大好きな花:シャクヤク(芍薬)

昔から花はかなり好きな方で、特に木に咲く花が大好きだったのだが、このところ夢中になっているのは、あのシャクヤク、漢字で書くと芍薬だ。ボタン科ボタン属の草木類に属するあの有名な花である。

古来より「立てばシャクヤク、座ればボタン。歩く姿はユリの花」と称えられ、美人の容姿を例える表現として定着している美しい花の3種類。

それにしても立てばシャクヤク、座ればボタンとは、よく言ったものである。この例えには全く異存はなく、つくづくそうだなと感心してしまう。

シャクヤクとボタンの関係

シャクヤクとボタンは同じ仲間の花で、花そのものも実に良く似ている。どちらも実に大輪で、ゴージャスな美しい花。

このシャクヤクとボタンの関係は実におもしろい。

シャクヤクは「草」で、ボタンの方は「木」である。

変だと思いませんか?僕は不思議でたまらない。

「立てばシャクヤク、座ればボタン」というようにシャクヤクは背の高い花で、ボタンは背が低く、地面のあたりに見事な花を咲かせる。その背の高い方が草のシャクヤクで、背が低い方が木のボタンなのである。普通は逆なのではなかろうか。

それだけではない。木であるボタンの市販されている苗のほとんどが、「木の枝(ボタン)」と「草の根(シャクヤク)」との共存体で、シャクヤクの台木に接ぎ木されたものだという。「草」であるシャクヤクの根を台木にして、「木」であるボタンが成長していくという仕組みになっている。

つまり土台はシャクヤクの根。そのシャクヤクの根に接ぎ木されたボタンが、木として成長していく。シャクヤクは「草」なのに、「木」であるボタンを支えるということだ。何とも不思議な気がする。シャクヤクは草なのに、根は強靭ということなのだろうか

シャクヤクの熱烈な愛好者としては、何だか嬉しくなる。

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シャクヤクとの出会い:山梨県の増穂町

シャクヤクが抜群に美しい見事な花であることは知ってはいたが、実物のシャクヤクの花が咲いている姿を、実際に見たことはなかった。それを初めて見たのは、単身赴任として勤務していた山梨県の鰍沢という南アルプスの麓のような人口の少ない田舎町でのことだった。

現在は例の市町村合併で「富士川町」となっているが、そこの介護老人保健施設で副施設長として勤務していた僕は、たまたまデイ・ケア(現在は通所リハビリテーションという)の送迎で訪れた利用者のご自宅の庭先で見事に咲き盛っていた目を奪われんばかりの見事な花を見て、心を鷲掴みにされた。それがシャクヤクだったのだ。

そのお宅で見たシャクヤクの花がどのような花だったのか、色はどうだったのか、正確には思い出せない。もう20年以上も前のことである。

色や形の細かいことは忘れてしまったが、その花の圧倒的な美しさと豪華さに仰天して、世の中にこんな美しい花があるんだ、これがあの立てばシャクヤクのシャクヤクなのか!と感嘆させられたことは忘れることができない。

その際、シャクヤクに見とれてしまった僕のために、シャクヤクの生え際を掘ってくれて、根を少し分けてもらった。それを施設の庭に植え付けたのだが、結局、うまく根付いてくれなかった。

そんな経緯もあって、余計にシャクヤクに強い未練、いつか自分の庭に咲かせたい!という思いが、強く芽生えたのは確実だった。

単身赴任から解放、シャクヤク栽培を決意

その山梨県の南巨摩郡という相当な田舎を皮切りに、その後も全国あっちこっちで単身赴任生活は通算約10年間続いた。

その間はシャクヤクを栽培するなど、できるわけもない。還暦を迎えてようやく単身赴任生活に完全におさらばしてから、いよいよ自宅に戻り、もう二度と単身赴任はしまいと固く決心。こうして我が家に腰を下ろすことができた。

僕の家は東京都町田市の森野というところにあり、土地が50坪の一軒家である。その土地に40坪の建物が建っており、広めの駐車場と敷地内に物置を増設していることもあり、庭とはいってもまさしく猫の額、非常に狭いものだ。

その狭い庭の一隅のホンの半坪ほどの土地にシャクヤクを植え付けることにした。

シャクヤクの株は数年に渡って、少しずつ増やしていった。

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我が家でのシャクヤク栽培4年間の取り組み

シャクヤクの栽培といっても、その活動は年間ホンの数カ月に限定される。

シャクヤクは、大体2月の下旬に地表に芽を出して、3月にグングンと成長し、4月に入って花の蕾が一気に膨らみ始め、5月の初旬、まさにゴールデンウイーク前後に立派な花を咲かせる。

