【第3章】からの続き
某自治体病院ではなされていなくて、民間から事務長職として赴任した僕が新たに導入した取り組みの第4弾。
某自治体病院が如何に何もできていなかったのか、何もやってこなかったのかを検証する第4弾だ。
目 次
予算編成でも医療現場を無視
同じことは、病院にとって非常に重要な予算編成でも行われていた。ここでも僕はビックリ仰天、どうしても看過できないことに直面した。
予算編成でも医療現場を無視していたのだ。
次年度の予算(経理計画)を、現場の医療職の意見を聞くことなく、事務方、というのは官僚=役人=本庁出向者たちが部屋に籠って鉛筆なめなめ作っていたのだ。
僕の衝撃と言ったらない。
全国どこのどんな病院でも次年度の経理計画(予算)は必ず作成するが、その際には現場からの要望を聞き取ることからスタートさせることが常識で、僕が関わってきた全ての病院でそうしてきたからだ。
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役人だけで作っていたら「絵に描いた餅」
それぞれの医療現場で、BSCに基づいて次年度これこれこういうことをやっていきたい、あるいはこれこれこういうことをやらなければならないので、これだけの人手がかかる、こういう医療機器が必要となる、最終的にはこれだけのお金がかかる、これをヒアリングしてそれを積み重ねて病院全体の計画を作るわけである。
いわゆる「ヒト・モノ・カネ」だ。
某自治体病院では、そのプロセスが完全に欠落していた。
そして当該自治体との協議によって最終的には議会で承認されたものを、逆に現場(病院)に簡単に伝えられるだけだった。
これでは現場は何も興味を持たない
そんなことだから、現場サイドでは、予算に組み込まれた次年度の収益目標や稼働率、診療単価などは全く関係のない代物となってしまう。
これでは病院の経営改善が進まないのは当たり前だ。
要は何から何まで現場で働く医療職の意向を無視して、一部の官僚たちが勝手に数値を作っていただけだった。
但し、これは某自治体病院に限った実態ではないかもしれない。
想像するに、全国の多くの自治体病院でも同じことが行われているのではないかと、真剣に危惧している。
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予算に医療現場を巻き込む主客逆転を実現
僕は、予算作成プロセスを抜本的に見直すことを強く求めた。
当初は相当戸惑いがあっただろうが、こちらとしてもこれだけは譲るわけにはいかないので、2年目以降は現場の医療職とのヒアリングを十分に行った上で、それぞれの現場からの要求を予算に反映させる方法に見直した。
ここで現場の医療職から聞き出す要望でも、非常に重要な意味を持ってくるのが、あのBSC(バランススコアカード)だった。
部署のBSCに基づく事業計画が、次年度の病院の予算に直結させる仕組みを構築させた。

某自治体の予算編成が早過ぎる
某自治体では、予算の策定が非常に早いタイミングで求められていた。にわかに信じ難かった。毎年9月には予算要求しなければならない。この早過ぎる予算編成がネックとなった。
検討する時間が取れない、つまり現場の要望を聞いている余裕がない、それは全くそのとおりだった。
新年度がスタートした直後から、直ぐに次年度のことを考えなければならない。本来は当該年度の実績を見て、翌年度の計画を立てるのが当然なのだが、その原理原則を貫くにはあまりにも時間がない。
某自治体の良識を疑いたくなる対応だと感じたが、民間からやってきた一事務長が不満を述べたところで、どうにもならない。病院サイドで自治体に合わせるしかなかった。
そんな致命的な問題と課題はあったが、何とか事務方の官僚が現場を無視して勝手に予算を作ると言う悪しき習慣を、抜本的に見直すことができた。
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結局、どんな改革をやったのか
問題点の本質を、その対応をまとめるとこうなる。
1.次年度の予算作成が現場の事業計画と全く連動していなかったことを問題視した。
2.どう改革したのか
①各部署が作成するBSCに基づいた事業計画・目標管理を予算編成と結びつける「事業計画書」を新たに作成させた。
②幹部による全部署との「事業計画書」のヒアリングを実施した。
③ヒアリングの結果をまとめ上げても9月の予算原案に間に合うようにした。
この仕組み(システム)は極めて適切なものだったが、やっぱりネックになったのは③、時期の問題だった。
これを貫くと各部署の次年度の予算要求を年度が変わると同時に求めなければならなかった。それには無理があり、運用上、様々な問題が噴出した。
本来の正しい考え方とプロセスを貫けないのは辛い。本来あるべき理想的な運用を、行政サイドの都合で上手く回せないのは断腸の思いだった。
4年目は少し妥協して、現実的な対応を取り入れたが、要は予算の編成に当たっては、事務職が勝手に作るのではなく、現場の医療職の要望、意見を反映させること。これは最後まで貫いたつもりだ。
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教訓と改善策【予算編成】
これは病院の経営、運営に当たって極めて重要なことである。もし某自治体病院のような予算編成が行われている病院があるのなら、早急に改める必要がある。
とにかく一番気を付けなければならないことは、医療の現場、医師やナース、コメディカルを無視して事務屋だけが勝手に予算編成をしたり、外部に公表する経営計画を策定したりすることだけは、絶対に回避しなければならないということだ。
そんな病院には、ハッキリ言わせてもらおう。
「明日はない!」
1.次年度の予算(経理計画)は事務サイドだけで勝手に作るのではなく、現場のこういうことをやりたい、やる必要があるという医療サイドの要望を十分に聞いた上で作成しなければならない。
2.そうしないと予算の数値は現場の医療職には全く意味のないものとなり、病院の目標が果たせなくなる。それすなわち病院の経営改善がなされないということだ。
【第5章】に続く
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