合唱指揮者でもある熱々たけちゃんです。

その後の合唱団の対応

前回の「合唱団のコロナ対策はどうしたらいいか?指揮者が提案する3密対策の練習方法と実際の進め方」を書かせていただいたのは6月11日のこと。あれから1カ月以上が経過した。あの記事の中でも書いたことだが、あの記事の投稿後、僕らの合唱団では役員会(合同委員会)を開催し、実は来る8.1(土)から遂に念願の練習開始を決定していたのである。その時の打合せの結果としては、緊急事態宣言が解除され、最後まで残った首都圏と北海道も解除されたことも受けて(5月25日)、できれば7月再開を実現させたかったが、合唱活動は飛沫を飛ばす活動に他ならないという合唱固有の危険性を鑑みて、そこは1カ月間遅らせて、来る8月1日の練習再開を期したのであった。

普通にいけば8.1からは、諸々の注意事項には最新の注意を払いながらも、正々堂々遂に約半年ぶりに合唱の練習が再開できるはずで、メンバーにも周知徹底し、8月をみんなで楽しみに待っていたところであった。
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現在のコロナ感染の状況と対応の悪さに怒り心頭!

だが、ことはそう簡単には進まなかった。緊急事態宣言が解除され、一挙に緩みが出た。僕は本当に不思議でならなかったが、日本中が、【緊急事態宣言解除=不要不急の外出も完全撤廃=全国どこへでも移動・旅行が可能】とされてしまったことだ。いきなり観光客が動き出した。緊急事態宣言解除で、今まで都道府県をまたいでの移動が禁止されていたのが許されるようになったというのは、田舎の家族に会うとか、業務上必要な出張等は認めるということであって、いきなり観光目的で日本中のどこへでも自由に行ける、ということとは絶対に違った筈だ。それは誰が考えたって分かる自明の理なのに、いつの間にか全国どこへでも観光に行ける、ということになってしまった。そして様々な店舗等の営業も一挙にあっという間に全て解禁されてしまったのだ。

直近のコロナの感染状況は

その挙句の果てが今のこの事態。
東京都では7月16日(木)286人、17日(金)293人、18日(土)290人というほとんどオーバーシュート(爆発的感染)に近いところまで来てしまった。18日(土)は大阪でも86人。全国でも664人に及んでいる。収束(終息)するどころか、これを感染の第2波と呼んでいいのかどうかは別として、とにかく一時は少なくなりかけた感染者がここにきて再び猛威を振るい始めたことだけは間違いない。

小池都知事の説明もお粗末の極み

この急増している数値を評して、「PCR検査をかつてよりもたくさん実施しているから」との説明を繰り返す小池都知事も全く理解できない。そうではなくて、ハッキリしていることはこれだけの数の感染陽性者がいるということであり、しかもPCR検査は相も変わらず誰でも簡単に検査を受けられるわけではないから、実際にはもっともっと巷に陽性者が溢れかえっていることを示しているのだ。過去と比べて陽性者が多いの、少ないのと言っているわけでは決してない。

どうしてこの時期にGoToトラベルキャンペーンなんだ!?理不尽の極み!!

こんな事態の中、国が我々の税金を使って、それも信じられない程の巨額の予算を投じて、GoToトラベルキャンペーンとやらを、このタイミングで推し進めようとしていることが理解不能。元々コロナの収束後という話しだったではないか。今が、コロナ収束後とどうして言えるのか?挙句の果てに東京都だけを除外して問題は解決すると思っている、わが国のトップリーダー達の頭の中を覗いてみたくなるのは僕だけであろうか!?

