目 次
ドビュッシーの魅力が凝縮した1枚
ドビュッシーに夢中の僕が特に強くお勧めしたい究極のCDを紹介させてもらう。
「ビリティスの歌」と題されたこの1枚は本当に魅力的なもので、僕の最もお気に入りの特別に愛着を感じているCDの1枚である。
このCDの魅力を一人でも多くの音楽ファンに知ってもらおうと、何人にプレゼントしたか思い出せない程。本当に非の打ちどころのない最高のCDである。
ドビュッシーの知る人ぞ知る隠れた名作に、ラヴェルの最も美しい音楽まで併せて収録されているのが素晴らしい。


クラシックを聴いて幸せな気分に浸りたいならこれ
クラシック音楽を聴いて幸せな気分に浸りたいと思ったら、ドビュッシーとラヴェルの癒しの響きに満ちた美しい限りの音楽を詰め合わせたこのCD以上のものを、僕は知らない。
心に安らぎと癒しを与えてくれるハープとフルートという2つの楽器を中心に据えたドビュッシーとラヴェルの名作を集めた夢のようなCD。この世のものとも思えない優しさと美しさを極めた音楽が凝縮されている。
収録時間も何と79分に迫る。
よくぞこんな素晴らしいいCDを作ってくれたものだと驚嘆するしかない。

収録曲の一覧
収録曲の内容はこうだ。先にラヴェルの3曲、続いてドビュッシーの3曲となる。ドビュッシーとラヴェルというフランス印象派の2大巨匠の年齢差は、ドビュッシーが約一回り、13歳年長となる。
したがってこの二人の作品をコンピレーションする場合、ドビュッシーを先にするのが一般的だが、このCDでは敢えてドビュッシーを後半に置いている。あくまでもドビュッシーの作品がメイン、タイトルもドビュッシーが作曲した「ビリティスの歌」とされている所以である。
【ラヴェル】
序奏とアレグロ 約11分
亡き王女のためのパヴァーヌ 約5分半
ヴァイオリンとチェロのためのソナタ 約21分
【ドビュッシー】
シランクス〔パンの笛〕 約3分
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ 約18分
ビリティスの歌 朗読のための付随音楽 約20分
中々壮観なラインナップだ。いずれも名作ばかりでありながら、あまり一般的には知られていない隠れた名作が含まれているのが素晴らしい。


収録されたラヴェルの作品について
このラヴェルの3曲も心憎いチョイスである。このCDの基本的スタンスは、フルートとハープを使ったドビュッシーとラヴェルの名作のコンピレーションである。
「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」という知る人ぞ知るラヴェルの隠れた名作が収められている点が、このCDの格調を更に高めているのだが、他の2曲はフルート、あるいはハープが前面に出る。

「序奏とアレグロ」について
これはラヴェルによるハープのために作曲された名品だ。ラヴェル31歳の作品。ハープとフルート、クラリネットと弦楽四重奏のための七重奏曲となっている。
ラヴェルの作品の2年前にドビュッシーが「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」というハープ独奏と弦楽合奏のための名曲が作曲された。こちらはハープ製造会社のプレイエル社が新しく開発した半音階ハープのために作曲されたもので、対抗会社のエラール社は従来までのハープの優位性を立証させるためにラヴェルに白羽の矢を立てて、ドビュッシーを凌駕する作品を作らせようと作曲を依頼したというおかしな経緯がある。
出来上がった作品はどちらも甲乙つけがたい名曲となっており、僕としてはこんな楽器製造会社のライバル心から誕生した紆余曲折がありながらも、印象派の2大巨匠がハープのための名曲を残してくれたことに感謝したい。
ちなみにプレイエル社の半音階ハープは廃れ、今日ではその後も改良を加えたエラール社のハープが用いられている。もちろんドビュッシーに責任はないと言っておきたい(笑)。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」について
ラヴェルが作曲した最も美しい音楽として非常に有名で、人気も絶大の「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
元々はピアノ独奏曲であったが、多くのラヴェルのピアノ独奏曲が、ラヴェル自身の手によって後にオーケストラ曲に編曲されたことは良く知られているが、この「亡き王女のためのパヴァーヌ」もそんな1曲であり、ピアノ独奏曲もオーケストラ編曲版のどちらも非常に親しまれている。
ここではいずれとも異なる、フルートとハープのために編曲された版が用いられている。クリント・マガニーニによる原曲に極めて忠実な編曲であり、この曲の類い稀な美しさがフルートとハープにより一層際立っている感がある。
殊の外美しい冒頭のメロディがしみじみとした柔らかなフルートによって奏でられ、そこにハープが優しく寄り添ってくると、もう夢の中の世界に引きずり込まれてしまう。

「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」について
これはあまり聴く機会に恵まれない珍しい曲だが、まごうことなきラヴェルの傑作だ。
4つの楽章からなる約20分の力作だが、先ずは第1楽章が先に作曲され、ドビュッシーの追悼のために作曲された。その後、2年がかりで新たに3つの楽章が加えられ完成。「クロード・ドビュッシーの思い出に」という献辞を添えて出版された。
この曲の特異点は、ヴァイオリンとチェロという2台の弦楽器だけによる編成であること。数多の名作に事欠かない「ヴァイオリンソナタ」も、「チェロソナタ」も、ピアノの伴奏を伴うのが常識だ。
例のドビュッシーの最後の作品となった「3つのソナタ」でも、わざわざ「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」「チェロとピアノのためのソナタ」と銘打たれている。逆にいうとドビュッシーのように敢えて「ピアノ」の表記がなくても、普通はヴァイオリン、あるいはチェロソナタにはピアノが伴うのである。
そうではない場合には、「無伴奏ヴァイオリンソナタ」、「無伴奏チェロソナタ」と銘打たれる。
このラヴェルのソナタにはピアノを伴わないヴァイオリンとチェロだけによる非常に珍しい作品。
例のドビュッシーの最後の作品となった「3つのソナタ」はドビュッシーが様々な楽器のためにソナタを計画し、半分を作曲した段階で亡くなってしまったのだが、ラヴェルはその遺志を引き継いでヴァイオリンとチェロだけによるソナタに挑戦したのかもしれない。
時代の最先端をいく斬新な作品で、無調や多調の独特な響きに満ちており、ユーモアと野性味も前面に打ち出したかなり挑戦的な曲となっている。一方で神秘的な孤高の美しさにも事欠かない。
一見とっつきにくいが、聴くほどにラヴェルの魅力に心を奪われていく。
【後編:ドビュッシー】に続く
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