や土日の当日計算ができるようになった。
こんな話しは僕が実現させた見直しとしては、恥ずかしくて他には言えないことだ(笑)。
1階事務所(医事課)のレイアウトが致命的
僕が入職した4年前には、医事課のある1階の事務所は、担当業務毎にあっちこっちがパーテーション等で区分され、それぞれに壁を作って、連携がまるで取れていなかった。
これにも入職早々にゲンナリさせられた。
医事課の幹部、企画部門とレセプト請求部門。地域連携、入退院支援センター(前方支援)、医療福祉相談室(後方支援)などが、それぞれパーテーションで仕切られており、文字通りの壁を作っていた。
こんな事務所を見たのも、某自治体病院が初めてだった。
僕は躊躇することなく、パーティションや仕切りなど全て撤去させるように指示。
早急かつ抜本的に見直すように迫り、検討期間、準備などで数カ月かかったが、最終的にオープンスペースに変貌させた。
某自治体病院の医事課の大改革にはかなり手こずった。
【第9章】に続く
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