モンテヴェルディ最高の名盤DVDが日本語字幕付きで格安にて再発売

嬉しいニュースが飛び込んできた。以前、このブログで強く大絶賛したものの入手不可能となっていたモンテヴェルディのオペラ「オルフェオ」の超名盤のDVDが、今月10日(2022.8.10)に再発売されたのである。こんな朗報は滅多にないこと。思わず狂喜している。

僕はこのDVDを3枚も持っているのだが、いずれも日本語字幕も日本語の解説書もない輸入盤で、国内盤は持っていなかった。当時販売された国内盤DVDは非常に高価なものであり、輸入盤を既に3枚も持っていた僕としては、いくらこのDVDに愛着を感じていたとしても手が出せなかったのである。

それが待望の国内盤の再発売。しかも値段が信じられないほど格安になっての限定発売。これは絶対に見逃してはならない極めて貴重なものである。

以前、このブログでも紹介したカール・リヒターが指揮したバッハの「マタイ受難曲」の稀有の映像DVDと同じ規格の第3弾という取り扱いである。このモンテヴェルディの「オルフェオ」は1枚ものなので、定価でも何と1,980円。記事の最後の購入ボタンから申し込んでいただくと、楽天ブックスから送料無料で1,782円というにわかに信じられない程の廉価で購入することができる

モンテヴェルディの「オルフェオ」はCDでは必ず2枚組となるので、この目を見張る素晴らしい映像のDVDの方が格段に安いという驚嘆の逆転現象となっているので、本当にこれは見逃さないでほしい。

紹介したDVDのジャケット写真
これがジャケット写真。国内盤ならではの日本語の表記が嬉しい。
紹介したDVDの裏ジャケット写真
これが裏ジャケット写真。歌手やオーケストラが分かりやすく表記されている。

モンテヴェルディの天才が実現させた音楽史上最初にして最高のオペラ

モンテヴェルディと彼が最初に作ったオペラ「オルフェオ」のことについては、以前この熱々たけちゃんブログの中で、それこそ熱く熱く紹介している。僕はそこでも書かせてもらったとおりバッハと並んで、このモンテヴェルディという作曲家に若い時からズッと夢中で、熱愛している。

そのエッセンスをもう一度振り返っておこう。

先ずはモンテヴェルディという稀有の天才作曲家のこと。続いて、その天才モンテヴェルディが作曲した音楽史上最初のオペラ(歌劇)である「オルフェオ」のことだ。

モンテヴェルディのこと

クラウディオ・モンテヴェルディは1567年に生まれ、1643年に亡くなった。享年は76歳。この時代にあって脅威的な長命を誇り、しかも死ぬ直前まで名作を作り続けた。ちょっと化け物のような存在だ。

イタリアのクレモナで生まれ、最後はヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長として天寿を全うした。

ヴェネツィアで活躍した作曲家と言えば、あのヴィヴァルディが有名だが、モンテヴェルディが活躍したのは、そのヴィヴァルディの100年ちょっと前のこと。モンテヴェルディを知る者にとって、ヴィヴァルディはあまりにも小さな存在となってしまう。

モンテヴェルディは、「音楽史上空前の、ケタ外れの巨大さを持った恐るべき大天才」と言うしかない。

ルネサンスからバロックへという音楽史上未曽有の大変革期を、自らの力で切り開くとともに頂点にまで導いた空前の天才。

大バッハことヨハン・セバスティアン・バッハが生まれる150年近くも前に、そのバッハをも上回るような大天才がいたことに驚かされる。

モンテヴェルディの有名な肖像画
有名なモンテヴェルディの肖像画。

 

モンテヴェルディの偉大な業績の中でもとりわけ重要な点は、オペラいわゆる歌劇の創造である。

オペラこそ、バロック音楽ならではの創作。モンテヴェルディは「マドリガーレ」と呼ばれる世俗の詩につけた多声音楽を生涯に渡って作曲し続けたのだが、その詩の内容に即した劇的な表現を追求しようとすればするほど、最後にはオペラという様式の創造に到達せざるを得なかった

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オペラ「オルフェオ」のこと

こうして、記念すべきモンテヴェルディのオペラ第1作「オルフェオ」が生まれた。時に1607年。徳川家康による江戸幕府開府直後のことだ。

既に紹介済みの至高の名曲「聖母マリアの夕べの祈り」(ヴェスプロ)が作曲されたのは1610年。「オルフェオ」は「ヴェスプロ」に3年先立って作曲されている。

モンテヴェルディの「オルフェオ」の前にもオペラは数作作られていたが、「オルフェオ」とは比較にならない。アマチュアの実験的な所産に過ぎなかったものを、芸術的にも技術的にも「オルフェオ」が一挙に引き上げた。

