ベートーヴェン、いよいよ交響曲の紹介をスタート

このところ、ずっとベートーヴェンについて紹介を続けてきた。

ベートーヴェンの全ての創作の中で3本柱となるのは32曲のピアノソナタ17曲の弦楽四重奏曲、そして9曲の交響曲だということも何度も語ってきた。その3本柱のうち、ピアノソナタと弦楽四重奏曲についてかなり集中的に書いてきたわけだ。

その上、手塚治虫の紹介までベートーヴェン(「ルードウィヒ・B」)となってしまい、我ながら少し呆れ果てている。

実は僕は、ベートーヴェンがそんなに大好きというわけではないのだ。もちろん音楽史上屈指の大作曲家で、僕も長年に渡ってかなり聴き込んできたことは事実である。CDの数も500枚どころではなく、軽く1,000枚は手元にあると思う。

だが、決して大好きな作曲家、というわけではない。

僕が愛して止まない作曲家は、時代の古い順から挙げていけば、モンテヴェルディ、バッハ、テレマン、ドビュッシー、ヤナーチェクの5人である。それ以外にはマルカントワーヌ・シャルパンティエ、ラモー、シューマン、フォーレが並ぶ。

もちろんこれらに加えて、モーツァルトとシューベルトという桁外れの二人の天才を外すわけにはいかない。

これで11人となる。ベートーヴェンは、これらの次にくる存在だ。

つまり僕の愛する「大作曲家ベストテン」からも漏れてしまう存在なのである。

それなのに、どうしてベートーヴェンばかりを紹介することになってしまうのか?自分でも不思議でならない。

その上、更に不思議でならないのは、これだけ集中的にベートーヴェンについて書いてきたわけだが、これでも少しもベートーヴェンについて書いた気になっていないのである。

これは一体どうしたことか?

この点だけはハッキリしている。いくらベートーヴェンについて紙面を尽くして様々書いてきても、まだベートーヴェンの交響曲については、何も書いていないからだ。これは明らかなこと。

3本柱とは言っても、ベートーヴェンにとって創作の中心であり、圧倒的に重要だったのが9つの交響曲であったことは改めて言うまでもない。

ということで、いよいよベートーヴェンの交響曲を取り上げる決心をした。

ベートーヴェンの交響曲が生涯で9曲作曲されたことは、少しでも音楽に関心のある方なら周知の事実であろう。誰だって知っていることだ。

その9つの交響曲の全体像と、個別の曲について、順次紹介していきたい。

その前に、僕のベートーヴェンの交響曲との出会いについて振り返ってみたい。それは取りも直さず、僕のクラシック音楽との出会い、開眼を振り返ることになる。

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ベートーヴェンの交響曲を聴いて、クラシックにのめり込む

僕はクラシック音楽を小学校の中~高学年の頃から、年齢にすると9歳頃から聴き続けてきている。

そのきっかけとなったのは、札幌のとある小学校でのことだった。その小学校では昼食時間になると決まって流れてくるクラシック音楽があった。教室のスピーカーからお昼になると流れてくる音楽。その音楽に、僕は心を奪われ、夢中になった。

ある時、放送局に行って、その音楽を確かめた。それがベートーヴェンの「運命」の第3楽章だったのだ。

えっ!?ベートーヴェンの運命と言えば、あの「ダ・ダ・ダ・ダーン!」じゃないか。全然違う音楽なのに、これがベートーヴェンの運命だと教えてもらった時の驚きを、昨日のことのように鮮明に憶えている。

それから暫くして、僕は初めてレコードというものを買ってもらった。

初めての2枚のLPレコードに夢中になる

兄の分と自分の分と2枚のクラシックのLPレコードをある年のクリスマスのプレゼントとして買ってもらった。これが今日に至るまでの60年に及ぶ僕のクラシック音楽との記念すべき決定的な出来事となった。全てはこれが直接的なスタートだった。

そのLPレコードには名前付きの有名な交響曲が2曲づつ収録されていて、僕はもう狂ったようにこのレコードを聴きまくった。

それがベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成」、そしてモーツァルトの「ジュピター」とドヴォルザークの「新世界」の4曲だった。

まあ、初めて聴く交響曲のチョイスとしては、実に見事としか言いようがない。誰が選んだのだろうか?兄だったのかもしれないが、僕は小学校で聴いていたあの「運命」を強く希望したことは覚えているが、どこの店で買ったのか、どういうシチュエーションだったのかなど、細かいところは全く記憶にない。

細部は一切憶えていないのに、僕の手元にはヨーロッパの大作曲家が作曲した、ありとあらゆるクラシック音楽の中でも、最も良く知られた名曲中の名曲のレコードがあって、クラシック音楽が嫌いだった父が何故か周囲のどの家よりも早く買っていたステレオ装置で、いつでも自由に聴くことができたのである。