シャクヤクほど美しく、豪華な花を他に知らないが、残念なことに、花の日持ちは短い。あの何とも美しい豪華な花は、満開になってから長く咲き続けることはなく、満開になると同時にもう萎れ始めるのである。菊のようにとは言わないまでも、せめてバラ並みに花の日持ちが長ければと思うのだが、美しいものはすぐに萎れ始め、散り始めてしまう。5月の中旬にはもう花は散ってしまうのだ。

シャクヤクは多年草なので、ありがたいことに一度苗を植え付けると、地下で株が育って、毎年植え直す必要はなく、放っておいても同じところから芽が出てくる

2月の下旬に真っ赤な芽を地表に突き出してから、一挙に成長し始めて、あれよあれよのうちに立派な花を一気呵成に咲かせることになるのだが、散るのも早いので、シャクヤクの姿に接することができるのは、実質3カ月だけになる。地表に現れる小さな真っ赤な芽から数えて3カ月なので、あの豪華な花を楽しめるのは1週間から2週間程度しかない

土づくりと苗を植えるのは9月~10月

元々園芸などをしていなかったので、我が家の庭は土地が瘦せていて、シャクヤクを育てるのには向いていないことは一目瞭然だった。特に致命的だったのは土地が固く、水捌けが悪かったこと。

本やネットで調べると、「水捌けの良い肥沃な土壌」が必要とされている。

そこで、一念発起して庭を掘り返し、シャクヤクが育ちやすいように色々とやってみた。深く土地を掘り起こし、ホームセンターや園芸店に売っている水捌けのいい鹿沼石などを敷き詰め、そこに元肥を施し、栽培に適した土を元々の掘り起こした土と混ぜ合わせ、腐葉土を敷き詰めるなど、園芸の全くのド素人ながら、色々な本やネットの情報を元に見様見真似で土づくりを、とにかくやってみた

僕は元々凝り性なので、とにかくあの美しいシャクヤクを咲かせるためならと、必死でやってみた。今でも女房に「妻よりもシャクヤクの方をよっぽど大事にしている」と皮肉られるほど(笑)。

その土づくりと植え付けは9月から10月に行う。発芽のちょうど半年前となる。

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4年間で徐々に土地を広げながら株を増やす

現在、我が家には9つのシャクヤクの苗(株)があり、本日現在(2023.3.19)生育の早い遅いはあっても、その9つの株の全てから芽が出て、急ピッチで成長し続けている。

この9つの株は毎年少しずつ増えて、現在に至ったものなので、その経緯を簡単に書いておきたい。

1.2019年10~11月初(3年半前)

この年の秋に初めてシャクヤクの苗を購入し、狭いところを簡単に掘り返して植え付けた。ホームセンターで購入した「春の粧」と、ネットで取り寄せた高価な「ソルベット」。ホームセンターで購入するとシャクヤクの苗は1ポット、500円前後と非常に安いものだが、このソルベットは確か2,000円前後したと思う。

ところがこの高額の「ソルベット」、結局、翌年に全く芽を出さずに、地下で枯れてしまった模様。こちらの植え付けにも問題があったと思うが、その数週間前に購入した「春の粧」はちゃんと翌年の春に芽を出してくれたので納得がいかず、腹立たしく思っている。株式会社「国華園」という大阪の有名な業者からネットで取り寄せたものだったが。

2.2020年10月(2年半前)

コロナ禍の大変な年だったが、この年が我が家のシャクヤクにとって一大転機となった大作業を施した記念すべき年。前年に2つの苗を植えたが、高価な方は枯れてしまったので、何とかしなきゃと一念発起。コロナ禍もあって合唱活動もできない中で、ここに情熱を注ぎこんだ。

上記の土づくりはこの時のこと。

この大作業の様子は写真にもしっかり納めていたのだが、先日、ノートパソコンが壊れ、パソコン内に保存してあった全ての写真を失ってしまうアクシデントが発生。あの時の庭の掘り起こしと土づくり、苗の植え付けの様子を撮った全ての写真を失ってしまった。断腸の極み。残念でならない。

土地を開墾したことで、新たにシャクヤクの苗を6個も植え付けた。いずれもホームセンターの園芸コーナーで購入した500円程度の安いポット。これらは翌年には、いくつかちゃんと花を咲かせてくれた。

3.2021年10月(1年半前)

苗をこれ以上増やすつもりはなかったのだが、前年に植え付けた苗が、非常に狭い土地に7株も植わっていて、見るからに「密」で、株と株との間を広げる必要性を感じていた。

園芸の本にもネットにも株間は90cm以上取ってほしいと書いてある。90cm!?
そんな無茶な。無理難題を言わないでほしいと悲鳴!

