師長を巡る2つの課題と問題点

看護師長の問題に関しては、今までみてきたように師長になろうとする看護師が減ってきているという「師長になるまでの課題と問題点」と、師長とはどんな役割を担うべきなのかという「師長になってからの課題と問題点」の2つの側面がある。

ここからは後者の問題。ズバリ師長になってからの課題と問題点について考えていきたい。

師長はどうあるべきか、どんな役割を担っているのか、看護師長の理想的な姿はどういうものかを探っていきたい。

と言っても、僕は事務職なので、専門的なことは何も書けないし、少しお門違いなことを書いてしまう可能性も無きにしも非ずなので、最も重要だと思われるポイントに絞り込んで書かせてもらうことにする。

少し変わった視点から検討してみたい。

「輝いている師長」は誰から見て輝いているべきなのか?先ずはそこから始めてみたい。その答えは僕の中ではもう決まっている。ズバリ、誰から見ても輝いている必要がある。

ちょっと厳し過ぎるだろうか。

では、こう問いかけることとしたい。「看護師長はどっちを向いて仕事をするのか?」と。

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師長はどっちを向いて仕事をするのか?

看護師長はどっちを見て仕事をするべきなのだろうか?これは看護師長を評価する際にも重要な視点となってくる。

看護師長は日頃からどっちを見て仕事をしているのか!?そもそもそういうことを考えて仕事をしているのだろうか?

看護師長にとってより重要な方向はどっちだろうか?考えられる主な方向は以下の5つの方向となる。

看護師長が見るべき5つの方向性

①利用者である患者
②部下のスタッフ
③上司である看護部長
④院内の他職種(医師を含む)
⑤病院そのもの(経営面含む)

BSCと同じ発想で、全てにバランスを取る

全てが大切な方向で、一つとして外すことができないと言いたい。つまりどっちを向いて仕事をすべきなのかという問いの答えは、この5つの方向の全てを向いている風見鶏であるべきだと僕は考える。

そこで思い出していただきたいのがBSC(バランススコアカード)である。「5つ(4つ)の視点」を常に意識しながらバランスを取りながら病院の運営、経営に当たるというあの発想だ。

奇しくもここでも5つの方向性がある。

一つとしてないがしろにしていいものはない。

5つの全ての方向を意識しながら、ベストパフォーマンスを発揮してしほしい。それが僕の切なる願いであり、そういう看護師長が増えてくれば、必ず病院は変わる。そして存続することができると訴えたい。

このことができる看護師長が理想的な看護師長ではないだろうか。

悩み深き看護師長(どの方向も問題だらけ)

だが、この5つの方向性、実はいずれも大きな問題点ばかり抱えている厄介な代物だと認識せざるをえない。そんなこと言われなくたって分かっているとおっしゃるだろうが、念のため。

どこを見ても、どっちを見ても、課題だらけの職場と職種であり、満足できるなんていう場面に遭遇することはほとんど期待できない。

1.利用者である患者をみれば、病気で助からない、あるいは加齢で元気にはなれない相手ばかり。しかも看護師だけではその患者に対して何もできないという無力さを痛感させられることばかり。

命を救える可能性のある医者はあまりにも身勝手で無責任。患者と真摯に向き合わない。そんなときに看護師はどうしたらいいのだろうか?それでもモチベーションを保てというのは辛過ぎるかもしれない。

2.部下の看護師を見ても、問題だらけだ。中々成長してくれない部下。繰り返し問題行動を引き起こす部下。厳しく指導すれば直ぐにパワハラだとい訴えられるか、逆にメンタルを病んで休んでしまうかどっちかだ。こんな強過ぎる、あるいは弱過ぎる今風の若い看護師にいつも振り回されている毎日だ。

3.上司の看護部長、それを支えるべき副部長がまるで機能してしないとき、師長はどうなってしまうのか?支援もアドバイスも、理解さえもしてくれないのに、責任だけを押し付けてくる看護部長。どうしてこんなに頑張っている私を評価せずに、調子がいいだけのおべっか使いには甘過ぎる。

4.他職種を見ても、医師に対する不満は山積する一方だ。患者最優先で対応するい医者、ナースやコメディカルを大切にしてくれる医者は極めて少数派で、碌な仕事もしないで偉そうにふんぞり返っているだけの医者にも逆らえない無力感。

他のコメディカルは、専門業務のプロフェッショナルを目指す意識高い系と、職業団体との繋がりばかりを意識して、現在働いている病院への帰属意識が低過ぎる人ばかり。それは医者も一緒だ。自分の派遣元である大学、そこの教授の方しか向いていない。チーム医療は名ばかりだ。

そんな人間たちとどう付き合っていったらいいというのか!?