この元々有り得ない狂気の政策をうまく運用できるはずがない。そこで東京都だけの除外の滑稽さに加え、若者と高齢者の団体旅行は認めないとか宴会はNGだとか、いよいよ混迷の度が加速するばかり。本当にこんなことをやっていて、日本は大丈夫なのか?たまたま日本人の死者が欧米に比べて極めて少なく、碌な対策を取っていなかったにも拘わらず感染者数も少ないというある意味での「奇妙な奇跡」が幸いしているだけで、安倍内閣の実施した新型コロナ対策はことごとく対策の体をなしていない。愚作のオンパレード。

東京のこの激増は都知事にも大きな責任あり。国と都の責任は甚大だ。

東京都の小池知事もひどい対応だった。緊急事態宣言後に東京都内でジワリジワリと感染者が拡大してきた6月後半から、「夜の街関連」だということと、「PCR検査数の拡大に伴う結果」との一点張りで、この間、東京アラートの発令はおろか、何一つ対策を取らずに放置した。病院のベッドにも余裕があるから心配は要らないと言ってのけていた。その結果がこの連日の300人弱の数値である。

小池都知事と菅官房長官との間で、責任のなしつけ合いをしていて世の失笑を買っているが、国も東京都も、緊急事態宣言解除後の無策はあまりにも酷過ぎる。その結果が今の事態を引き起こしていることは間違いない。どこかの市長ではないが、これはまさしく人災に他ならないのである。

話しが思わず脱線してしまったが、そのしわ寄せを食うのが我々一般市民ということだ。特に僕たちのような合唱に携わっている者にとっては、もう再びみんなが揃って歌を歌える日が何時やって来るのか、皆目見当もつかなくなってしまった

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そこで合唱の練習再開はどうするんだ?

話しを戻す。

ここにきて急に激増しつつあるコロナ感染者の状況を踏まえて、予定していた8.1(土)の合唱再開が可能かどうかという最終判断である。

様々な3密対策を講じれば、何とかこのコロナ感染者が急増している中でも練習は可能だろうか?

もっと工夫すべき点はないだろうか?

安全を確保した安心な練習方法はないものだろうか?

それを考えてみるつもりだった。

一方で、非常に対応が遅れていた日本の合唱界も、ここにきて漸くコロナ禍の中での合唱の練習の進め方、注意点等についてメッセージを発信し始めた。全日本合唱連盟と東京都合唱連盟と2種類のガイドラインが、今では用意されている。

合唱活動における新型コロナウイルス感染症拡大防止のガイドライン」(全日本合唱連盟)2020年6月29日付け
新型コロナウイルス感染症影響下での合唱再開ガイドライン」(東京都合唱連盟)令和2年6月23日付け

これらよりも先、約1カ月前に僕が書いたブログと大きな違いはないが、こうして合唱界が自らガイドラインを出した意味は大きい。

こうして、現在は僕の周辺でも練習を再開し始めた合唱団も少なくはない。実際、このところの陽性者の激増の前だったら、しっかりと対策を講じて臨めば、合唱はできたようにも思う。

だが、現実的にはこの有様だ。東京だけではなく、首都圏はもちろん大阪はじめ関西でも、いや日本中で陽性者がかつての緊急事態宣言下に勝るとも劣らない勢いで増え続けている。しかも前述のとおり、この感染者激増の中で、政府が音頭を取ってGoToトラベルキャンペーンを繰り出して、みんなで旅行に行け!費用は税金で半額を補填すると大キャンペーンを張っているのである。いやはや恐ろしい。
とても合唱どころではない。
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コロナ感染者激増の中、合唱団員の気持ちにも大きな変化が

実は、この期に及んで、合唱団のメンバーに少し想定外の心の動きが出つつあることが判明した。僕には少し意外なことだったのだ。

というのは、8.1(土)に予定されていた合唱練習再開日に練習に参加できるかどうかをメンバー全員に回答を求めてみたのである。いわば意向調査というかアンケート調査みたいな感じ。

聞いたこと、調査内容は以下の3点。

①8.1に仮に予定どおり練習再開と決定された場合に、参加できるかどうか?
②参加できないという場合には、その理由。
 ア コロナの不安・心配
 イ 単に都合が悪い
③今後の練習再開に関しての、忌憚のないご意見を寄せてほしい

