病院広報誌での連載が復活!!

僕は今の職場である都心のとある病院で事務部長を務めていたのだが、それまで非常に良好な関係で苦難を共にしてきた院長と、改革の方向性を巡って対立してしまうことになり、事務部長を退いたという経緯がある。

事務部長時代には僕が中心となって創刊した広報誌に、毎回「〇〇事務部長の映画道〜映画に描かれた病院を斬る〜」という記事を掲載させてもらっていた。

事務部長を退いてからは、この連載も同時にストップしていたのだ。それから1年3カ月。この春から遂に連載が復活することになった。

広報誌の発行は今月末であるが、それに先立ってその掲載記事をこのブログで一足先に公開させてもらう。

以下の記事から生々しいデリケートな部分は全面カットし、印刷される予定である。

それでは、お読みください。


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1年3カ月ぶりに復活!

昨年度から肩書きが変わり、病院次長を拝命している竹重です。私がこの広報誌で連載してきた「映画道:映画に描かれた病院を斬る!」は第11回まで毎回掲載されましたが、諸事情にて中断。この度、晴れて復活しました。題して「新・映画道」。映画に描かれた病院を斬る!はエセテーマ化しておりましたが(笑)、存命することに。広報誌としては4号ぶり、期間としては実に1年3カ月ぶりの復活です。引き続きご愛読とご支援をお願いします。

そもそもこの連載の狙いはどこに?

さて、再開されるにあたって、当初の狙いに立ち返ります。私の狙いは、病院と医療は様々な映画やドラマに多く描かれながら、それは専らスーパー外科医の活躍等が多く、病院の再建やマネジメント、病院が淘汰される現在の非常に過酷な状況の中で、日々病院の経営者や職員を悩ませている病院そのものの生き残りについては全く無視されていることに異を唱えたい、これが主眼でした。経営とマネジメントにも注目していただき、いわば「病気の病院そのものを治す(救う)」役割を担う事務職にも光を当てたかったのです。

ところがそんな映画やドラマは皆無。欲求不満が溜まるばかりでしたが、そんな中、遂に私が求めていたドラマが登場。その名もズバリ『病院の治しかた』。「病気の病院を治し、救う」という表現は私の専売特許、勝手に使わないで!と叫びたくなりましたが、正に我が意を得たり!大いに興奮させられました。

「病院の治しかた」病院マネジメントを全面に打ち出した稀有なドラマ!

連載の初回で、病気の病院を救う話しはドラマになりにくいと書かせてもらったが、このドラマはズバリそれをテーマに据えていたので、正直衝撃を受けた。遂にこんな医療ドラマが誕生!日本中のあらゆる病院が大なり小なり病院の生き残りで苦しんでいる中、遂に登場したわけだ。むしろ遅きに失した感がある。

「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」はご承知のとおりあの松本市の有名な相澤病院の実話で、ドクター有原はもちろんあの相澤院長(日本病院会理事長)であることは言うまでもない。松本は我が故郷。相澤病院はこの連載でも何度か取り上げたが、あのスピードスケートの小平奈緒が所属している病院で、「神様のカルテ」シリーズの舞台にもなった病院として知らない人がいない日本を代表する民間病院である。


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どんな内容のドラマなの?

今でこそ著名な病院となったが、ここに至る道のりは苦難の連続で、そのあたりの病院の建て直しを描いたのが今回のドラマ。もう放送は終了したが、全7話。初回は90分で45分が6回の全360分。正味6時間だが、今日どこの病院でも抱えている経営上の難題と悪戦苦闘ぶりが存分に描き出された。巨額な赤字を抱えた病院がいかにして生まれ変わったのか。人事制度改革と評価制度導入、病病(診)連携、地域医療ネットワーク、退院支援、24時間365日救急の確保、救急救命センター開設等々。今ではすっかりお馴染みのことばかりだが、初めて取り組んだ病院の苦労には納得。看護師確保対策の苦労話も。銀行から融資を打ち切られ、買収の危機をどう乗り切るのか・・・。

これが小泉孝太郎扮するドクター有原こと相澤孝夫先生

準主役が高嶋政伸扮する病院の事務長なのだが、事務長がこんなに活躍する病院ドラマは稀有なこと。病院の事務長が、ドラマで初めて脚光を浴びた。但し、改革と新規事業導入が常に院長主導で、事務長を含めみんな当初は反対しながらも、院長の方針は間違っていなかったという展開は少し辛い。だが、最後に弱気になった院長が病院売却に傾いた際、事務長が一歩も譲らず激しく院長に迫り、説得する姿には感動。思わず涙が込み上げた。

徹底して院長と事務長との二人三脚の活躍を描き、この二人の絆と信頼関係が何とも羨ましい。

病院買収の危機に直面する院長と事務長

自分自身の経験と重なってしまう

思えば今のこの病院でも、病院が思わぬ事態で苦境に陥った際に声をかけられて事務部長として入職して以来、僕自身も院長とその危機を乗り越えるべく、正に二人三脚で奮闘してきた。苦しくもやりがいのあった日々。

だが、それも束の間、ようやく少し安定してきた段階で、今後の病院の改革の進め方と方向性を巡って意見対立してしまい、結局は事務部長を外されるという辛い経験を余儀なくされた僕としては、最後の最後まで二人で一緒に頑張り抜く姿は眩しいばかりで、正視できなかった程だ。

リハビリのPTを除くと薬剤師を含めコメディカルが登場しないのは残念だった。不満も多いが、こうして初めて病院経営とマネジメントをドラマにしたことは快挙。特に病院の存亡をかけて事務長が奮闘する姿は嬉しい。この後も同様の作品が是非とも続いてほしいと祈るばかりである。


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もう放送は終了してしまったのだが

放送は終了したが、Paraviで視聴が容易にできるので、見逃してしまったという方は是非どうぞ。病院職員は絶対に観なきゃダメだ。

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