一日で一気に読み切った出口さんの本の話し

先日、僕が出口さんからAPUの東京キャンパスに招かれて、感動的な面談が実現できたことは詳細に報告させていただいたとおり。前編後編の2部構成という非常に長いものになってしまって、我ながら呆れ果てているところだ。

その中でも詳しく報告させてもらったが、僕は出口さんとの面談のアポが取れた後、実際にお目にかかれるまでの約2週間の間に、できるだけ多くの出口さんの著書を読んで面談に向かおうと決心し、新たに出口さんの本を5冊注文し、何とかギリギリのタイミングで5冊を読み終えることができた

これからしばらくの間、この時に読み終えた5冊を読んだ順番どおりに取り上げ、紹介していきたい。

最初の一冊は、出口さんの読書論と膨大な読書コレクションの中からの特に推薦に値する本を紹介する1冊。

タイトルは、「本の『使い方』1万冊を血肉にした方法」である。

紹介した本の表紙
こちらが表紙。出口さんの優しい表情が素敵だ。

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「本の『使い方』1万冊を血肉にした方法」の基本情報

株式会社KADOKAWAから出版されたソフトカバーの単行本である。2019年6月21日初版発行となっている。

裏扉の解説によると、本書は2014年にKADOKAWAから刊行された同名の新書を、加筆・改筆の上、再編集したものだという。

最初に新書で刊行されたものが、後になってソフトカバーとは言っても単行本になるとは驚きだ。

ページ数は「おわりに」を含めて239ページ。それに編集後記を含めて242ページ。更に巻末には「本書内での紹介書籍一覧」が付いており、この部分が11ページもあり、それを合わせると、全体で253ページとなる。

冒頭には「再刊にあたって」という最初に新書で刊行されたものが後に加筆されて単行本になった際の出口さんの思いが書いてある。10ページちょうど。これが中々の読み物だ。

 

全体の構成と目次の内容

本書は目次だけで11ページもあり、テーマに応じてかなり細かく分けられている。

これを見ると本書の内容も非常に良く理解できるので、全て列挙してみたい。

再刊にあたって
はじめに(初版時)

第1章 「本」とは「何か」—教養について考える
 1 「教養」と「教育」の違い
 2 教養を得るための効率的なツール
 3 どのジャンルを学んだらいいか
 4 リベラルアーツの必要性
 5 本、新聞、インターネットの違い
 6 本を読まない人が増えると、どんな影響があるのか

第2章 本を「選ぶ」—「おもしろそうな本」という鉄則
 1 未知の分野の勉強のしかた
 2 どうして古典が難しく感じるか
 3 古典を読む意義
 4 古典の選び方
 5 現代の本の選び方
 6 図書館を活用する
 7 ラーニング・コモンズとして機能するAPUのライブラリー
 8 本の薦め方

第3章 本と「向き合う」—1行たりとも読み飛ばさない
 1 読書の作法
 2 本は、人
 3 歴史書の読み方
 4 速読より「熟読」
 5 ビジネス書との距離の取り方

第4章 本を「使う」著者に左右される人、されない人
 1 数字・ファクト(事実)・ロジック(論理)
 2 本に即効性を求めない
 3 本の再読
 4 考えるとは、言語化すること
 5 目的別のお薦め本

第5章 本を「愛する」—自分の滋養、他社への架け橋
 1 本との出会い
 2 小学生時代
 3 中学生時代
 4 高校生時代
 5 大学生時代
 6 社会人時代
 7 読書が与えてくれるもの

おわりに
編集後記
本書内での紹介書籍一覧

目次の写真①
タイトルの下に更に細かいチャプターが設定されている。いかにも出口さんの本である。非常に丁寧な内容の良く分かる目次である。
目次の写真②
目次にしっかりページ数をかけ細かいチャプターを設定されているので、読者は非常に読みやすいし、理解もしやすい。出口さんの本はいつもこの配慮を欠かしたことがない。

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非常に読みやすくて1日で読了

この本は本当に読みやすくて、僕は週末1日(2024.2.4・土曜日)で完全に読み終えることができた。

出口さんが否定している読み飛ばす速読ということでは決してなく、かなり丁寧に熟読したが、冒頭から最後まで土曜日1日で読み切っている。

それはこの本が非常に読みやすかったということはもちろんだが、何と言っても、書かれている内容が実に興味深く、おもしろかったことが一番だ。

僕も無類の本好き人間なので、ページを捲る手が止まらなかった。

出口さんが語る「本に関する全て」

上述の目次を見てもらえば一目瞭然だが、この本には出口さんの本に対する様々な想いが色々な側面から書かれている。

出口さんが今までに読んできた1万冊の本の、単なる羅列や紹介に留まる本では決してない。

むしろ、そんな具体的な本の紹介よりも、本を読むことの意味どうして本を読むことが求められるのか、そのあたりの読書論が中心になる。

本と一口に言っても様々なジャンルがあり、先ずはそのジャンル別の本の選び方についての出口さんの考えが語られる。

次は、本はどうやって読むのかという本の読み方論が展開され、更にその読んだ本をどう使うのかという「使い方」が語られるが、本書のタイトルになっているこの「使い方」が非常に大切な部分である。