【結果:参加者可能者数】
ソプラノ 1人
アルト  1~3人
テノール 3~4人
ベース  1~2人

確実に参加できるメンバーは6人。状況によって出られるメンバーを含めても10人。

ちなみに僕の合唱団は現在30名弱の大きさである。簡単に言うと、5分の1程度しか参加者がいなかった。辛うじて出席できるメンバーを含めても3分の1程度。

みんなこの5カ月間以上に渡って練習がないことで、少しでも早く一緒に歌いたい。練習再開を熱望してくれているメンバーばかりのはずなのに、この結果。特に女声陣は確実に参加できるメンバーは2人だけであった。
また、この10人の中には練習があると決定されれば出席するが、できれば出たくない。合唱団としてこの日の練習を開催すると決定しないでほしいとの意見も含めての数だったのだ。

ほとんどのメンバーがコロナへの不安と心配のために練習参加を断念

参加できない理由は、都合が悪いというメンバーは1名だけで、他は全員がコロナの不安・心配ということであった。僕らは平均年齢が60歳前後の高齢合唱団?であり、自分自身のことはもちろん、メンバーの中には年老いた高齢者と同居している者もいて、やはり慎重にならざるを得ないという事情もあった。

といった調査結果に。

この結果と日々急増する感染陽性者の状況を踏まえて、役員会としては8月1日の練習再開を断念。8月は8日と22日にも練習が予定されていたが、その全てを中止とする決定をせざるを得なかった。

合唱団としていくら練習を再開しますと宣言しても、実際にメンバーが参加してくれなければ、練習は成立せず、全く無意味なのである。

9月の再開をどうするかについては、様子を見ながらまた改めて検討することになった。

こうしてまたまた練習再開は先延ばしとなってしまったが、さすがに全く練習が行われなくなってから半年となり、メンバーが顔を合わせることも全くない中で、このままでは合唱団としての危機を迎えかねない。メンバーのモチベーションの低下をどう食い止めて、来年に延期とした定期演奏会を成功させるのか、意見交換を行った。

今が合唱団の正念場。どうすべきだろうか!?

合唱団としては、正に今が正念場。指導者、役員はもちろん、全員のたゆまぬ努力と合唱団への愛がないと、この危機を脱出することは非常に困難だとあらためて痛感させられた。

最後にこんな提案をしてみたい。これは実際に僕たちの合唱団でも実践することを決定したことと、既にやっている事柄である。

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何とかして実際に歌うには。いくつかの打開策の提案

このコロナの危険と不安の中、合唱団としての正式な練習は引き続き中止とするが、練習会場を確保して、参加できるメンバーだけの自主練習の場として活用してもらうこと。
その場合に、パートリーダーが最低でも1名は参加することとし、練習を推進してもらう。どのような練習を行ってもらうか等については、指揮者と良く打ち合わせる。
また、会場の手続き等のため、運営系の役員も必ず1名は参加し、合唱団として責任をもって対応する。

その際の、3密を避けた練習方法は徹底することはもちろんだ。

念のため列挙しておく。

1.大前提

①練習会場の大きさにもよるが、基本的には15名以下の練習としたい。
②この状況下、会場が合唱練習、歌を歌うことを禁止している施設も多いので、会場の確認を必ず取ること。
※昨日の打ち合わせ会場は中野区の施設。歌うことは禁止されていたが、隣の団体は平気で歌っていた。
しかも換気のためなのか、廊下の扉を開けて歌っており、何となく覗いてみると、マスクもしないで歌っている人もいた。
あのようなルール違反は厳禁。合唱界の良識を疑われるので、厳に慎んでほしい。

