【第6章】からの続きです。
某自治体病院ではなされていなくて、民間から事務長職として赴任した私が新たに導入した取り組みの紹介と解説の第7弾です。
目 次
あまりにも長過ぎる待ち時間に喝!
某自治体病院には外来患者の「待ち時間問題」という今どき考えられないような低レベルな懸案事項がありました。「待ち時間問題」というのは、もちろん外来での患者の待ち時間が長い、という問題です。
こんな問題は大きな病院ではもちろん、市中のクリニック(診療所)でもとっくに様々な工夫がされ、解決されているのが当たり前の時代となりました。こんな問題を未だに解決できず、患者を苦しめ続けていることは、時代遅れも甚だしく、大きな問題です。
患者をないがしろにする病院
外来患者を平気で2時間も3時間も待たせることが常態化していました。時に4時間も5時間も待たせることもあったのです。
しかも多くの診療科では外来は予約制となっていたにも拘わらずです。
すなわち、ある患者は当該日に仮に10時という予約を取ってありながら、その10時に診療が始まらないばかりか、遅れに遅れて2時間、3時間も、時には4時間以上も待たされることがしばしばだったのです。
ですから、前回取り上げた患者からのクレームや苦情が山のように集まるのは当然だったと言えますし、その怒った患者が一部モンスター化してもやむを得ない非常に大きな問題を抱えた病院だったのす。
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担当医師の思い上がりが顕著
決して1人、2人の医師だけではなく、某自治体病院は平気で外来患者を待たせる病院でした。患者サービスの向上を意識しない官僚(公務員)が経営する「お高く止まった敷居の高い」病院だったのです。
もちろん多くの医師が、できるだけ待たせないように頑張っていました。ところが、ある幹部医師は全く改めようとせず、これだけ待ち時間が長いということは、「自分が非常に人気の高い優秀な医者だから」と完全な勘違いをしていて、待ち時間の長さを勲章にしていたきらいさえありました。
待ち時間の長い医師に怯まず喝!
実は、これは単純な問題でした。こんな初歩的なことすら改善されず、私が事務長として赴任するまで放置されていたことに驚かされました。
更にこの問題の幹部医師が、患者の満足度を向上させるための「患者サービス向上委員会」(私がこう改称させました)の委員長を務めていました。待ち時間の苦情も山のように集まってくるのに、「自分には特別な理由と事情がある」と治外法権の開き直りを決めていたのです。
分かっていても病院として手が出せないのでした。
解決は極めて単純明快
この外来の待ち時間問題の本質は、非常に単純な話しで、こんな事案に断固たる指導を行えないトップに責任があることは明瞭でした。
私は様々なファクト(事実)とデータを集めた上で、最後に腹を括りました。中々厳しく指導できない病院長に強く迫って、問題を一挙に解決させました。
「先生の外来はあまりにも待ち時間が長過ぎて、患者からの不平不満が渦巻いている。ここに先生の患者の待ち時間の実態と先生に対する苦情を集めてある。以前から何度も改善を求めてきたが、一向に改められない。
どうやったら待ち時間が短縮できるのか、内科の責任者の副院長とも相談して、内科全体で速やかに解決させること。その結果を早急に報告すること」
これを病院長から伝えてもらっただけです。当該医師を会議室に呼び出して、事務長同席の元、病院長から厳しく言ってもらった、ただそれだけでした。口頭で申し渡した上で、紙でも渡しました。

但し、言うは易くして、実際にはかなり難しいことかもしれません。病院長との確実な信頼関係が大前提となります。病院によっては病院長が問題医者側についてしまうこともないとは言えません。そうなったらひとたまりもありません。
ここでも、病院長と日頃からの絶大な信頼関係が必要不可欠となるわけです。
これで一挙に変わりました。放置していた患者に対する劣悪環境の改善を主治医である医師に強く求めただけです。その後は医師事務作業補助者の活用なども取り入れ、「〇〇外来」の待ち時間は大幅に改善されることになりました。
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必要があれば医者にも厳しく対応
これも理論的に言えば、BSCの「患者の視点」の強化と向上に他なりません。
「患者の視点」に立って、患者の満足度を高めるのが病院の目標ならば、それに対して改善努力をしない医師は指導の対象になるということです。
相手が医者だろうが幹部だろうが、必要があって強く出なければならないときには、一切遠慮なく厳しく駄目出しをする。それが事務長職の務めとなります。
