僕が愛してやまないギンレイホールで実際に観た全映画の紹介とコメントを書くシリーズ、現在精力的に進めている真っ最中ですが、番外編として、僕の職場の広報誌に載せた映画紹介記事をここ熱々たけちゃんブログでも、公開させてもらうことにしました。

全映画紹介の3回目でも取り上げた深田晃司監督の「淵に立つ」です。

併せてお読みください。

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竹重事務部長の「映画に描かれた病院を斬る」第4回(広報誌:「杏雲堂」より)

【ギンレイホールの上映作品は傑作ばかり】

前回予告させていただいたとおり、今月は我がお気に入りのギンレイホールで上映された作品を取り上げさせていただく。2本立ての名画座なのだが、新規公開の3~5ヶ月後に回ってくるので、名画座と言っても、かなり新作ばかりということは前回書かせてもらったとおり。洋画が中心だが、邦画も定期的に回ってくるし、ヨーロッパ辺境の地や東南アジアの作品なども盛んに取り上げてくれるところが嬉しい。その上、強調したいのは2本の組合せが実に絶妙で、そこに確固たる信念と哲学が感じられるところが素晴らしい。2本の映画そのものには直接は何の関係もないのだが、ギンレイホールで2本立て続けにみると、どうしても2本の関連、そのテーマ比較に想いが膨らんでしまう。名画座の在り方として理想的ではないだろうか。実は、杏雲堂病院にギンレイホールによく通うメンバーが他にも何人かいて、よく居酒屋で酒を飲みながら、「ギンレイで観た映画を語る会」を開いているのだが、そのうちのMさんは、いつも2本の映画を対比的に語るのが印象に残る。確かにそうしたくなるように、信念をもって上映作品を決めているように思われてならない。

さて、杏雲堂への入職と同時に会員になって、早10ヶ月。2週間毎に入れ替わるので、ざっと40本近い映画を観させてもらったことになる。ほぼ全ての作品を観ている。その全部が傑作だったと言っても過言ではない。特に印象に残っている作品を列挙しても、すぐに10指を超えてしまいそう。「ハドソン川の奇跡」「手紙は覚えていた」「ヒトラーの忘れ物」「はじまりへの旅」「湯を沸かすほどの熱い愛」「沈黙‐サイレンス‐」「わたしは、ダニエル・ブレイク」etc.それらに加えて、以下の3本があるのだ。この3本との出会いがギンレイホール絶賛の決定的要因となった。異常なまでに衝撃を受けた作品と、「生涯のベストテン」の一角と言いたくなるほどの大傑作2本との出会いがあったからだ。わずか10ヶ月足らずで考えられないこと。

今回は、そのうちの「衝撃作」について書かせてもらう。

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【淵に立つ(監督・脚本・編集:深田晃司)】

登場人物はわずかに4、5人しかいない極めて地味な映画なのに、その映画的興奮には、久々に血が騒いだ。観ていて、思わず席を乗りだし、えっ!?まさかそんな!と何度我を忘れて声を上げたか分からない。

実に暗い映画。観ていて暗澹たる気持ちになるのだが、そこは人間の本質に迫った深い洞察があるわけで、暗いということだけで、この映画から目を逸らせたら大損失。観ていてとにかく先が読めない。次の展開が全く読めず、ひたすら画面に釘付けになる。そしてさりげなく交わされる会話と展開に衝撃を打たれ続けることになる。内容的にも、映像的にも打ちのめされる映画。と言って、もちろんオカルトでもホラーでもない。

ある平和な家庭に一人の男がやって来て、周辺に影響を与えて行くだけの話し。その男が浅野忠信。わずか15分程度しか出て来ないのに、圧倒的な存在感で終始映画全体を支配する。浅野の存在感は確かに物凄いのだが、ハッキリと言っておきます。

監督の深田晃司はまだ37歳の若さながら、天才!必ずや世界的な大監督になる。断言します。ちなみに昨年度のキネマ旬報ベストテン第2位。

深田監督のサイン入りのパンフレットは、詳細なシナリオまで掲載されていて宝物となっている。こんなに充実したパンフレットはいまだかつて見たことがない。感動した僕は病気が出て?3冊も買い込んでしまった(笑)。

生涯のベストテン入り濃厚な「感動作」2本については、次回のお楽しみ。

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