これは素晴らしい!心が震えた

また感動的な素晴らしい映画を観た。前から観たくてたまらなかった映画だ。「ザリガニの鳴くところ」。

昨年(2022年)11月に公開されて、かなり話題となったミステリーである。

ギンレイホールが存続していれば、間違いなく上映してくれたに違いない心が震えてくるような感動作だ。

僕は巷の大変な好評が非常に気になりながらも、映画館ではとうとう観ることができなかった。

待ちに待ったブルーレイが販売されて早速観たという次第だが、期待に違わぬ素晴らしい内容に冒頭からラストシーンまで、心を鷲掴みにされてしまった。

紹介した映画のジャケット写真。

ブルーレイのジャケット写真。このデザインはかなり気に入っている。

紹介した映画の裏ジャケット写真。

こちらが裏ジャケット写真。事件の真相はあまり気にしない方が映画を楽しめる。

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映画の基本情報:「ザリガニの鳴くところ」

アメリカ映画 126分(2時間6分)

2022年11月18日 日本公開

原作 ディーリア・オーエンズ、友廣純訳
『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)

監督:オリヴィア・ニューマン

脚本:ルーシー・アリバー

出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、テイラー・ジョン・スミス、ハリス・ディキンソン、マイケル・ハイアット、スターリング・メイサー・Jr.、デヴィッド・ストラザーン 他 

撮影:ポリー・モーガン

音楽:マイケル・ダナ

オリジナル・ソング:テイラー・スウィフト「キャロライナ」

キネマ旬報ベストテン:2022年度 第96回では何と屈辱の第50位。
読者選出ベストテン第14位  評論家筋からはほとんど評価されなかったが、一般の観客からは広く支持され評価されたことが分かる。

ブルーレイとDVDのディスク本体の写真

ディスク本体にはこのように映画の1シーンが印刷されているものが普通だ。

どんなストーリーなのか

1969年、アメリカはノースカロライナ州の湿地帯で地元の人気者だった青年の死体が発見される。犯人として浮上したのは、その湿地帯でたった一人で生活し、周りからは「湿地の娘」と蔑まれているカイアという少女で、逮捕されてしまう。

既に引退していた弁護士が接見する中で、この湿地の娘カイアの想像を絶する過酷な生い立ちが分かってくる。

父親は今でいうDV、家族の誰に対しても容赦ない暴力を振るい、カイアの母親も兄弟たちも、湿地を抜け出して、最後にはこのDVの父親とカイアだけとなる。やがて父親も蒸発し、カイアは湿地帯で一人ぼっちになってしまう。もちろん学校にも通えず、読み書きは全くできなかった。

周囲から人間以下の生き物扱いされながらも、必死に生き抜き、やがて優しい男性と恋に落ちるのだが・・・。

カイアは本当に青年を殺したのか?裁判の行方はどうなるのか? 

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原作は大ベストセラー

原作はアメリカの動物学者ディーリア・オーウェンズが2018年に上梓した処女小説である。

2019年と2020年の2年連続で、アメリカ国内で最も売れた本と言われており、日本でも大ヒット。2021年の本屋大賞翻訳小説部門第1位の栄冠に輝いた「知る人ぞ知る」大ベストセラーなのである。

全世界で累計1,500万部以上売れているという。

僕も書店の店頭で、しばしば見かけた記憶がある。

この世界中での大ベストセラーが、著名な動物学者が69歳の時に書き上げた処女小説と聞いて、驚嘆してしまう。

原作は映画以上に絶賛されている

今回紹介した映画はこの大ベストセラーの映画化であることはもちろんなのだが、最初に本を読んで、その後で映画を観た人に言わせると、「原作の小説の方がずっと良くて、この映画はあの素晴らしい小説の世界を表現し切れていない」と手厳しい意見が多い。

