これはもの凄い本だった

10年程前から巷でかなり話題になっていた本を遂に読み終えた。

ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」である。これは本当にもの凄い本だった。

僕はすっかり打ちのめされて、今ではユヴァル・ノア・ハラリに夢中になって、ハラリの他の著作を、現在も熱心に読んでいる真っ最中だ。

「サピエンス全史」は全世界で絶賛され、大ベストセラーとなっている。世界中の著名人から大絶賛のコメントが寄せられているのだが、正にそのとおり、その評価が決して誇張されたものではないことが良く理解できた。

これだけ多くの人々を夢中にさせただけのことはある、数十年に一冊の歴史的な稀有の名著だと痛感させられている。

紹介した「サピエンス全史」の表紙の写真
表紙の写真。かなり派手な帯が目立つが、コメントはそのとおり。
紹介した本の裏表紙の写真
裏表紙はこうなっている。派手な帯に著名人のコメントが寄せられている。

 

読書することの感動とワクワク感を久々に味わうことができて、本当に貴重な読書体験となった。これだけ感動させられ、考えさせられ、納得させられる本も稀だ。

今回は満を持してハラリの「サピエンス全史」を紹介させてもらう。

スポンサーリンク

Y・N・ハラリ「サピエンス全史」の基本情報

本書「サピエンス全史」には、「文明の構造と人類の幸福」という副題が付いている。この副題には重要な意味がある。そのことについては後述(【後編】)する。

河出文庫。上下2巻。文庫本の発刊は2023年11月20日初版発行であるが、最初のハードカバー(単行本)は、2016年9月に発刊されている。

この世界的な大ベストセラーを紹介するに当たっては、そもそもの本書誕生の経緯に触れておく必要があるだろう。

本書は先ず、2011年に著者ハラリの出生地であるイスラエルにおいてヘブライ語初版が出て、その英語版が2014年に発刊された。

柴田裕之による日本語版は、この2014年の英訳版からの翻訳である。

スポンサーリンク

刊行10周年記念版について

2023年に発刊された文庫本は、刊行10周年記念版となっていることに注目してほしい。

本書に説明がある。転載させてもらう。

「『サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福』の英語版は、2014年に初版が刊行された。本書10周年記念版(本書文庫本は世界に先駆けて2013年に刊行)は、過去10年間の新たな展開を反映した、ユヴァル・ノア・ハラリによる新たな「文庫版 あとがき」を掲載するとともに、初版の内容に対する著者による改定が加えられている」

というわけで、文庫本には最新の「文庫本 あとがき」と著者による内容の改定が施されており、これから本書を読まれる方は、迷わずこの文庫版を読まなければならない。

ページ数などの概要

上巻 本文340ページ。図版出典、原注などを含めると全352ページ。
下巻 本文359ページ。訳者あとがき、図版出典、原注、更に非常に貴重な「索引」(17ページ)も含めると全396ページ。

紹介した本の帯なしの表紙の写真
帯を外して撮影
帯を外して裏表紙を撮影。簡潔な解説は非常に的を得たものだ。
帯を外して裏表紙を撮影。簡潔な解説は非常に的を得たものだ。

スポンサーリンク

 

長さが苦にならない斬新さと驚愕

上下巻合計 本文699ページ。700ページ! 全体では748ページ、750ページだ。

700ページというのは簡単に読み切れるものではない。しかも本書には写真もそれなりに掲載されているものの、決して多くはなく、図版や表などもあまり出てこない。つまり文字ばかりの本ということだ。ビッシリと文字で覆われた本である。

それなのに、この厚みと分量が気にならない。書いてある内容がとにかく斬新で、驚かされることばかりなのである。

ホモ・サピエンスが地球上に現れて今日まで約20万年。そのおおよその流れ、大きな歴史は誰だってある程度理解している。世界史で覚えさせられる固有名詞や西暦などの年号があまり出てこない分、長くて文字だらけといっても、却って読みやすい点もある。

大きな歴史的な流れは多くの人が知っていることばかりだというのに、ここに書かれている発想、歴史を捉える視点と解釈が斬新で、驚嘆させられるだけでなく、とにかく読んでいて夢中にさせられてしまう。

