シャクヤクが姿を消す悲しい季節

早くも6月が終わろうとしている。もう7月が目前に迫ってきた。

本日(2025.6.27)、西日本では観測史上最も早い梅雨明けとなったというニュースが駆け巡っている。

こうなると、シャクヤクの季節は完全に終わりを迎えることになる。我が家の庭のシャクヤクはもうとっくに全て姿を消した。5月中に消えてしまっていた。

悲しい季節の到来だ。

不思議なことに、街中の花屋さんにはまだシャクヤクの花が市販されているのを見かけるが、さすがに少なくなってきた。

それはそうだ。もう梅雨明けで、猛烈な熱射地獄が始まる季節が到来したのだから。

そもそも今年は梅雨入りが遅く、しかも空梅雨だった。梅雨の真っ只中にあっても、もう灼熱の猛暑が連日続いていた。6月から凄まじい猛暑に見舞われていたのである。

スポンサーリンク

ごく身近で衝撃的な遭遇を果たす

そんな状況の中、驚きの体験をしてしまった。

何と我が家のすぐ近くにある行きつけのスーパーの一隅にある花屋さんで、あの「かぐや姫」と遭遇してしまったのだ。

6月20日の金曜日だった。

僕は5月以降、そのスーパーに行くと、必ず店内の片隅にある花屋を覗くようにしていた。お目当てはもちろん、シャクヤクだ。

我が家の最寄り駅に隣接するデパートの入り口付近にあるお洒落な花屋、今はフラワーショップとか、フローリストと呼ぶのだろうが、そことは値段も大違い。品種の数や量は決して多くはないのだが、驚くほど立派なシャクヤクが、破格の安値で売られていることもあって、必ず立ち寄るようにしていた。

スポンサーリンク

開花した「かぐや姫」と出会ってしまう

そこであるものを見かけてしまった。金縛りにあったかのようにビックリ仰天し、しばらく歩けなくなる程。店の奥に目を疑うような、巨大な花が満開に咲き誇っていた

えッ!?あれは一体なんだ。この時期にまだシャクヤクが残っていることだけでも驚きだったが、その花の大きさといったら度肝を抜く

中に入って恐る恐る花に近づく。これはどう見ても「かぐや姫」に違いないと直感した。「うわあ、こんな小さな店にかぐや姫がいる」と心臓がバクバクだ!!

そう思って、良く見ると、ケースにしっかりと「かぐや姫」と書いてあった。こんなことも珍しいので余計に驚いてしまった。他の様々な品種には、シャクヤクとあるだけで、個別の品種名なんて全く書いてない。

「かぐや姫」だけ「かぐや姫」と。

これを目にした時の衝撃と感動を想像できるだろうか!?

思わず「うわあ!」と声が出てしまった。

スーパーの店内で買い物をしていた女房を探して、見てもらうと、彼女も「わあ、大きいねえ」と感嘆の表情。

スポンサーリンク

 

信じられない廉価に更に仰天

そこには4輪程あった。しっかりと開花している。満開状態。それだけにめちゃくちゃ大きい

僕は若い店員さんを呼んで、「これはシャクヤクのかぐや姫ですね。僕はシャクヤクのマニアで、このかぐや姫という品種はあらゆるシャクヤクの中でも最も大きな花を誇る品種で、我が家でも育てているが、2年目の今年は、花は咲いたものの、まだ小さい云々」と話し込んでしまう。

何と1本380円だった!

あの巨大なシャクヤク「かぐや姫」の大輪が、たったの380円!?

目を疑った。確かに380円と貼ってある。税抜のようなので、実際には418円になるのだが、それにしても安過ぎるだろう!?

スポンサーリンク

しっかりした店員さんだった

その若い店員さんに、「どうしてこんなに安いんですか?非常に珍しい貴重なシャクヤクなのに」と尋ねると、若いお姉さんとはいっても、さすがにプロだ。

非常に納得できる明解かつ誠実な答えが帰ってきた。

「もう満開に咲き過ぎてしまって、日持ちがしないので、売り物にならないんです」と。

「ここまで開いてしまうと、直ぐに花弁が散り始めます」と言って、4輪あったかぐや姫を見て、お薦めできるのはこの1輪だけですね」と4つの中にあっては、一番小振りな花を薦めてきた。

「他はもう開き過ぎて商品になりません」

確かに満開で、開き過ぎている。それにしてもゴージャスだ。
確かに満開で、開き過ぎている。それにしてもゴージャスだ。

 

驚いた。若い女性だったが、プロフェッショナルだった。ちゃんと花を売る者としてのポリシーというか、哲学を持っている。大いに感心した。

ということで、僕はその店員が薦めてくれたあの中にあっては小振りな1輪を418円で購入して、嬉々として帰宅したのだった。

スポンサーリンク

開花した立派なかぐや姫を見たのは初めて

僕は3年前に、JR御茶ノ水駅に隣接した小さな花屋で、偶然にかぐや姫の咲きかかっていた巨大な蕾を見つけ、腰を抜かさんばかりにビックリさせられた。

以来、かぐや姫に憑りつかれて、何とか自分の庭でも咲かせてみたいと2年間、ずっと大切に育てあげてきたことは多くの読者はご存知だろう。

3年前の御茶ノ水駅での衝撃的な出会い。この巨大な蕾に言葉を失った。
3年前の御茶ノ水駅での衝撃的な出会い。この巨大な蕾に言葉を失った。
本当にこの時は衝撃を受けた。これが僕とかぐや姫との出会いだった。
本当にこの時は衝撃を受けた。これが僕とかぐや姫との出会いだった。

