【前編・現状分析】からの続き

どうしたら師長を志してもらえるのか?

ただでさえ、病院経営が困難を極めている中にあって、師長になりたくない看護師が増えてきて、その経営難に拍車をかける。いよいよ追い込まれる病院。

師長のなり手が減ってくることは、深刻かつ重大な問題だ。

その対策は難しく、簡単に答えは出せないが、【前編・現状分析】で詳述してきた、どうして師長になりたくないのか、の裏返しのことを実践し、現状を改めれば、一応答えにはなる。

つまり以下に掲げたことは、答えの一つになる可能性は高い。

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1.苦労ばかりで給与も増えないこと

師長になると却って給与が下がってしまうという給与制度は改めなければならない。師長になったら超勤が付かなくなるのは厳に多くの病院で行われていることとして、やむを得ないと考えるが、ある程度の給与は保証してやる必要がある。

僕が関わった某自治体病院では、逆に師長の給与水準があまりにも高過ぎるといった例もあるので、看護師長という役割にはどれくらいの給与(年俸水準にしていくら)が相応しいのか、十分に検討する必要がある。

ちなみに某自治体病院では、師長になると主任時代よりも給与が下がるという逆転現象はやっぱり横行していた。超勤が付く主任クラスは、相当高額な師長の給与よりも更に上の驚くべき給与を得ているのである。それでは自治体病院の8割近くが大赤字の実態は当然のことだろう。

2.何でもパワハラにされてしまうこと

パワハラの認定には慎重になる必要がある。パワハラと主張する部下側の言い分だけが過度に尊重されるのではなく、あくまでも第3者委員会のような客観的な立場で判断する仕組みがあって、そこで適切な判断が下されることが望まれる。

そして重要なことはその認定調査には、時間的にも精神的にも直接の当事者はもちろん、周囲の職員に過剰な負荷がかからないようにすることが不可欠で、こんなことで多大な時間を費やしている余裕は今の病院という職場にはない。

パワハラはしない、させない。認定は負荷をかけずにスピーディに。

3.責任だけが重くなること

師長の責任だけが過剰に大きくならないような工夫は絶対に必要だ。師長に期待するところ大だからと言って、何でもかんでも師長の責任にすることは避けなければならない。

そのためには上司である看護部長あるいは副部長の支援と協力、絶大な信頼関係の構築が不可欠である。ポイントは看護師長が孤立無援の存在にならないように、看護部を挙げて十分なケアとフォローが必要となる。

病院を挙げてというべきかもしれない。病院長始め病院の幹部は、もっと看護師長に目を向ける必要がある。

4.一般職と業務内容が変わらないこと

師長と一般看護師の業務内容がほとんど変わらないという病院は、抜本的に看護部の組織と在り方を見直す必要がある。これではモチベーションが上がらないのは当然だ。

そして看護師長という役割ならではの重要性をハッキリさせないと、本当に師長のなり手がいなくなってしまう。

5.患者と向き合えなくなること

師長になることで患者と向き合えなくなる、看護師ならではの本来業務ができなくなる、というのは思いが良く分かるだけに、かなり深刻な問題かもしれない。

これは看護師という仕事、業務内容の根幹に絡む大問題だが、乱暴なことを承知の上で一口で言うと、看護師長に求められる管理業務というものが、患者に向き合うこと、看護業務以上に魅力的なものであると、そこに価値を見出せるような環境と職場づくりを進めてもらうしかない。

これについては最後にもう一度触れたいと思う。

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6.スペシャリストとの絡み

認定と専門看護師などのスペシャリストと師長の兼ね合いの問題は、一朝一夕には解決できない問題だ。

狭い世界を深く掘り下げる専門家の道全体を俯瞰して広く捉えるマネージャーの道と、どんな業界でもこの二択は付きまとってくる。

現実問題として現行の制度の中では、スペシャリストの道を究めようとした場合には、残念ながら管理業務との両立が難しいのは確かだ。

これは究極的にはその人の人生観、職業観に直結してくる問題で、その人自身が自分で選択するしかないと思うが、僕は個人的に認定などスペシャリストの道を究めた人が、マネジメントにも関心をもって、師長職を務める、つまり二刀流が理想のように思えるが、実際には認定などは資格保持のための受講や研修などかなりハードな面があって、両立は難しそうだ。

規模の小さな病院では二刀流で身体を張っているナースを何人か見てきたが、かなり大変だったと感じている。

いずれにしても、師長の道に進むのが嫌なので、それを回避するためにスペシャリストの道を目指すとしたら、それはちょっと違うと思ってしまう。

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師長は何のために仕事をしているのか?

そして、僕はこのことを声を大にして言わせてもらいたいと考えている。

看護師長の果たすべき役割、期待される役割の大きさと重大性の真の意味がこの一点に凝縮されていると考えるのだが、どうだろうか?

ここでもう一度、看護師本来の業務である患者と向き合うことが、師長になることで失われてしまうから私は師長にはなりたくない、とする考え方の問題点に立ち戻ることになる。

一人ひとりの看護師の理想的な看護業務達成のため個々の看護師が満足できるような患者との向き合い方を実現させるために、師長の管理業務、マネジメントが不可欠なのである。

逆に言えば、看護師長の的確な管理業務とマネジメントがあるからこそ個々の看護師が看護業務の推進に遺憾なく力を発揮できる、というわけだ。

看護師本来の夢を実現させるための師長

そのために師長がいる。師長が存在しないところでは、看護師は患者と向き合うことができない。

それをやってみないか。結局は患者のため看護師の本来の夢の実現のために師長という存在があるんだということに尽きる。その看護師長の真の存在理由が看護師たちに漏れなく伝わってほしい。

それが伝わって理解してもらえれば、師長の役割のかけがえのない大きさが分かってもらえるだろう。

そして、最後はこうまとめるしかない。

正しい評価の実施評価結果を給与を含めた本人の処遇につなげることがどうしても必要だ。師長のモチベーションをどう上げていくのか?これは病院経営に直結する重大事である。

病院長を筆頭に、病院幹部はもっと一人ひとりの看護師長を尊重し、大切にしていかなければ病院は立ち行かなくなってしまう。それを肝に銘じるべきだ。

 

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