厚い本なのに、ドンドン惹きつけられ、読み耽ってしまう。上下2巻700ペーが決して苦痛にならないどころか、衝撃と興奮の読書体験となること必定だ。

読みやすい明解な日本語訳

触れておきたいのは、訳者の柴田裕之の日本語訳のこと。この日本語訳が非常に読みやすい。書かれている内容はかなり高度な難しいものでありながら、訳が明快で、分かりにくい部分は皆無。非常に読みやすく、分かりやすい日本語だ。

この素晴らしい日本語訳が、日本でも大ベストセラーに繋がったことに大きな貢献を果たしたと考えている。

スポンサーリンク

本書の全体構成【目次】から

本書はハードカバーでも文庫本でも「上」「下」の2巻構成となっているが、その上下2巻を通しての目次は以下のとおりである。

この目次を見てもらうだけで、本書のおおよその流れと書かれてあるテーマは分かるのではないか。

だが、肝心なことは、その書かれてある内容が想像を絶する内容になっていることだ。これは後編で触れていく。

全体は大きく4つから成り立っている。

「認知革命」「農業革命」「人類の統一」「科学革命」の4部である。それぞれの部が4~7つの章に分かれ、通算番号で20章に分けられている。

以下、各章のタイトルを列挙してみる。

サピエンス全史の章立て

第1部 認知革命
  第1章 唯一生き延びた人類種
  第2章 虚構が強力を可能にした
  第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
  第4章 史上最も危険な種
第2部 農業革命
  第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
  第6章 神話による社会の拡大
  第7章 書記体系の発明
  第8章 想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
  第9章 統一へと向かう世界
  第10章 最強の征服者、貨幣
  第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
  第12章 宗教という超人間的秩序
  第13章 歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
  第14章 無知の発見と近代科学の成立
  第15章 科学と帝国の融合
  第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
  第17章 産業の推進力
  第18章 国家と市場軽快がもたらした世界平和
  第19章 文明は人間を幸福にしたのか
  第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ

スポンサーリンク

章の下に更に細分化されたチャプター

この20の章が、更に細かいチャプターに分かれている。平均して3~5程度、多いものでは8つもタイトルが付いている章もある。

いくつか列挙してみよう。

【第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし】
原初の豊かな社会/口を利く死者の霊/平和か戦争か/沈黙の帳

【第8章 想像上のヒエラルキーと差別】
悪循環 /アメリカ大陸における清浄/男女間の格差/生物学的な性別と社会的・文化的差別/男性のどこがそれほど優れているのか?/筋力/攻撃性/家父長制の遺伝子

【第10章 最強の征服者、貨幣】
物々交換の限界/貝殻とタバコ/貨幣はどのように機能するのか/金の福音/貨幣の代償

【第14章 無知の発見と近代科学の成立】
無知な人/科学界の教義/知は力/進歩の理想/ギルガメシュ・プロジェクト/科学を気前良く援助する人々

【第16章 拡大するパイという資本主義のマジック】
拡大するパイ/コロンブス、資本家を探す/資本の名の下に/自由市場というカルト/資本主義の地獄

【第18章 国家と市場軽快がもたらした世界平和】
近代の時間/家族とコミュニティの崩壊/想像上のコミュニティ/変化し続ける近代社会/現代の平和/帝国の撤退/核による平和

どうだろうか?イメージしてもらえるだろうか?

この章の下にある細かいチャプターを読むと、ハラリが何を展開し、何を言わんとしているのか何となく想像ができると思うが、やっぱり実際に読んでもらわないとダメだ。

スポンサーリンク

 

絶賛の声、声、声

本書は世界中から絶賛されている。

日本でも大ベストセラーとなったばかりか、名誉な賞を受賞した。

「サピエンス全史』の日本での主な受賞

ビジネス書大賞2017 大賞受賞

読者が選ぶビジネス書グランプリ2017 リベラルアーツ部門 第1位

 