2.前後の対応

①体温測定と体調確認・・・体調が悪い。あるいは平熱よりも高い場合は参加してはならない。
②手指消毒
③うがい
④終了後は椅子、譜面台等の消毒

3.練習中

①必ずマスクを着用のこと・・・休憩時間中もマスクを決して外さない。
②3密の回避。歌い手同士は左右1メートル以上、前後は2メートル以上の間隔を開けること。
③休憩時間を頻繁に取り、換気(窓開け)の実行
10分分歌って5分換気。15分歌って10分休憩。この30分間のインターバルを繰り返す。
合唱連盟のガイドラインでは「連続した練習時間は30分以内とし、5分以上の換気を行う」とされているが、僕は少し甘過ぎると思う。もっと頻繁な換気が必要だ。
④水分補給は構わないが、休憩時間中の食事、お菓子等を食べることも不可

4.終了後

ここが一番難しいところかもしれないが(笑)、練習終了後の飲み会は基本的に禁止
そうは言ってもそのまま真っすぐに帰るのは難しいかもしれない。しかも久々の再会と歌えた喜び。どうしたって一緒に飲みたいことは理解できるが、ここはグッと我慢。
どうしても飲みたいという場合には、短時間で切り上げ、どんちゃん騒ぎとは言わないまでも、大きな声で盛り上がることは厳に慎むこと。合唱団のメンバーはみんな声が大きい!(笑)。大人しくしみじみと飲まなければならない。できるかな?
調査によると「乾杯!」の発声だけで飛沫は2メートルにも及ぶそうだ。
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外で(屋外)で歌うという方法もある

広大な代々木公園等で歌うことも考えられる。僕の合唱団では現に数回実施済みで、かなり気持ちよく歌えるようだ。
但し、この場合にもマスク着用で、間隔を開けて歌ってほしい。僕自身は代々木公園の経験ないのだが、多くの合唱団がみんな集まってきたらどうなるのか、一幕の不安がある。

たまに気分転換でやってみることはおもしろいのでないだろうか。取り敢えず、3密を回避できることだけは確実だ。

とにかく、この新型コロナがこれ以上のオーバーシュートを引き起こさないことを切に望む。

GoToトラベルキャンペーンは、当初の閣議決定のとおりコロナ終息後に動き出すべきだ

そしてとにかくPCR検査を徹底的に実施し、陽性者と非陽性者、つまりコロナにかかっている人とかかっていない人とを峻別し、経済活動やGoToトラベルキャンペーンは、この感染していない人だけを対象にしなければ、瞬く間に日本中にコロナ感染者が蔓延してしまう。小学生でも分かる話しだ。

このコロナ感染者が激増している中、前倒しで実施するなんていう愚かなことは、一日も早い撤回を切望する。

このままでは医療崩壊も目前

僕は医療人の一員として、これだけは声を大にして言っておきたい。医者でも医療技術者でもないけれど、病院に勤務し、病院の経営を支えている幹部職員の一員だ。このままでは医療崩壊も目前となってしまう。そうなったら合唱どころではないのだ。

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僕らの悩みと対策が、何らかのお役に立ってもらえれば幸いだ

今回は僕の合唱団の現在の状況を包み隠さす報告させていただいた。僕のブログ記事の中では、コロナ禍の中での合唱の練習を中止した経緯や何とか3密を避ける練習方法はないものか、という一連の合唱関連記事が非常に読まれている。多くの合唱団がこの時期になって迷い、悩んでいる証左であると考えられる。

僕らの合唱団は規模的にも技術的にも弱小合唱団の一つに他ならないが、僕らにとってこの合唱団を何とかしていきたいという合唱団愛にかけてはどこにも負けないと自負している。

現在、多くの合唱団がこれからの練習をどうするかについて大いに悩んでいることと思う。そんな中、僕らの悩みや対策が他の合唱団にとって多少なりとも何らかのお役に立てればと幸いと、ありのままに報告している。今後も定期的に報告を続けていくつもりだ。

この試練の中、多くの合唱団が希望を失わずに活躍してくれることを切に祈るばかりである。

 

 

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