「原作の方が100倍素晴らしい。映画は失敗作だ」と辛辣な感想が溢れている。

本を読まずに映画だけ観た僕は、素直にこの映画の完成度の高さと傑出した映像美にすっかりこの映画に夢中になってしまったが、いずれにしても、原作の小説が読む人の心を鷲掴みにしてしまう素晴らしいものであることは間違いなさそうだ。

僕も早速読もうと決めたところである。

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ミステリーというより薄幸少女の究極サバイバルと恋愛遍歴

この映画はミステリーとして喧伝されている。死体で見つかった青年の犯人を探し出し、裁判によって真相を見極めようとする話しなので、ミステリーには間違いないのだが、真犯人は誰だ?というミステリー面ばかりに注目すると、少し肩透かしをくらうかもしれない。

第一級のミステリーには違いないが、それよりも家族から捨てられて想像を絶する過酷な状況の中でたった一人で生き抜かなければならなかった薄幸の極みのような少女のサバイバルと成長、特にそんな彼女を巡る切ないラブストーリーであることに注目してほしい。

地獄の日々からようやく生まれた心ときめく恋の喜びと悲しみ、苦悩が真摯に描かれる。

そう思って映画を観ると、印象が随分と変わってくる。

「湿地の娘」と周囲から蔑まれ続けた孤独な少女の苦難な生き様と、その中で体験する切ない恋の物語。そこに若い男の変死が絡んでくるという設定だ。

ヒロインには湿地帯は天国なのかも

周囲から疎まれ、蔑まれ、履き物もなく、読み書きもできない、日々食べていくことすら困難な環境なのに、カイアはあの湿地帯から決して出ようとはしない

側(はた)から見ればあんな湿地帯に留まらないで、他の家族と同様に外に逃げ出せばいいのに、何故か湿地帯に留まり、決して出ようとしない無垢な少女。

家族を失い、孤独の極みの中にあるカイアにとって、親や兄弟がいないという一人ぼっちの辛さはあっても、どうやらあの環境、生まれ育った湿地帯は好きでたまらないのである。

この映画は、想像を絶する過酷な生い立ちを甘んじて受け入れて、人が忌み嫌う湿地を自分のホームグランドとし、そこから全てを学び取ろうとする何とも前向きな話しでもあるのだ。

湿地が彼女を育て、救ったとも言えそうだ。

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類まれな映像美に圧倒される

ストーリーも素晴らしいが、こんな特殊な設定を見事な映像で描き切った美術というか、目も眩むような圧倒的な映像美に、ただただ溜息を吐くしかないという何とも美しい映画なのである。

そのノースカロライナ州にある「ザリガニの鳴くところと呼ばれる湿地帯」の景観が全くもって素晴らしい。実に美しい。

ノースカロライナ州の位置を示すアメリカの地図

ここがノースカロライナの位置。舞台はこの辺りの海外沿いの湿地帯だ。

 

映画の冒頭、大きな鳥が羽を広げて湿地帯の上をゆったりと舞うシーンに、いきなり心を鷲掴みにされてしまう。

僕はこの冒頭シーンから一気に映画に引き込まれ、最後の最後まで、そのあまりにも美しい景観と映画の映像美に酔い痴れた

目を見張る映像美。湿地帯の美しい景観。その湿地帯に集まってくる様々な生き物たち。特に渡り鳥を中心とする大型の鳥たちが実に美しい。カイアが胸をときめかすのも良く理解できる。

映画の中の1シーンから

映画の中の1シーンから。

自然の美しさ。水の美しさ。東洋的な幽玄さまで漂わす心洗われる景観の数々

それらを実に見事な映像で一貫して活写している様は、見事としか言いようがない。

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新星デイジー・エドガー=ジョーンズの素晴らしさ

映画の観どころは多いが、未曾有の映像美の中にあって、観客の目を惹きつけて離さないのは薄幸のヒロインであるカイアを演ずるイジー・エドガー=ジョーンズの素晴らしさだ。