著名人からの絶賛も驚くほど多い。その主だった声のエッセンスを、以下に紹介してみる。

ジャレド・ダイアモンド(「銃・病原菌・鉄」著書)
「歴史と現代世界の最大の問題に取り組み、忘れがたいほど生き生きとした言葉で書かれている。きっと気に入るだろう」

バラク・オバマ
「実に魅力的で、刺激的な書」「面白いし挑発的。私たちはいかに短い間しか地球にいなかったのがわかる」

ビル・ゲイツ
「私は『サピエンス全史』を歴史や人類の未来について興味のあるあらゆる人に薦めたい」

マーク・ザッカーバーグ
「私の『今年の一冊』は、ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』だ。本書は人類の文明についてビッグ・ヒストリーのように綴った本であり、初期の人類がどのように狩猟採集から発展し、今日の社会や経済を組織いたのかを読み解くものである」

ナタリー・ポートマン
「著者は人類の歴史をどう語り、未来をどう見つめるのか。あなたの心を揺さぶるはず」

アレクセイ・ナワリヌイ
「ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、私のなかでは高評価でお薦めだ」(「パトリオット」Part4 獄中記より)

池上彰
「こういう人類史の本で、幸せかどうかを問題に立てる本にはじめて出会った」(2017.1.4放送NHK「クローズアップ現代+」より

堀江貴文
「ホモ・サピエンスだけがなぜ生き残り、繁栄できたのか?そんな疑問を丁寧に解説した一冊!」

カズレーザー
「めちゃくちゃ面白い、ずーっとわくわくする!」

山形浩生
「妄想力こそが人類の礎!虚構の上に築かれた人間の壮大な文明の歴史を描き切る!」

中村桂子(JT生命誌研究館館長)
「貨幣こそすべての人をつなぐ虚構だとする指摘は興味深い」(日経新聞2016.10.30)

西澤順一(みずほ情報総研株式会社代表取締役社長)
「この本の最大の魅力は、スコープが「歴史」に留まっていないこと、そしてそのおかげで「歴史」の理解がより深まるところにある」(週刊文春2016.11.10号)

サンデー・タイムズ(イギリスの高級紙)
「ハラリの文章はパワーと明晰さを放ち、世界を見慣れない新しいものにしている」

スポンサーリンク

ユヴァル・ノア・ハラリはどんな人?

この世界中が注目している歴史学者、哲学者イスラエル出身であることに驚かされる。

ユヴァル・ノア・ハラリの写真①。ネットから転載した。
ユヴァル・ノア・ハラリの写真①。ネットから転載した。
ユヴァル・ノア・ハラリの写真②。ネットから転載した。
ユヴァル・ノア・ハラリの写真②。ネットから転載した。

 

例によって、本書の扉に掲載されているプロフィールを転載させてもらう。

「イスラエルの歴史学者、哲学者。1976年生まれ。オックスフォード大学で世界史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えるかたわら、2020年のダボス会議での基調講演をはじめ、『ニューヨーク・タイムズ』紙、『フィナンシャル・タイムズ』紙への寄稿など、世界中に向けて発信し続けている。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』は世界的なベストセラーになっている」

現在(2025.9)、まだ49歳の若さ。驚くばかり。

ユヴァル・ノア・ハラリの写真③。ネットから転載した。
ユヴァル・ノア・ハラリの写真③。ネットから転載した。

<

スポンサーリンク

p> 

【後編】に続く

 

☟ 興味を持たれた方はどうかこちらからご購入をお願いします。

上下2巻 文庫本・単行本・電子書籍と様々な媒体で読めるようになっています。
但し、単行本(ハードカバー)は、刊行10周年記念版ではなく、もちろん「文庫本 あとがき」が収録されていませんので、お薦めできません。

【文庫本】河出文庫
◎上巻 1,089円(税込)。送料無料


サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) [ ユヴァル・ノア・ハラリ ]

◎下巻 1,089円(税込)。送料無料

サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) [ ユヴァル・ノア・ハラリ ]

 

【電子書籍】
1,089円(税込)。文庫本と全く同じ値段。こういうのは珍しい。

◎上巻 1,089円(税込)。


サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福【電子書籍】[ ユヴァル・ノア・ハラリ ]

◎下巻 1,089円(税込)。


サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福【電子書籍】[ ユヴァル・ノア・ハラリ ]

 

おすすめの記事