橋下徹の2冊の新書は、素晴らしい本だ

元大阪府知事にして大阪市長でもあった橋下徹の2冊目の新書「交渉力」を一気に読み終えた。これは中々凄い本だ。一人でも多くの方に是非とも読んでいただきたいと切に願う素晴らしい1冊。

橋下徹はこの「交渉力」に先立って、第一弾として2019年に「実行力」という新書を出していて、僕はもちろんそれも既に読んでいる。その「実行力」に続く第2弾として出版されたのが、今回の「交渉力」というわけだ。出版社は橋下徹の「力」シリーズと銘打っているので、第3弾、第4弾があるのかもしれない。

2冊を並べてみる。橋下徹の精悍な表情がいい。

第一弾の「実行力」にノックアウト

2019年4月に出版された「実行力」は、たまたま書店で平積みになっているのを見かけ、橋下徹の支持者では決してなく、むしろアンチを自認していた僕が、なぜ躊躇うことなく購入し、夢中になってすぐに読了してしまったのか、不思議と言えば本当に不思議な話し。

僕は橋下徹はすごいな、と思いながらも厄介な政治家が出てきたものだ、なまじめちゃくちゃ実行力と行動力があるので、彼の政治信条を考えると、恐ろしいな。何をしでかすか分からないし、憲法改正だってやってのけそうだ、と内心ただならぬ不安と恐ろしさを感じていたと正直に言うしかない。

でも、そんな僕でもすごいと感じ、それが故に不安も感じた橋下徹の他のどんな政治家にもない類い稀な行動力、それがそのままタイトルになっている本を目の前にして、どうしても読んでみたい、あの途方もないエネルギーと実行力はどこからくるのか?本人はそれをどう説明し、読者に訴えているのか、興味津々だったのだろう。

で、実際に読んでみる。おもしろい。これが実におもしろいのである。

アンチ橋下徹の僕でも夢中になってしまうおもしろさと説得力

読んだ時の衝撃と感銘の深さは今でも忘れることができない。 

そのあまりのおもしろさと、橋下徹が8年間の政治家生活で成し遂げた、つまり実行したことをあらためて本人の口から聞かされて、僕は圧倒され、政治信条と思想は別としても、橋下徹というとんでもない人物にすっかり魅了されてしまった。

政治信条と目指す世界観はまるで違うのだが

政治信条、思想的には全く相容れない存在だと思っていた橋下徹の本からこんなにも感銘を受けてしまった僕は、今でも橋下徹とは思想信条、政治的な立ち位置は大きく隔たっているが、橋下徹の正に他の誰にもない圧倒的な実行力と潔さには、心からリスペクトしているし、この2冊の本に書かれている内容にも偏見や先入観なしで、本当に素晴らしい本だと思っている。

「実行力」の中身については、あらためて別の記事として近日中に紹介させてもらうとして、今回は、読み終えたばかりの「交渉力」だ。

すっかり橋下徹の隠れファンになってしまった僕が、第二弾として出た「交渉力」に飛びつかない筈はない。待ってましたとばかりに直ぐに購入し、今回もやっぱり一気に読んでしまったという次第。

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「交渉力」も「実行力」に勝るとも劣らないおもしろさ

今回も実におもしろかった。非常に勉強になり、素晴らしいアドバイスと力を授かったと満足している。そしてあらためて橋下徹という人物に大いに感服させられた。

ここから実に多くのことを学ぶことができると太鼓判を押したい。

帯の言葉に惹かれてしまう。前代未聞の財政改革と国とのケンカ交渉などの数々の修羅場の交渉の現場紹介は、実にスリリングでおもしろいこと、この上ない。

本文中でも一部紹介した目次の概要が掲載されている。食指が動かないわけにはいかない。

「交渉力」の魅力はここだ

この本の魅力の核心は、ズバリ交渉力というスキルを高めるための具体的なノウハウと交渉の仕方のポイントが、非常に具体的かつ明確に書かれていることだ。

理論的なことが縷々書いてあるのではなく、ズバリ効果のある交渉の仕方、そのための準備をどのようにし、実際の交渉の場ではどうするのか?

それを自身の数多い修羅場の交渉の実際を紹介しながら示していく。これは即戦力になり得る数少ない本と言えるだろう。

ちなみにこの新書のサブタイトルはこうだ。「結果が変わる伝え方・考え方」。更に本の帯には「人を動かす、人に強くなる全極意」。230ページ弱の薄い本だが、内容は相当に濃く、深い。


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橋下徹が主張する実践的な交渉力を目次から読み解く

少し目次から引用してみよう。

第1章「最強の交渉術」とは
     -交渉に勝つための原則を知る

第2章 交渉は始まる前に9割決まる
  -修羅場から体得した「橋下流交渉術」の極意

第3章 要素に分解すれば、交渉は成功する
  -交渉の成否を握る分岐点

第4章 前代未聞の交渉を成立させた秘訣
  -目標を成し遂げるために、いつ何をすべきか

ざっとこんな感じである。この目次のタイトルを読んだだけで、その内容と狙いとするところが伝わってくる。読んでみたい期待感にワクワクするのではないだろうか?

仮想の利益とは何か?どうするのか?

