【第9章】からの続きです。

某自治体病院ではなされていなくて、民間から事務長職として赴任した私が新たに導入した取り組みの紹介と解説の第10弾です。

今回も2つのテーマを取り上げていますが、根っこは同じ問題です。効率性と生産性が低いという困った問題です。

IT化の著しい遅れ

IT化も著しく遅れていました。入職直後にこれにも驚かされました。時代に取り残されたガラパゴスのようで、まるで昭和だったのです。

ガラパゴスの実態に唖然

勤怠管理は、全て手作業。アナログの極致でした。

残業や有給休暇の申請も全て紙で、上司に一人ずつハンコをもらっていました。

毎月の給与明細も、担当課が紙で全て印刷。それを所属長に束にして渡し、その所属長が一人ひとりに給与明細書を手渡すという徹底したアナログぶりだったのです。

こんなあり得ない対応が要因となって、単純でつまらないルーチンワークに頗る時間がかかっていました。効率性と生産性の低さは歴然。あまりにも低過ぎました。

思い切ったIT化、他の病院ではとっくにできているIT化を入職直後から担当部署に強く迫り続けました。

私が過去に勤務していた病院では、既に10年以上も前から、勤怠管理は完全に自動化されていました。給与明細はメールで送られてきていました。福岡県の地方都市の病院のことです。直近の都内の小さな病院でもそうでした。

とにかく何をやっても遅く、スピード感がないのです。しかも費用もかかるため、入職直後から厳しく求め続けたにも拘わらず、勤怠管理のIT化が実現したのは、私の退職直前ほぼ4年かかったのです。

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会議等のペーパーレス化の推進

IT化の遅れは深刻でした。

病院内の各所で開催され会議や各種委員会、症例検討や、更にカンファレンス等においても紙がまかり通ってました。

思い切ったペーパーレス化をできるところから少しずつ始めましたが、根付いてしまっている文化は一朝一夕には改善できず、非常に手強かったというのが実感です。

これも実は、他の病院の実態を知らず、知ろうとも思わない井の中の蛙ならではの、某自治体病院の最大の弱点の象徴でした。

教訓と改善策【IT化の積極的推進】

迷うことなく早急にIT化、AI化を進める必要がある

1.病院内のIT化は迷わずガンガン進めるべきだ。勤怠管理や給与明細を紙で対応している病院はもうないと思うが、万が一そうなら、最優先でIT化を実現させたい。

2.医療は最新の科学技術を駆使して患者の命を救っているのに、目の前では昭和そのもののアナログ作業。恥ずかしい。早急なIT化、AI化が必須。

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効率性と生産性が低過ぎる業務遂行

上記「IT化」の大変な遅れが大きな要因ともなって、某自治体病院で働く職員の効率性と生産性の低さが顕著となっていました。

特に日々のルーチンワークと呼ぶべき事務仕事の効率性が信じられないほど悪かったのです。

ここでいう事務仕事というのは事務職が受け持つ仕事を指すだけではなく、医師も含めて病院で働く全医療職も担う「事務的な仕事」を指していることに注意していただく必要があります。

例えば、例の職員の勤怠管理の全てが含まれています。勤怠管理はそれを事務的に取りまとめる総務課や人事課だけではなく、医師も含めてあらゆる部署で関わってくることであることは言うまでもありません。

日々の超勤の管理、有給休暇の管理、看護職を代表する交替勤務の管理など全て入ってくるわけです。

それを某自治体病院では、IT化が極めて遅れていたために、病院内のどの部署においても全て紙をベースにアナログの手作業で対応したのです。

現場の所属長(医療職)に大きな負荷

大勢の部下を抱える看護師長や薬局長や各技師長たちコメディカルの責任者もこの作業に追われていました。

しかも内容的には非常に良く似た少しだけ異なるような書類が山のようにあり、現場の医療職の所属長は手を変え品を変え、様々な似たような書類を何種類も用意しなければならなかったのです。

その上、提出書類にちょっとでも差異や疑義があると、厳しく指摘され、場合によっては作り直して再提出しなければならないことも珍しくなかったのでした。

これは酷い、何とかしなければならない。医療職がそんな些末な書類作成に追われていて、本来の医療業務、看護業務に専念できないとは大問題だと痛感させられました。

膨大な残業と超勤手当にも無頓着

取りまとめる事務方も大変で、残業時間が膨大なものとなり、それに伴って超過勤務手当が毎月、相当な額に上っていたことも大問題でした。

医療の現場で不可欠なものであればやむを得ないのですが、私が問題としたのは、IT化の遅れと事務職の仕事の進め方に抜本的な問題点が潜んでいるに違いないことでした。

何とかしてこの「負のスパイラル」を断ち切って、効率性と生産性を抜本的に高める必要があると痛感させられ、そこで取り入れたのが、「無減代」という発想だったのです。

この「無減代」については次回第11章で取り上げることにします。

教訓と改善策【効率性と生産性の低さ】

効率性と生産性の低さは病院にとって致命的

1.膨大な時間をかけながらも効率性と生産性が低い業務、事務仕事の見直しは急務となる。

2.特に医療職が効率性と生産性の低い事務作業に追われることは病院にとって致命的で、早急に対策を講じなければならない。抜本的な意識改革と働き方改革が必要だ。

3.効率性と生産性が上がらない原因がどこにあるのか?向上させるにはどうしたらいいのか?原因と対策をトコトン考える必要がある。

4.「無減代」が登場するのもこの問題と直結している。

 

【第11章】に続きます。

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