教訓と改善策【待ち時間の解消】
患者を外来で待たせないことは病院として最優先で取り組まなければならない問題だ。
それが理解できない問題医師には、病院長と一体になって、事務長職が当該医師に厳しく改善を求めなければならない。
併せて、当該医師の負担を軽減する病院としての方策も導入することも必須である。
病院内の課題・問題の半分以上は医師
病院という職場は一筋縄ではいかない非常に厄介な職場なのですが、その要因、課題と問題は半分以上が医師に関わっています。
医師が居なければ病院は成り立たたないことは紛れもない事実。優秀なドクターがいてくれたら本当に助かるのも事実ですが、実際には多くの場合、逆のパターンが多く、どんな病院でも頭を抱えているのが現状です。
問題医者には本当に困る
医師としてのスキルが高く、しっかり患者を救ってくれるドクターなら、少し素行が悪かったり、協調性に欠けても、良しとするしかありません。
素晴らしいスキルを持っている凄腕の医師なら、人間的にどんなに問題を抱えていても、やっぱり良しとするしかありません。
忖度なしで言わせていただくと、現実的には病院で働く多くの医者は、医師としてのスキルも力量も大したことはないにも拘わらず、偉そうにしていて使えない質の悪いドクターが幅を利かせているのが実際の姿です。
医師の国家資格を持っているというだけで、偉そうにふんぞり返っている医者たちが、実際にかなりいるのです。
患者への暴言、悪態、診療ミス。職員やスタッフへのパワハラ。そんなことを日常的に繰り返すレベルの低い医師たちを、今までたくさん見てきました。
出来の悪い医者に限って問題行動が多く、病院内で協調性を欠き、多職種ともコミュニケーションが取れないものです。
これらは全国どこの病院でもあることで、病院という職場、いや日本の医療があまりにも医者を持ち上げチヤホヤし過ぎたことによる弊害が、多くの病院を苦しめているのです。
某自治体病院の医師は!?
某自治体病院には研修医も含めて200人前後の医師がいましたが、ここにも問題の医師がかなりいました。それを放置しては職員の士気も上がらず、病院全体がギクシャクしてきます。
放置することは許されません。
とは言うものの、私は事務長職とはいってもしょせん事務職なので、医者には真っ向からは太刀打ちできません。ですが、そんなことを事務長職が言っていては改善はもちろん、病院の改革などはできないと知るべきです。
医者に対してもしっかりと対峙する
医師たちは子供の時から甘やかされて育ってきており、厳しい批判に晒されたこともあまりない人が多いため、具体的な非を挙げて、厳しく指摘すると、意外にも多くは大人しくなります。
ドクターは基本的には非常に頭のいい人が多いので、渡り合うには数字が必要となります。事実(ファクト)と数字で迫ることが肝心です。
たまにブチ切れるドクターもいますが、そんな時にも事務長職たるもの、決して怯まないことが重要です。
私も病院長の了解の上で、某自治体病院で何人ものドクターたちとガチンコ勝負しをしてきましたが、時に厳しく対峙することも躊躇しませんでした。
一方で、私が病院内で最も心を開くことのできた相手もドクターだったと念のため付け加えておきます。
医師は非常に問題意識が高く優秀な人と、どうしようもなく偉そうにふんぞり返っている問題医師まで、本当に幅が広いのです。
素晴らしい医者は何人もいました。
患者のためにも、職員のためにも問題医師には遠慮なく指導をして、時に辞めてもらうところまで踏み込まないと、結局、困るのは患者と病院そのものだということを肝に銘じる必要があります。
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問題の本質はどこにある?
一番の問題は、問題医師に対して駄目出しができないことに尽きます。
これが病院という組織の最大のネック、問題点です。
どんなに問題を抱えたドクターでも、医師がいなくなれば病院は成り立ちません。そんないびつな構造に、問題医師たちは胡坐をかき、トップ、経営者はそんな医者を放し飼いにせざるを得ないという問題が横たわっています。
トップも同じ医師として、問題医師を庇ってしまう悪循環がはびこっているのも大問題です。
日本中の多くの病院が、そんな深刻な悩みを抱えています。これを何とかしないと日本の医療に明日はありません。
教訓と改善策【問題医師への対応】
1.問題を抱えたドクターには毅然とした態度で臨むこと。そうしないと患者を苦しめ、職員も苦しめ、病院が潰れてしまうことにもなりかねない。
2.病院長の絶大の信頼関係の元、事務長職が堂々と渡り合うこと。
3.これができない事務長職は、事務長職失格だ。そのためにも病院長との信頼関係は絶対条件となる。
【第8章】に続きます。