 

その初めてのかぐや姫との衝撃的な出会いも、実は開花目前の巨大な花(蕾)を見ただけで、実際に咲いている花は、ネット上の写真で見たことがあるだけで、一度もなかったのだ。

それを、普通ならもう終わっている6月下旬に我が家の直ぐ近くの行きつけのスーパーで見つけるとは、本当に信じ難い話しだった。

我が家のごく近くで実際のかぐや姫の開花姿を発見したばかりか、我が家のリビングの花瓶の中に挿してある。

文字通り最後の最後に、本物のかぐや姫の降臨を体験することになった。

何て幸せなんだろうと、しみじみ思った。

スポンサーリンク

 

満開に咲き誇る巨大なかぐや姫

これが購入したかぐや姫の姿である。いかがだろうか?

本当に大きな花、巨大と表現するしかない花だった。こんなに大きなシャクヤクは、未だかつて見たことがない。信じられない程の大きさである。

写真を何枚か撮ったので、確認してほしい。花の大きさを写真で実感してもらうのは、実は至難の技で、上手く伝わらないことにいら立ちを感じてしまう程だ。

今回はマジックペンや物差しを当てがったが、こんなものは写真のアングルでどうにでもなるので、まるで実相が伝わらない

3年前の御茶ノ水の花屋のお姉さんのように、花そのものも手で持ってもらうのが一番良かったかと、後悔している。

それでも、雰囲気だけでも伝わるだろうか。

茎の部分の太さにも注目。
茎の部分の太さにも注目。
これは比較的大きさが伝わるか。花を持つ手の大きさとの違い!
これは比較的大きさが伝わるか。花を持つ手の大きさとの違い!

スポンサーリンク

思っていたよりもずっと美しくもある

今回、開花したかぐや姫の大輪を実際に目にして実感したのは、想像していたよりもずっと美しい花だったということだ。

かぐや姫の魅力は、とにかくその途方もない花の大きさに尽きると思っていた。ここまで巨大な花は、その大きさだけで何よりも貴重だと。

大きさだけを誇る花で、花そのものの美しさはどうってことない、大きさと美しさとは別物に違いないと。

逆に言うと、あまり美しくない花でも、あそこまで巨大だと、そのことだけでも絶大な価値がある。そういう花だと勝手に思い込んでいた。

とんでもない誤解だった。十分に美しい魅力的な花だった。

濃淡が何とも美しい。
濃淡が何とも美しい。

淡いピンクが何とも美しい。
淡いピンクが何とも美しい。
清楚な美しさ。
清楚な美しさが際立つ。

 

薄いピンクがかった白で、非常に品がある。控えめな清楚な美しさ

実にいい。どれだけ眺めていても見飽きることがない。天は二物も三物も与えてしまうのだった。

かぐや姫バンザイ!

スポンサーリンク

我が家のかぐや姫は、本当にかぐや姫?

こういうものを実際に見てしまうと、どうして我が家のかぐや姫は、大きさといい、色といい、到底同じ品種、同じ花だとは思えないのだが、何故なんだろうと不安になってくる。

これから年ごとに花の大きさが変わってくる、色も変わってくるなんていうことがあるんだろうか?にわかに信じられないのである。

やっぱり別のお姫様なのだろうか?不安と疑惑がいよいよよぎってくる。

一方でかすかな期待を抱いているのも確かだ。この答えもまた来年以降となる。

スポンサーリンク

 

ホンの数日だけの美しい姿だった

その週末は、ちょうど長男一家が勢揃いで我が家に帰省してくれたので、みんなにこの驚嘆すべき巨大な花を見てもらって、タイミングとしては抜群だった。

ところが、日曜日の昼過ぎにに息子一家が帰ってしばらくすると、早くも外側の花弁が散り始め、「えッ!?」と思ったのも束の間、その後は、アッという間に萎れてきてしまった

店の店員から「売り物にならないくらい日持ちしない」と言われていたので、覚悟はしていたものの、本当に言っていたとおりの結果になってしまった。

それでも大いに満喫できた

購入したのが金曜日、日曜日の夕方には散り始めた

わずか2日間の目の保養だった。それでも、憧れのかぐや姫の実際の巨大にして美しい花を我が家のリビングで眺められただけでも幸せだった、と言うしかない。

これで完全に今年のシャクヤクは見納めとなった。購入したシャクヤクとは言うものの、今年最後の生花を心から満喫した。その最後が奇しくもかぐや姫だったというのも、運命のちょっとした悪戯としては上出来だった。

また来年を楽しみに待つことにしよう。

シャクヤク観察写真日記、2025年はこれにてお終い。

おすすめの記事