もしモンテヴェルディが「オルフェオ」を作曲していなければ、オペラというジャンルは今日の隆盛を迎えていなかったことは断言できる。

そして真に驚くべきことは、この音楽史上最初のオペラの傑作が単なる歴史的な価値だけに留まらず、今日に至るありとあらゆるオペラの要素を内包し、その発展の全ての可能性をも提示していること後世、ワーグナーが行う革新的手法まで、この中にはあるのだ。

モンテヴェルディは桁外れの恐るべき天才だった。彼の作品を聴けば聴くほど、そのうちにそら恐ろしくなってくる。

これも有名なモンテヴェルディの肖像画
これも有名なモンテヴェルディの肖像画。長い馬面が印象的だ。

「オルフェオ」はどんなストーリー?

ここからは以前取り上げたガーディナーの最新の映像を紹介した際の記事を、基本的に引用させていただく。その時の記事のエッセンスを書かせてもらう。

有名なギリシャ神話のオルフェウスを題材とし、台本はマントヴァの宮廷書記のストリッジョが書いた。

良く知られた物語ではあるが、ザッと紹介しよう。

歌と竪琴の名手であるオルフェオは相思相愛のエウリディーチェと晴れて結婚し、幸福の絶頂にあるが、ある日、最愛のエウリディーチェが花を摘んでいて毒蛇に噛まれ、死んでしまう。嘆き悲しむオルフェオは意を決して冥府に下り、自身の歌で冥府の神々を必死に訴え、エウリディーチェを取り戻すことに成功する。

但し、一つの条件が付けられていた。地上に戻るまで、絶対に振り返ってはならないと。後ろにエウリディーチェを連れて意気揚々と地上を目指すオルフェオ。一瞬、彼の心に不安がよぎる。エウリディーチェは、愛する妻はちゃんと付いて来てくれているのかと?

そして、思わずオルフェオは・・・・!

この後はもう触れないでおこう。良く知られている悲しい物語だ。僕はここでどうしても胸が詰まり、涙を抑えることができなくなる。

多彩な音色に満ち溢れた合唱曲が満載

約2時間の大作である。聴きどころが満載だ。この曲を愛してやまない僕は、冒頭から最後のエンディングまでどこを聴いても素晴らしい音楽の連続で、心がときめく。オルフェオとエウリディーチェの仲間である羊飼いやニンフが多数登場し、それらが見事な合唱を聴かせてくれるのが嬉しい。喜びの合唱、悲しみの合唱、そして怒りの合唱など、色彩感に富む、多彩な音色に満ち溢れた合唱曲の数々が一つの大きな聴きどころである。 

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構成感の見事さと卓越した劇的表現

音楽の素晴らしさ以上に、モンテヴェルディの天才が躍如するのは、その構成感の見事さ表現方法にある。この作品はモンテヴェルディが得意とした劇的表現の宝庫なのである。

このオペラを舞台の上演で観て、誰でも驚嘆させられるのは、喜びに浸っているオルフェオのところに突然やってくる使者の扱いだ。エウリディーチェの死を伝えにやって来る使者である。

このオペラの最大の聴かせどころの一つ。

この使者の歌が素晴らしい。歌というよりもこれは「語りの音楽」なのだが。これがモンテヴェルディの真骨頂

そして、エウリディーチェの死を知った直後のオルフェオの表現がすごいの一言。壮絶。何も語らない。石のように固まってしまう。

「あぁ・・」とだけ。しばらく声を発することができない。こんな表現主義的な大胆な表現を早くもこの時代に取り入れているのだ。「沈黙の効果」と言うべきか。

人は本当に衝撃を受けたときには言葉を失ってしまう。悲しみや怒りを大声で絶叫するよりも、よっぽど効果がある。大胆にもそれを音楽で表現したモンテヴェルディ。

超絶技巧を駆使したオルフェオの歌が圧巻

人や獣どころか、木や草、岩までも魅了したと伝わるオルフェオの歌と竪琴。それを駆使して愛する妻を連れ戻しに冥界に挑むオルフェオ。このオペラの中でもその歌を披露しなければならない。そのオルフェオの歌が本当に素晴らしく、惚れ惚れさせられる。