映画の中の1シーンから。ヒロインのカイア。

映画の中の1シーンから。カイアを演じるデイジー・エドガー=ジョーンズ。

 

その清楚な美貌もさることながら、この難しい役どころを実に表情豊かに演じていて、感心させられる。

デイジー・エドガー=ジョーンズの写真

デイジー・エドガー=ジョーンズ。これは映画のシーンではない、念のため。

 

まだほとんど新人に近いキャリアしかないようだ。

すごい新星が現れたものだ。とにかくその表情の豊かさちょっとした仕草や感情の発露が痛いほど伝わってくる。

僕はすっかり魅了されてしまった。

テイラー・スウィフト歌が心に沁みる

映画の最後、エンドロールに非常にしっとりとした実にいい歌が流れてくる。

あのアメリカが誇る世界的シンガーソングライターのテイラー・スウィフトによるこの映画のために書き下ろされたオリジナル・ソングである。

曲名は「キャロライナ」。

映画化されるに当たって、テイラー・スウィフト自身が熱心に働きかけたという。

このあまりにも過酷な人生を送らざるをえなかったカイアの心情に寄り添う優しい歌で、エンドロールを眺めながら映画の余韻に浸るにつけ、何とも心が癒される。

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恋の喜びと苦しみが描き尽くされる

親からも兄弟からも捨てられ、湿地帯にたった一人で生きて行くことになった幼い少女の絶望と孤独の極み。

そんな困難な状況にあっても、やがて年相応の恋心が芽生えることになる。

孤独な少女にとってそれがどれほどの心のときめきであり、喜びであったか想像に難くない。

この映画では、少女の過酷なサバイバル以上に、この恋愛模様が鮮烈な印象を残す。

恋の喜びと苦しみが、鮮烈な映像によって、余すところなく描き尽くされる。

カイアの悲しみの表現が胸に突き刺さる。それを的確に表現する実に巧みな映画表現が感動的だ。

深い感動が収まらない

多少の不満はあるとは言うものの、僕にとっては、久々に心から感動できる忘れ難い映画となった。

実に素晴らしい。感動必至の本当にいい映画だと思う。

カイアの過酷な生き様はもちろんだが、住民から徹底的に忌み嫌われ、偏見を持った人々の中にあって、彼女に優しく接し、見守り続けるごく少ない周囲の人間の存在に救われる思いがする。

カイアの無実を証明しようと奮闘する老弁護士も実にいい味わいを出していて、素晴らしい。感動させられる。

学校にも全く通えず、読み書きもできなかったカイアが、母親から譲り受けた絵の才能を活かして、やがて大きく成長して行く姿は感動的だ。

もちろんこれはノンフィクションではなく創作であることには注意する必要があるのだが。

監督のことはまるで知らないが

こんな素晴らしい傑作を作った監督のことはまるで知らない。オリヴィア・ニューマンという女流監督だ。長編映画はこれが2作目となるまだ新人のようだ。大したものである。

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思っているよりもずっと奥の深い物語

この映画は思っているよりも、ずっと奥の深い作品である。 

根底にある一番重要な点は、やっぱり差別と偏見。人種が違っているわけでもないのに、湿地の娘は、人間とは見られておらず、その差別と蔑みは甚だしい。

彼女は最初から犯人だと信じ込まれ、決めつけられているのである。  

この偏見、この排他性を何とか拭い去りたいというのが、原作の。嫌だなとつくづく思われる。

人間社会を離れて自然の中で様々な生き物たちと共に生き抜いてきたカイアには、独特の人生哲学が育まれていった。自然と人間。生物の生存論理。

この美しい映画の中から、それらが浮かび上がってくるのだが、詳細は観てのお楽しみだ。

これだけ美しく、心を揺さぶられる映画はそうはない。是非ともじっくりと観ていただきたいものだ。

 

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何とこの大ベストセラーが、現在ソフトカバーの紙ベースの本が入手困難のようである。何たるスキャンダル。
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