5.一方で、病院の方を向いても、厳しい経営難に陥っていて、将来性はゼロとしか思えない。
①経営のことばかりしか言わない病院長、事務部長
②経営をまるで改善できない無能力でやる気のない病院長、事務部長。リーダーシップも何も発揮できず、何の手段も講じずに放ったらかしを決め込んでいる病院長、事務部長
③副院長の意識の低さにも呆れてしまう。副院長という重責を担いながら、病院のことなどお構いなしに自分のことしか考えていない副院長があまりに多過ぎる。

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看護師長は、一体どうしたらいいの?

そんなどうしようもない職場で、意識の高い看護師、看護師長はどう対応したらいいのだろうか?

簡単には答えの出せない難問だ。

そうこうしているうちに、経営が立ち行かなくなって、病院が廃院に追い込まれてしまうかもしれない。そんな差し迫ったな経営悪化と廃院の危機の中で、看護師長はどうしたらいいのだろうか?

結局、辞めることになってしまう。やる気のある優秀な看護師長ほど絶望が深く、退職を選んでしまいがちだ。あるいはやむにやまれず退職に追い込まれてしまうケースも大いにありそうだ。

一つには看護師は潰しが効く。その病院がダメでも、看護師が働く職場はいくらでもある。それが退職に拍車をかける。

そうならないために、どうしたらいいのだろうか?

正しく評価し、モチベーションを高める

一応答えはある。繰り返しになるが、一生懸命に働いている看護師長を正しく評価すること。その評価結果を給与を含めた本人の処遇改善につなげること。

師長のモチベーション、特に問題意識が高くてやる気のある優秀な師長のモチベーションを上げるにはこれしかない。

だが、それを実際に実現していくことは結構大変だ。病院が問題意識の高いやる気のある優秀な師長を辞めさせないように、万全を期すことが必要になってくる。

そのためには改めて師長サイドの頑張りも不可欠だ。

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師長が存在感を高めれば病院も大切にする

これは「鶏が先か卵が先か」の問題のようになってしまう。

看護師長が存在感を発揮して、5つ方向の全てに目配せしながらいい仕事をやれば、必ずや病院はその師長をぞんざいには扱えないだろう。正に看護師の覚醒が病院を救うことに期待がかかる。

そして実際にそのような看護師長や看護師が増えてくれば、その救世主たる病院の貴重な人材を粗末に扱うことはあり得ない。

先ずは事務長職がそこはしっかりと見た上で、看護師長の適切な評価と処遇改善を病院長に迫らなければならない。それは事務長職の重大な責務である。

看護だけの専門馬鹿になるな

師長の側ももっともっとスキルと能力を高める必要がある。僕が前述した5つ全ての方向を向いてベストを尽くしているだろうか?その検証を常に心がけないと病院を救うことはできない。

看護だけの専門馬鹿になるなかれ!と言っておきたい。

看護師長は看護だけ知っていればいいわけではない。人間としての器の大きさと一般教養、豊富な知識も必要だ。でないと病院内の難しい問題を解決させ、。病院の改革や経営改善に貢献できるわけがない。

看護部長のありべき姿に通じる話しだが、病院の全体最適を常に念頭に置いて、看護師だけの利益の拡張を図り、看護師に負荷がかかることを極力避けようとする姿勢では、病院の改革と経営改善の戦力には到底なりえないので、責任は重大だ。

それを過度に強調するとまた師長へのなり手がないという負のスパイラルに繋がりかねないので、バランスのとり方は結構難しい。

最後にものを言うのは、人間力だと心得てほしいものだ。

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解決策はなくても、問題と真摯に向き合う

現在のような病院の経営が困難を極める一方の時代にあって、看護師長はつくづく難しい立場にある。重要性は高まるばかりだが、中々適切な解決策は見いだせない。

それを一生懸命考えて、看護師の覚醒こそが病院存続の切り札と認識した上で、解決策はなくても、その問題に最後まで真摯に向き合うことが必要だ。問題意識を高く持って、常に改革、改善志向。

患者との悩み、部下との悩み、部長との悩み、医師を始めとする他職種との関係を巡る悩み、病院経営の悩み、簡単に答えの出せないものばかりだが、共に苦しみながら問題解決に向けて真摯に取り組む姿が周囲を変えていく。

師長が周囲を巻き込んで変えていく。

簡単に答えが出せない問題ばかりが山積している。だが、様々な問題、課題にぶつかりながらも、挫けてもひるまない粘り強さと我慢強さ。しぶとさと打たれ強さ。逆境の中でも頑張り抜く力、それさえあれば周囲を動かすことは可能だ。

自分の理想とするあるべき姿を貪欲に求め続け、どんな困難にも決して諦めず、最後まで粘り強く周囲を巻き込みながら頑張り抜く力。これこそ看護師長のあるべき姿ではないだろうか

 

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