あのLPはとうに処分してしまったが、今でも実に良く覚えている。この部分の記憶は驚くほど鮮明だ。

ワルター指揮のコロンビア交響楽団の演奏

演奏は、ブルーノ・ワルター指揮のコロンビア交響楽団であった。ゴールデンシリーズとか何とか銘打たれていて、LPのジャケットが金色に輝いている見開き型のいかにも豪華なLPレコードだった。

ブルーノ・ワルター指揮のコロンビア交響楽団と言えば、現在でもなお名演の誉れの高い現役盤として生き続けている有名な演奏で、それを約60年も前に田舎の小学生が聴いていたということは、少々驚きだ。

紹介した50年以上前の僕の初めてのクラシックのレコードのジャケット写真
驚いた!そして感激。あの50年前の僕の初めてのLPレコードのジャケット写真をネットで発見!正にこのレコードが僕の初めてのレコード。50年以上前のレコードだ。帯も当時のままで懐かしてたまらない。
僕が初めて入手した50年以上前のレコードの裏ジャケット写真。ネットで発見したもの。
本当に懐かしく、感慨深い。正にこれが僕の最初のLPレコード。裏ジャケット写真。本当に黄金色に輝く素晴らしいレコードだった。

 

本当に良く聴いた。それこそレコードが擦り切れるくらいに。

その熱心に聴いていた時期を小学5年の時だとすると、1966年前後である。ワルター・コロンビア響の演奏が集中的に録音されたのは、50年代の後半なので、僕はワルターがあの最晩年、ワルターのために特別に編成されたコロンビア響と、当時最新鋭のステレオ録音に精を出していたその録音を、ほぼ収録直後の最新LPで聴いていたことになる。

あのシリーズからの2枚だったが、そこには同じ演奏者による他のLPが紹介されていた。それを見て、次に何を聴こうか、何を買ってもらおうかと夢を広がらせていたものだ。

誰がどうやってこのブルーノ・ワルター指揮のコロンビア交響楽団のLPをチョイスしてくれたのか、見当もつかないが、今となっては感謝するしかない。多分、何も分からずに適当に購入したのだろうが。

繰り返しこの2枚のLPを聴くうちに、僕は4曲の中で「運命」と「新世界」に夢中になった。これが僕のベートーヴェンとの本格的な出会い

最初の頃、良さが全く分からなかったのが、モーツァルトの「ジュピター」だった。

ところが、やがてこの「ジュピター」の素晴らしさに目覚めることになる。もう来る日も来る日も「ジュピター」を聴き続け、本当にこの音楽に身も心も奪われたと言ってもいい。

それでも、どうしてそのままモーツァルトにハマって行かなかったのかは不思議でならない。

レコード本体の写真。
これがLPレコードの本体部分。涙が込み上げるほど懐かしい。このブルのレーベルの色。全てが50年前のまま。

 

僕はその後、クラシック音楽を本格的に聴くようになり、レコードを狂ったように集め始めることになるのだが、その頃、モーツァルトはむしろ嫌いな作曲家だったのだから、不思議なものである。

ハマったのはベートーヴェンの方だった。

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クリスマスにクラシックのLPをプレゼントしてもらう慣習

我が家では、その後、クリスマスのプレゼントにクラシックのLPを1枚だけ買ってもらうのが習慣化して、と言っても僕だけで、兄はそうならず、結局、我が家にはクリスマスに買ってもらったクラシックのLPレコードが、年に1枚づつ増えていくことになった。

1年間を通じてその1枚のLPレコードをひたすら聴き続け、また次のクリスマスに新しいレコードを1枚。

こうやって本当に少しずつ聴くレパートリーが増えていった。

今にして思えば、あの頃の聴き方が一番幸せだったのかもしれない、と思っている。

その後、自分で稼ぐようになると、1カ月に数十枚のCDを購入するようになり、さすがに最近では、かなりセーブしてきているが、まとめてゴソッと買うのは通例だ。

そうなると、買ったまま聴かずに放置されるCDが山のように出てくる。買ったっきりで全く聴かないCD。

何ということだろうか。嘆かわしい。

小学生から高校生の頃まで、年に1枚のLPレコードをクリスマスにプレゼントしてもらい、それを毎年丸々1年間かけて、繰り返し繰り返し聴いていたあの時代の方が、ずっと幸せなクラシック音楽の聴き方だったと思われてならない。

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「運命」から始まったベートーヴェン

「運命」の次の年に買ってもらったLPレコードは、ベートーヴェンの「英雄」だった。その次の年は「合唱」(第九)と1年単位で聴くレパートリーが増え行った。

途中で何を思ったのかチャイコフスキーの3大バレエ音楽「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」を買った年もあったが、基本的には交響曲、しかも何の体系的な知識も持ち合わせていなかった信州の田舎の少年は、適切な案内人もいない中で、いわゆる名前(愛称)付きの交響曲を聴いていった。