冥界に降りて、地獄の神々の前で妻を取り戻すために必死で歌う歌。ここで初めてオルフェオの類い稀な歌が披露されるのだが、これが耳を疑うような見事な歌なのだ。

モンテヴェルディがその作曲技法の全てを惜しみなく注ぎ込んでオルフェオのために用意した歌は、驚異的な歌となって、我々の前に立ち現れる。

極めて技巧的な、それでいて感動的な魂の歌。オルフェオの歌の素晴らしさはもちろんだが、それに絡む楽器の妙技がこれまた見事。声と楽器の絶妙な絡み合いがもう絶品で、言葉を失ってしまう。

長いアリア。歌いながらドンドン技巧を増していって、最後に究極の至難の歌が現れる。その歌を支える伴奏楽器がこれまた絶妙。歌と交互に現れる楽器が精妙極まりない音楽で地獄の神々の心を奪っていく。ヴァイオリンから始まってハープ、更にフルオーケストラと音色と響きをまるで万華鏡のように次々と変えていく。その音色と響きの多彩さが聴く者を異次元の別世界に誘い込んでしまう。

涙が止まらなくなってしまう

あまりにも辛く切ないオルフェオの物語。これに付けられたモンテヴェルディの音楽がこれまたあまりにも美しく、感動的なもので、僕は聴くたびにいつも涙が止まらなくなってしまう。

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目を見張る最高の舞台演出と演奏陣

今回、国内版として日本語字幕付きで再発売されたモンテヴェルディの「オルフェオ」の映像は、この世のものとも思われない素晴らしい演奏である。

惜しまれつつも6年前(2016年)に亡くなった鬼才指揮者のニコラウス・アーノンクールが、オペラの最高の演出家であるピエール・ポネルと組んで、全世界で絶賛された1977年のチューリヒ歌劇場での記録であった。

「チューリッヒ・モンテヴェルディ・チクルス」と呼ばれ、現存するモンテヴェルディの3つのオペラをスイスのチューリッヒ歌劇場で完璧なまでに再現したものだ。

これは世界中で大変な話題となり、モンテヴェルディが現代に見事に復活を果たしたことはもちろん、古楽界の鬼才として注目を浴びていたアーノンクールが、この上演の最高によって、華々しく第一線に躍り出た記念すべき上演でもあった。

使用する楽器はもちろん全てオリジナルの古楽器(ピリオド楽器)であり、その珍しい古楽器の数々を見ているだけでも心がときめいてしまう新鮮さに満ち溢れている。

実際に、これはもう言葉を失うほど素晴らしいもので、強烈に視覚に訴えかける尋常ならざる映像美だ。その零れ落ちんばかりの美しさには、溜息をつくしかないという類い稀な逸品。

たまに映し出される当時48歳になる脂の乗り切ったアーノンクールの指揮が実に颯爽としていて、強烈な印象となって記憶に残る。

同封の解説書とディスク本体の写真
こちらは同封の解説書。日本語で詳しい解説が載っていて非常に参考になる。ディスク本体はこんな感じ。

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これ以上の「オルフェオ」はないと断言できる最高の出来栄え

この未曾有の素晴らしい舞台がブルーレイになって復活しなかったことだけは、本当に残念だ。

77年の録画はDVDだとシャープさに欠けて、それほど美しく再現はされない。

だが、その類い稀な目を見張る舞台の素晴らしさと見事な演出は十分に堪能できる。ポネルの演出と舞台は様々な趣向を凝らし、この世のものとも思えない見事なものだ。

解説書からの写真
解説書から引用。このリアリズムに徹した演出は素晴らしい。

 

モンテヴェルディの類い稀な音楽と歌、見事な合唱。アーノンクールの驚嘆の古楽器演奏。そしてポネルの様々な趣向を凝らした目を見張る演出と信じられないほど美しい舞台。4拍子どころか、全てが揃ったこれ以上考えられない超一級の演奏だ。

我が家にある「オルフェオ」のブルーレイとDVDの写真
我が家にある「オルフェオ」のブルーレイとDVDの写真。これは一部。これ以外にCDは山のようにある。

 

僕の手元には現在、「オルフェオ」のブルーレイとDVDによる映像が10種類以上あるが、もちろん今回のアーノンクールとポネル盤がダントツの最高のものだ。

何をおいてもこのDVDだけは絶対に手元に置いて、繰り返し鑑賞してほしい。

 

☟ 興味を持たれた方は、是非ともこちらからご購入ください。

1,782円(税込)。送料無料。

この超名盤が何と1,782円!!CDでも2枚組となるので、ありえない金額。かつては7,000円近かった時もありました。
限定発売。どうかお見逃しなく!これが最初にして最後のチャンスです。


モンテヴェルディ:歌劇≪オルフェオ≫ [ フッテンロッハー アーノンクール チューリヒ歌劇場 ]
 

 

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