そして一番最後に、出口さんの読書遍歴が小学生時代にまで遡って紹介される。この部分が圧巻だ。

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出口さんの本への想いが俯瞰的に示される

それら出口さんと本との関りが様々な視点から自由に語られるのだが、目次にある「 」で囲まれた部分がキーワードとなってくる。

すなわち、本とは「何か」を皮切りに、「選ぶ」「向き合う」「使う」「愛する」という視点からの出口さんの本との関りが語られ、その全体を「ほんの『使い方』」と総括している。

サブタイトルの「1万冊を血肉にした方法」というのは、実にうまい命名だと感心させられた。

本と出口さんの関りを俯瞰的に捉えて、一言で表現するとすれば、まさしく「1万冊を血肉にした方法」という表現に尽きると、納得させられる。

中でも重要な内容は、冒頭の「再刊にあたって」と第1章の「本とは何か」という部分に出口さんの本に対する姿勢と思想が凝縮されている。

「本を読むことによって何を目指そうとしているのか、出口さんは何を期待しているのか」。その一番大切な部分は、どうか実際に本書を読んで、皆さんが直接確認し、感じ取ってほしいと切に願うものだ。

幼少期からの読書遍歴には圧倒される

読んでいて僕が言葉を失い、思わず唖然としてしまったのは、第5章の出口さんの数十年間に渡る読書遍歴である。幼稚園の頃からと幼少期にまで遡って書かれているのだが、本当に驚かされる。

小学生時代が凄すぎて呆れ果ててしまう程。圧巻の一語である。図書館にあった文学全集を読破したという。

「少年少女世界科学冒険全集」(全35巻)、江戸川乱歩の「少年探偵シリーズ」(全26巻)なども全巻読破。

更に中学時代、高校時代とどんどんエスカレートしていく。

それを一々列挙しても始まらない感じがする。ここは実際に本書を読んでいただいて、衝撃を受けてももらうことをお勧めする(笑)。

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ここで教えてもらった興味深い本の数々

出口さんが推薦する本の中に、僕がほとんど知らない、はっきり言うと本のタイトルさえ知らないものが数多くあった。

自分がいかに本を読んでいないのか、痛感させられた。

自分の読書量の貧弱さが恥ずかしい限りだが、これらの本の紹介は非常に刺激的で、これから是非とも読んでみたいと猛烈に食指を動かされる本が、何冊もあった。

その中でも、特に魅力を感じた数冊を紹介させていただく。

ユルスナール「ハドリアヌス帝の回想」

何といっても、ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」だ。実は、この本のことは、本書を読む前に出口さんの他の本で知って、一挙に興味を持って、現在じっくりと読み始めたところである。

今となっては、こんな重要にして素晴らしい本を、今まで知らずにスルーして生きてきたことが恥ずかしいと言ってしまいたくなる名著。

それを最初に知った出口さんの他の本というのは、何と既にこの熱々たけちゃんブログで取り上げたあの本。感動的な「復活への底力」である。

あのリハビリ闘病記の中で、「無人島に1冊だけ本を持っていくとしたら」と聞かれたら、僕は迷わず、この本を上げるでしょう、として紹介されていたものだ。

回復期リハ病棟で懸命なリハビリを続けている真っ最中、コロナが終息したら、今までに30回以上も行ったことのあるヨーロッパで最も好きな街ローマにまた行きたいという思いの中で、この本のことが出てくる。

今回の本の中でも、全く同じ表現で取り上げられている。

「無人島に1冊だけ持っていけるとしたらどの本?」という設定は、正に今までに読んだ本の中で、一番感動した、一番愛着を感じる本と同義だと考えるべきだ。

出口さんは本書の中ではっきりと「僕はこれまで、おそらく1万冊以上の本を読んできましたが、まだこの本を超える本に出会ったことはありません。間違いなく、ナンバーワンと言える作品です」
口を極めて絶賛している。

更に引用する。

「僕は、との本も一期一会のつもりで読んでいますから、同じ本を繰り返して読むことはそれほど多くありません。ただ、その本だけは違います。これまでに何回も、最初から最後まで精読しています。
 この本にはクライマックスと呼べる部分がなく、どのページを開いても、深い洞察に溢れた文章に出会うことかできます。詩人である訳者、多田智満子の文章も実に美しい。適当に開いたページを少し読むだけでも、気持ちが落ち着きます
(中略)人間を知るうえで、これほど役に立つ本はありません

これを読んで、興味を持つなと言う方が無理である。

ちなみに、同じシチュエーションとして、様々なバリエーションがあって、「無人島に1枚だけ持っていけるとしたらどのCD?」「無人島に1本だけ持っていけるとしたら、どの映画?」など、色々と企画されていて、興味が尽きない。

「人生最後の晩餐に食べたいものは何?」もその類の質問である。

いずれにしても、これだけ膨大な量の本を読んできた出口さんが選ぶ最も大切な本が、ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」と知って、僕は衝撃を受けた。