3大バレエ音楽で開眼させられたのか定かではないが、高1から高2にかけてはチャイコフスキーの「悲愴」を狂ったように聴いていた時期がある。

そんな路線で毎年1枚ずつレコードを集めていった僕が、どこで路線変更したのだろうか?正確な記憶は残っていないのだが、ある年に交響曲を離れて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の「皇帝」を購入した。多分、LPのジャケットがカッコ良かったせいだと思っている。初めて聴くピアノ協奏曲。これに大きな衝撃を受けた。

バックハウスの演奏。イッセルシュテット指揮ウィーン・フィルのあの名演だ。これにはすっかりハマってしまった。今まで交響曲ばかりを聴いていたのが、バカじゃなかったのかと、来る日も来る日も「皇帝」ばかりを聴く日々。中3から高1にかけてである。

そのことが一つの大きな契機になったのだと思う。交響曲一辺倒から離れ、ピアノ曲を聴くようになり、ベートーヴェンの3大ピアノソナタ、特に「熱情」に心を奪われた。

こうして僕は少しずつベートーヴェンの創作全体に目が向かうようになっていく。ヴァイオリンソナタの「春」にも夢中になった。

その後、僕はクラシック音楽を巡って大変な衝撃体験をする。高校1年の時のことだった。

次回に続く。

 

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コメント一覧
  1. クラシック遍歴(のさらに始まり)、読ませてくださってありがとうございます!
    私も小学3年生くらいからベートーヴェンを聴き始めました。
    両親がクラシック、特にベートーヴェンが大好きで、家にたくさんレコードがあり、まずはピアノソナタ「月光」から入り、次にピアノ協奏曲3番、ヴァイオリンソナタ「春」、「クロイツェル」と進んだことを思い出しました。
    (誰の演奏かはまったく知らないけど……)
    もちろん交響曲も山ほど聴きました。
    一番好きなのは「運命」ですね。
    大人になっても大好きです。
    演奏する人はそれほどこだわらない私ですが(ピアノのケンプを除いて)、「これは嫌だな」という演奏に出会ったことがあまりないので、こだわらない聴き方で今まで突き進んでいます。
    子どもの頃の音楽の聴き方って、一番幸せでしたよね。
    何も知らない真っ白な状態に、染み通っていくように美しいメロディが入ってくるあの様子。
    大人になっての聴き方とは比べ物にならない美しさと正しさ、幸福感が満ちていました。
    ステレオが置いてあった父の書斎で、誰も邪魔する人のない中、自分のお小遣いで初めて買った「月光」の楽譜を読みながらレコードを聴き込んだ自分の姿が、今も心の中に残っています。
    たけちゃん様の子ども時代の遍歴とわずかばかり重なるものがあると感じています。
    音楽に出会えた私たちは皆、幸せな子どもでしたね。

    • おはぎさん
      コメントを次々とありがとうございます。
      そうなんですね。
      おはぎさんと僕は、クラシックとの出会いが結構良く似ていますね。ベートーヴェンを熱心に聴いている小学3年生
      というのもどうかと思いますが、正に二人ともそうだったわけですね。

      ステレオが置いてあったお父様の書斎ということですが、我が家も父がステレオを買い込んできて、聴いていました。
      父は専ら歌謡曲、古賀政男でしたが(笑)。

      本当に子供の頃は、年に1枚買ってもらったLPレコードを年間通して刷り切れるまで聴いていました。
      あの頃のクラシック音楽との出会いの方が、今よりもずっと幸福だったかなと思わなくもありません。

      交響曲第5番の「運命」はあまりにも人口に膾炙し過ぎちゃったわけですが、やっぱり究極の名曲ですよね。
      あらためて本当に凄い曲だと思います。
      僕も熱愛しています。

      全くどこにも無駄のない完璧にして感動的な音楽です。

      そんなベートーヴェンが、後に第九なんていうつまらない曲を作ってしまったことが残念でした。
      おはぎさんも、第九が好きじゃないと知って、いよいよ意気投合してしまいますね。

      ですが、あのつまらない第九の後に、一連の感動的な弦楽四重奏曲が待っているんです。
      これは本当に凄いですよ。
      ピアノソナタも最後の32番(最高です!!)の後は、止めてしまってひたすら弦楽四重奏曲を作曲し続けた。
      イメージとしては、非常に深刻な哲学的な高みに到達した究極の作品群のように思われがちですが
      実は、かなりユーモア感覚にも溢れていて、楽しめる曲が多いです。

      おはぎさんは弦楽四重奏曲はお聴きにならない?

      なお、誤解があってはいけないのですが、僕は第九については、あのシラーの感動的な詩に、
      音楽を付けて交響曲にしようとしたベートーヴェンの思いには、深く賛同しているんです。

      ところが、いかんせん。あのメロディが悪過ぎる(笑)。合唱が酷すぎる。
      あれではシラーの感動的な世界が表現されていないです。
      本当につまらないメロディ。正直言って辟易します。

      何度も何度も、立派なステージで、立派な指揮者の元で歌わせてもらいましたが。

      と、ベートーヴェンの話しをし始めると、止まらなくなってしまいますね。

      またコメント寄せてください。

      熱々たけちゃん

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