【第8章】からの続きです。
某自治体病院ではなされていなくて、民間から事務長職として赴任した私が新たに導入した取り組みの紹介と解説の第9弾です。
今回は2つのテーマについて取り上げます。
目 次
「患者満足度調査」があまりにも不十分
「患者満足度調査」は病院経営にとって私が最も重要なものの一つとして位置付けているものです。
全国のほとんどの病院で行われている年に1回の調査です。
某自治体病院でも当然、以前から調査が実施され、取りまとめもされていました。ところが、その内容があまりにも低レベルなものだったのです。
またまた私は驚かされて、抜本的に調査の全てを改めさせました。
患者満足度調査の抜本的見直し
抜本的見直しは4つの側面から徹底的に改めました。
1.調査項目の全面的見直し
2.対象患者数の大幅アップ
3.調査結果の取りまとめの充実化
4.調査結果の病院内への周知徹底と改善要求
1.調査項目の全面的見直し
「患者満足度調査」は病院の利用者(顧客)である患者から当該病院の評価を直接聞くことのできる唯一の機会であり、全国どこの病院でもかなり力を入れています。
どこの病院でも患者に対してどんなアンケートを行うのか、その内容を毎年十分に吟味し、当該病院独自の調査項目を加えるなど工夫しているものです。
業者が作ったありきたりの定型的な調査なんてやっても、意味がありません。
自分の病院の強みや弱みを把握した上で、強みが強みとして機能しているのか、逆に当院の弱みとされている部分が、相変わらず患者から評判が良くないのか、それらを満足度調査で確認してこそ意味があるのです。
その意味で、患者に何を調査し、何を尋ねるのか、ここが命となります。担当部署以外の事務職はもちろん、ナースを始め多職種を集めて、病院内で議論を尽くして調査項目を決めていくことが必要となります。
2.対象患者数の大幅アップ
回答してくれる患者数を増やす努力も重要です。私が赴任する前の調査では、回答数も少なく、統計上の信頼水準を満たしていませんでした。
生の患者の声と自由記載の意見をできるだけ集めるために、患者満足度調査そのものの規模を大幅に拡大させました。
3.調査結果の取りまとめの全面的見直し
取りまとめと分析が非常に薄っぺらなものでした。調査結果が病院にとって宝の山だと認識すれば、結果から何が判明してくるのか、分析によって様々な有用な答えが浮かび上がってくるのに、単なるルーチン作業として行っていたため、表面的な取りまとめで終わっていたのです。
調査の重要性を認識させ、意識改革させると共に、私の以前勤務していた病院の分析を参考にさせるなどして、抜本的に改めさせました。
4.調査結果の病院内への周知徹底
これをやらないことには何の意味もないため、調査結果の院内全体への周知徹底も強化し、職員に「患者の視点」の重要性を理解するよう意識改革を促し、マイナス評価への改善の必要性を強く訴えました。

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教訓と改善策【患者満足度調査】
患者の病院への評価を知る絶好の機会であり、調査結果は病院にとって宝の山となる。決してルーチン扱いせず、本腰を入れて熱心に取り組むこと。
1.調査内容の吟味。業者が作ったものを何の吟味もせずそのまま使うのは愚の骨頂。
病院として何を聞きたいのか、何を確認したいのか。それを見極めた上で、調査項目を個別に設定することが必要だ。
2.できるだけたくさんの患者からアンケートを集めることが必要。
3.調査の取りまとめが命。調査から何が見えてくるのか、病院にとって重大な課題(マイナス面)が浮き彫りになる調査結果としたい。
4.調査結果を貴重な財産として院内に周知徹底させることが不可欠。特にマイナス評価を漏れなく伝え、改善させなければならない。
⇒ 翌年はそのマイナス面が改善したかどうかを確認する調査となる。だからこそ、調査項目を毎年見直し、十分吟味する必要があるわけだ。
井の中の蛙だった病院を大変革
私が某自治体病院に入職して、これまた大きな問題だと痛感させられたのは、自治体病院という公的病院でありながら、地域の関係病院や近隣の他の自治体の病院などと定期的な幹部の交流を図るなどの情報交換が、全く行われていなかった点です。
事務長職の定期的な集まりが全くありませんでした。これは問題でした。井の中の蛙になってしまいます。
自治体病院の事務長の集まりを実現
似たような状況にある他病院との事務長同士の定期的な集まりはどうしても必要なものです。何とかして定期的な近隣有力自治体病院の事務長職の集まりを実現させたいと熱望しました。
そこで、私が発起人となって多方面に働きかけ、一挙に近隣自治体病院との「事務長勉強会」を定期的に開催させることに成功しました。
互いに顔が見える関係になることで貴重な人脈が築けたことはもちろん、事務職幹部の名簿作りや組織図、給与や手当などを皮切りに、重要な情報共有ができたことは重要な病院の財産となりました。
目的を実現させる一例を示した
もう一つ重要だったことは、当院の事務職員に対して目的を実現させる強烈な一例を示すことができた点にあったと考えています。
「どうしても実現させたい」「必ず成し遂げたい」と強い必要性を感じる事項は、その気になって自ら企画し、様々な調整などに真摯に取り組めば、過去に例のない近隣自治体病院の事務長職(主要事務職員同席)の定期的な集まりという困難な企画であっても、実現させることができるということを、実体験として理解してもらえたのではないかと自負しています。
実際に動き始めてから、わずか4カ月程度で実現させることができました。
教訓と改善策【関係病院との連携強化】
似たような状況にある近隣病院の事務長職と主要事務職員との定期的な集まりは不可欠で、是非とも実現させたい。
特に自治体病院ではどこでも同じような問題と課題に直面しながらも、他の自治体病院との定期的な集まりは行われていないことが多いだけに、実現できれば実りは大きい。
何かあった時に、他病院に直ぐに相談し、アドバイスを受けられる環境を整備しておきたい。
【第10章】に続きます。
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