古代ローマの五賢帝の一人であるハドリアヌスのことはもちろん良く知っていたが、フランスの女流作家のユルスナールのことも、そんな感動的な本があることも、正直知らなかった。恥ずかしい。

直ぐに購入して読み始めると、本当に素晴らしい内容で、一挙に心を奪われてしまった。現在、大切にゆっくりゆっくりと読んでいるところである。

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若桑みどり「クアトロ・ラガッティー天正少年使節と世界帝国」

これも大変な名著なようで、どうしても読んでみたくなった。

出口治明さんはこう紹介している。全文引用する。

「我が国は、グローバリゼーションの荒波にもまれています。しかし、グローバリゼーションは、世界の歴史の上では、何度も立ち現れているのです。
 ダレイオスの時代、クビライの時代、そして安土桃山時代もそうでした。日本人がグローバリゼーションに対峙した時代に僕たちの先達がいかに振る舞ったか、この力作を読めばそれがよくわかります。改めて日本人の素晴らしさと、歴史の非情さが胸に染み込んできます。是非、この名作を読んでグローバリゼーションを自分の頭で考えてください」

カリール・ジブラン「預言者」

この本のことも全く知らなかった。短いものなので、これも出口さんの紹介を全文引用させてもらう。

レバノン出身の詩人・哲学者・画家である著者が、愛、労働、喜びと悲しみ、友情といった人間に普遍的なテーマを取り上げ、とても美しい言葉で語りかけてきます。
『愛は愛自身のほか何も与えることなく、愛自らしか受けることがない』など、丁寧に磨かれた言葉は、こんなにも美しいものなのか、と清冽な感動を受けること間違いなしです」

どうしたって読んでみたくなる。

ウォーラーステイン「近代世界システム」

名前は聞いていたが、実際には読んだことのなかった2冊の紹介を読んで、これまた恥ずかしくなってしまった。自分はあまりにも本を読んでいなさ過ぎる。

こちらは歴史書である。歴史的名著と断言する出口さん。

これを読まずに歴史好きなどと名乗るなかれ、と出口さんから罵倒されたような気すらした。

アンダーソン「想像の共同体ーナショナリズムの起源と流行」

このアンダーソンが2冊目だ。

出口さんは、「ナショナリズムの特徴をえぐり出した名著です。国民国家とは何かを勉強するうえで欠かせない1冊だと思います」とし、現代の歴史を学ぶ上で、ウォーラーステインとアンダーソンは避けて通れないと思いますと書いている。

僕は歴史が大好きな人間なのである。本を読むことも。それなのに知らなかった。

正直に言って自己嫌悪に陥っている。

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高坂正堯のこと

高坂正堯(こうさか まさたか)は日本を代表する高名な国際政治学者

自民党の外交政策に関わり、1960年代以降、佐藤栄作、三木武夫、大平正芳、中曽根康弘といった歴代総理のブレーンとして長く活動したことで知られる。

1980年代末から90年代にかけては、多くのテレビ番組でもコメンテーターなどを務め、一般的にも良く知られた存在だった。

高坂正堯は1996年に62歳の若さで亡くなって、早いもので約30年。ここに来て、ちょっとしたムーブメントが起きていて、彼の本に注目が集まっている。

そんな中で、僕も高坂正堯の本を本格的に読み始めていたところだった。4冊も同時に買い込んで、今、他の何冊かの本と並行して読んでいる真っ最中。

高坂正堯は京都大学法学部の教授だった。出口さんの学生時代の教員だったわけだ。出口さんはいくつかの著書で高坂正堯の授業の思い出を語っている。

本書でも、大学生時代の読書遍歴として、高坂正堯のことに触れている。

「当時の京都大学には個性的な先生がたくさんいましたが、僕は、とくに2人の先生の影響を受けたように思います。高橋和巳と高坂正堯の両先生です。(中略)

高坂正堯は、古典の大切さを教えてくれた先生です。(中略)

高坂先生には、また、エドマンド・バークとトクヴィルについて、つまり「保守主義」の根本についても教えを受けました。バークやトクヴィルを読み始めたのも、間違いなく高坂先生の影響です。『海洋国家日本の構想』や『国際政治』など、当時熟読した高坂先生の著作は現在でもまったく色褪せていないと思います。」

と絶賛している。

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読み込む程に本書と出口さんの深さが分かる

本書の後半は、このように出口さんが読んできた名著、おもしろかった本の紹介である。

1冊についてはごく短い紹介やコメントなのだが、その本の本質を鋭く突いて、読み飽きることがない。

というよりも本書が読みやすい本だけにサラっと読み過ごしてしまいがちだが、じっくりと読み込むほどにその含蓄の深さと、その本の持つ限りない魅力がしみじみと伝わってくる。

そして著者の出口さんの深さも。

出口さんに魅力を感じている方、本が好きな方にとってはかけがえのない1冊。直ぐに読める非常に読みやすい本なので、声を大にしてお薦めしたい。

 

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