中でも特筆すべき考え方は、「仮想の利益」という発想だ。これはあまり聞いたことがないかもしれないが、決して奇抜な新しいテクニックというわけではない。言われてみればなるほどなあ、と誰でも納得できるし、実際に日頃からそうやって意識せずに交渉の場で使っているとも言えるものだ。ところが、それを橋下徹の明快な言葉で解説され、説得されると本当に納得できるのである。

橋下徹のいう仮想の利益とはこういうものだ。本文から少し引用させてもらう。

相手と交渉するに当たって、「相手にこちら側が一つでも多く譲ったように見せる」ことがポイントとなり、その切り札が「仮想の利益」だと主張している。

『交渉をうまくまとめる秘訣は、「自分が絶対に譲れないものを確保するためには、その他においては大きな譲歩をすること」である。こちらが大きな譲歩をすればするほど、相手の譲歩を引き出しやすくなり、こちらが絶対に譲れないものを得る可能性が高くなる。何かを得ようと思えば、何かを譲らざるを得ず、譲るものが大きくなるほど、得る可能性が高くなる』

これは容易に理解できるだろう。問題はここからなのである。ここからが橋下徹のいう「仮想の利益」。こういうことを主張している。『大きな譲歩をしたように「見せる」具体的手法』だと。

『こちらが大きな譲歩をするということは、こちらにとってそれだけマイナスになるということである。そこで、交渉の極意は、こちらがマイナスにはならないかたちで、大きな譲歩をしたと相手に「見せる」ことである。
 こちらが譲歩した「数」以上に、譲歩したように見せる。こちらが譲歩した「内容」以上に、譲歩したように見せる。これが「仮想の利益」を与えるという交渉の極意である』

ということだ。少し騙しのテクニックとも言えそうだが、実に説得力がある。そして様々な「仮想の利益」の具体例を挙げているのだが、詳しくは本書を実際に読んでもらうしかない。

要素の分解とは何か?どうするのか?

橋下徹の交渉力のもう一つの柱は、「要素の分解」という手法だ。これは「お互いの一致点を広げ、不一致点を狭めていくテクニック。あるテーマで交渉する際に、「抽象的な概念を、具体的レベルに落とし込んで議論する」というもの。対立しているテーマに関し、「パーツごとに、絶対に譲れないものと、譲れるものを整理していく。そこに優先順位をを付けていく」

至極当然のことを言っているだけなのだが、橋下徹自身の修羅場の体験によって裏付けられた説得力は半端ない。

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実際の修羅場の体験談が説得力を否が応にも高める

大阪府知事と大阪市長としての8年間の政治家生活の中で橋下徹が実際に経験してきた修羅場の連続とでも呼ぶべき前代未聞の交渉の数々。そのどれもが、実に興味尽きないものばかりで、あまりにも生々しく、読んでいて思わずハラハラドキドキしてしまう程だ。

その数々の修羅場の交渉を成立させてきた橋下徹の説得力は強烈だ。決して感情的になったり、自らの交渉の手柄話を披歴するような展開ではなく、どこまでも冷静かつ具体的な説明に徹しているのは、お見事としか言いようがない。

僕が特に、橋下徹の冷徹な分析家としての側面も感じたのは、労働組合との交渉が決裂したという体験の紹介だ。
橋下徹はあの時、組合側が、例えばこのように僕に対して交渉してくれば、事態は打開できた可能性があると、組合側の交渉のやり方はどこがまずかったかを冷静に、具体的に振り返っている。
それをそうはしないで、自分たちの利益だけを主張し続けたので、交渉に失敗したと相手を冷静に分析するあたり、思わず唸ってしまう。全くそのとおりだなと納得させられる。

最後はトランプや金正恩の見事な交渉力に言及

僕はトランプ前大統領は全く受け入れることができない人間だが、橋下徹は一見メチャクチャに見えるトランプと金正恩が実は見事な交渉力の持ち主だと評価する。

「トランプ大統領や金正恩委員長の国家指導者・政治家としての評価はひとまず横において、彼らを毛嫌いするのではなく、彼らの交渉術という点に焦点をあてて、その態度振る舞いに着目し、学ぶべきところは大いに学んでいただきたい」と書いている。

確かにそうかもしれない。否定しているだけではダメだ。トランプと金正恩が交渉術として見事に立ち回って、自らの利益を高めた点は一概に否定はできない。僕が頭から否定してしまう指導者にもそれなりの資質を備えているという多角的なものの見方を学ぶためにも本書は役に立ちそうだ。


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是非とも一読をお勧めしたい

いずれにしても、実に実戦的な素晴らしい本。偏見と先入観なく、是非とも素直に耳を傾けてほしい。
ここに書かれたことを心掛け、実践すれば、交渉力が格段にアップすることは間違いないだろう。

橋下徹が本書の「まえがき」の最後に記した言葉を掲載させてもらう。
「本書は、僕が弁護士時代、大阪府知事・大阪市長・「維新の会」代表時代に身につけてきた交渉力の要諦をまとめたものだ。ビジネスはもちろん、日常の様々な場面で読者のみなさんの助けになれば幸いである。」

正にこの一言に尽きる魅力満載の一冊。お勧めしたい。

 


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