元々が90cm四方位しか植え付ける土地がないのである。だったらこの開墾した土地に1株しか植えられない。飛んでもないことを!と思いながらも、何とかしなきゃと大いに悩んだ。

で、思い切って、シャクヤク用の土地を拡大する決心をし、また新たに土地を掘って、土づくりをする大作業を行い、園芸ど素人が二つの株をそちらに移すという荒業を敢行した。

併せて、玄関側(北側)のスペースにも、シャクヤクを植えたくなって、そちらも掘り起こし、土づくりをし、新たに2つの苗を植え付けた。最初の年に枯れてしまった高級品種のソルベットをコメリで見つけたせいもある。600円程だったと思う。

これで8株となった。翌年、つまり今からちょうど1年前の春に、移した株も含めてそれなりに咲いてくれて感動させられた。

4.2022年10月(半年前)

これ以上、苗を増やす余裕はなかったのだが、前に購入したホームセンターで、見たことのない美しい品種の苗(「サラベルナール」)を見つけたので、早速購入。

株間を90cm以上取るという原則を無視して、何とかスペースを見出して植え付けた。

こうして我が家には全部で9つのシャクヤクの株が植えられていることになった。

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我が家の9つのシャクヤクの品種

こうして足掛け4年程の間に少しづつシャクヤクの株を増やしていって、現在、我が家には9つの株がある。正確に言うと品種の種類は8種類。株は9つとなる。

その種類を公開する。

いずれも昨年(2022年春)に、実際に我が家で咲いたシャクヤクを、僕のiPhoneで撮影した写真である。したがって、いくつかの品種で写真がないものは、昨年咲いてくれなかったものということになる、念のため。

1.春の粧 ピンク

 記念すべき初めて購入し、植え付けた品種。これが一番早かったせいか、9種類の中でも一番元気で、花もたくさん付けてくれる。色合いも美しく、非常に気に入っている。

昨年咲いてくれたはやbはやがのが

昨年咲いたシャクヤク「春の粧」の写真①
これが昨年咲いてくれた花。初めての花としては素晴らしい咲きっぷり。美しい。
作品咲いたシャクヤク「春の粧」の写真②角度を変えて撮ったもの。
カメラの向きを変えて撮影。2つの花が隣同士で咲いている。本来は片方を摘んで、残した方をより大輪に咲かせるのが常道らしいが、僕は花の数を多くしたかった。
昨年咲いてくれたシャクヤク「春の粧」の全体像の写真。大きな花が6つ咲いている。
これが昨年咲いてくれた「春の粧」の全体写真。大きな花が6つも咲いてくれた。
「春の粧」を切り花にして花瓶に挿した写真
一つの花を切り花にして花瓶に挿した。このゴージャスないこと。どんなに見ても見飽きない。美しい!

2.滝の粧 

昨年咲いたシャクヤク「滝の粧」の写真①
昨年咲いてくれた「滝の粧」。ひときわ際立つ白の淵に控えめに赤い線が入っているのが素晴らしい。
作品咲いてくれたシャクヤク「滝の粧」の写真②
真上から撮影するとこうなる。細いピンチの縁取りが何とも魅力的だ。

3.ラテンドール 白

4.モーボクエン 赤

5.夕映 赤 

2株。玄関側(北側)にある2つのうちの1つがこれ。

昨年は南側ではあまり咲いてくれず、玄関側の株が美しい姿を見せてくれた。

 

 

6.麒麟丸 赤と白のツートン(紅白の絞り模様)

7.ソルベット オレンジとピンク

 玄関側(北側)に植えてある。

8.サラベルナール ピンク 

上記の、昨年の秋に植え付けたばかりのもの。

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今年の発芽から開花までの成長日記を全公開

最初に我が家の庭にシャクヤクを植え付けてから3年半、足掛け4年間が経過した。

非常に印象的な真っ赤な発芽から目を見張る見事な開花までを見守るのも、3回目を迎えることになる。

幸い今年も9つの全ての株から芽が現れた。今年はこの全てのシャクヤクの成長を、リアルタイムで写真をふんだんに取り混ぜて紹介していきたい。写真観察日記として継続的に配信していく。

どうぞお楽しみに!

早速、思わず声を出したくなるような厳寒期の印象的な発芽から始めたい。

 

☟ 興味を持たれた方は、こちらの1冊をお勧めします。

僕も持っている、シャクヤク栽培の教科書。
NHKの趣味の園芸のテキスト。2004年4月発行のかなり古い本だが、まだ現役で、シャクヤクとボタンの本で普通に入手できるのは、これしかない。

1,045円(税込)。送料無料。


ボタン、シャクヤク (NHK趣味の園芸ーよくわかる栽培12か月) [ 江川一栄 ]

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