遂にドビュッシー・ラヴェル・フォーレ

弦楽四重奏曲の名作を今まで色々と紹介してきたが、今回はいよいよドビュッシーとラヴェル、そしてフォーレの登場となる。

満を持しての登場というか、この3人の天才によるそれぞれ唯一となる弦楽四重奏曲は、僕は若い頃からずっと親しんできた非常に身近な作品なのである。

それなのに、その紹介がかなり遅くなってしまった。

3曲とも非常に大切な曲だけに、今まで温存してきたというのが1点、そして僕にとって特別な存在であるドビュッシーの音楽の紹介が中々気楽にできなかったという点がもう1点だ。

生誕順にフォーレドビュッシー、そしてラヴェルは、いうまでもなくフランスの近現代音楽の大音楽家で、大隆盛を誇るドイツ音楽の向こうを張るフランス音楽のかけがえのない天才たちである。

僕はこの3人のフランス人作曲家が大好きなのである。

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3人の弦楽四重奏曲を1枚に収録したCD

しかもこの3人の弦楽四重奏曲を1枚のCDに収めた夢のようなCDがある。普通はドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲は1枚のCDに収まっている。ほぼ全てのCDが、ドビュッシーとラヴェルを1枚のCDに収めている。

今回紹介するCDは、そこにフォーレまで収めらているのだから信じ難い。収録時間は優に80分を超える優れものだ。凄いCD。

しかも本場フランスの新進気鋭の名カルテットによる演奏。この演奏がまた絶品で、非の打ちどころがない夢のCDだ。

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僕にとってのドビュッシー

ドビュッシー。クロード=アシル・ドビュッシーは僕にとって最も大切な特別な作曲家である。その音楽を熱愛している。バッハと並んで僕が最も愛してやまない作曲家だ。

ドビュッシーの有名な写真
ドビュッシーの有名な写真

 

今まで、このブログで、クラシック音楽の紹介記事を94本も配信してきたが、その中にはドビュッシーの作品は1本もない。

僕が特別に熱愛している作曲家を、最後まで大切に温存してきたのだが・・・。

古今東西の長い音楽史を通じて好きな作曲家はそれこそ何人もいる。ざっと数えても、20~30人はくだらないだろう。その中でも特に好きな作曲家を5人に絞り込むと、時代の古い順にモンテヴェルディ、テレマン、バッハ、ドビュッシー、ヤナーチェクとなる。

ラモーもモーツァルトもシューベルトも抜けちゃっている(涙)。シューマンとスメタナ、そしてフォーレはどうするんだ!?日本人の三善晃と間宮芳生だって抜けちゃってるぞ(苦笑)。

まあ、こんなことは全く意味のない戯言だが、僕が大好きな作曲家の中でも、バッハとドビュッシー、この2人は全く別格だ。

単に僕が熱愛しているということだけではなく、古今の数多いる音楽の天才を中でも、バッハとドビュッシーは特別な天才で、この人に太刀打ちできる天才はいないというのが僕の信念である。

これもまたドビュッシーの有名な写真
これもまたドビュッシーの有名な写真

 

双璧のバッハとドビュッシーのうち、バッハはそれなりに取り上げてきたが、ドビュッシーの音楽を今まで1作品も紹介してこなかったことはどう考えてもバランスを失している。

一度書き始めた以上、これから先はドビュッシーの作品をドンドン取り上げていきたいと決意も新たにした。

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僕にとってのフォーレとラヴェル

フォーレの音楽も昔から熱愛してきた。何と言ってもあの「レクイエム」がある以上、この作曲家は僕にとって特別であり続ける。

他にいくつかの合唱曲と室内楽がもう絶筆に尽くし難い名作揃いで、素晴らしい。

フォーレの有名な肖像画。カラーなのが嬉しい。
フォーレの有名な肖像画。カラーなのが嬉しい。

 

ドビュッシーより17歳も年上であるが、ドビュッシーの死後、6年も存命で、その最晩年に素晴らしい傑作を作り続けた。フォーレの生涯の中に、ドビュッシーの生涯がそっくり内包されてしまう。

フォーレにはドビュッシーのような時代を突き抜けた斬新性や革新性は皆無だが、本当に味わい深い美しい音楽を作ってくれたかけがえのない作曲家だ。

ラヴェルについて

ラヴェルの音楽ももちろん大好きだが、ドビュッシーとフォーレに比べると、僕の中での興味は少し低くなることは否めない。

ラヴェルはドビュッシーより13歳若いが、やっぱりドビュッシーと非常に良く似た作品を書いた。この2人はいわゆる「印象派音楽」の双璧とされ、何かと比較される割には、実は作風はかなり異なっている。

ラヴェルの非常に有名な肖像画。写真から絵に転用したか。
ラヴェルの非常に有名な肖像画。写真から絵に転用したか。

 

とはいっても、同じフランス人で、どちらもドイツの向こうを張って、フランス独自の音楽の在り方を模索し続けただけに、どうしても似たような作風になってくる。

ドビュッシーの音楽を愛してやまない僕としては、どうしてもラヴェルの音楽も聴き込むことになる。

特に今回取り上げる弦楽四重奏曲は、ドビュッシーとラヴェルの2作品は、ほとんど双子といってもいくらいに良く似た作品で、甲乙付け難い魅力を放っている。

ドビュッシーを語るに当たって、ラヴェルは決して抜かすわけにはいかない。

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フォーレ・ドビュッシー・ラヴェルの概要

このフランス近現代音楽の3人の天才の基本情報を先ず確認しておこう。

フォーレ・ドビュッシー・ラヴェルの基本情報

◎ガブリエル・フォーレ【1845年生~1924年没】享年79歳

◎クロード・ドビュッシー【1862年生~1918年没】享年55歳

◎モーリス・ラヴェル【1875年生~1937年没】享年62歳

フォーレがほぼ80歳という長寿を全うしたわけだが、ラヴェルも60歳以上、3人の中では一番早逝したドビュッシーも55歳だったので、ドイツの大作曲家、例えば、モーツァルトやシューベルト、シューマン、メンデルスゾーンたちに比べれば、いずれも寿命には恵まれたと言っていいかもしれない。

但し、ラヴェルは交通事故のせいだったのか、晩年には狂気を発症して、徐々に作曲できなくなっていった。最後の作品を完成させたのは1933年、58歳のときである。

ドビュッシーとフォーレは、死の間際まで作曲し続けている。フォーレの79歳での作曲というのが凄い。実はこれが他ならぬ「弦楽四重奏曲」なのである。

なお、フォーレについては、「フォーレ」といういかにも美しい素敵な名前が定着しているが、本来は「フォレ」で、しかもレの部分に軽くアクセントが付くのが正しい発音となる、念のため。

この3人のフランスの天才作曲家たちに弦楽四重奏曲は、それぞれ1曲ずつしかない。これは少し意外で、残念な気もするが、この唯一の弦楽四重奏曲が、弦楽四重奏曲の長い歴史に残る大傑作となっているのが嬉しい。

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3人の弦楽四重奏曲の概要

フランスの3人の天才による唯一の弦楽四重奏曲の作曲された年を列挙してみる。おもしろいことが分かってくる。

作曲された順番に並べてみよう。

ドビュッシー・ラヴェル・フォーレの弦楽四重奏曲の作曲年と年齢

◎ドビュッシー 1893年 作品  10 31歳

◎ラヴェル   1903年 作品  35 27歳

◎フォーレ   1924年 作品121 79歳

これを見ると色々なことが見えて来る。生年順ではフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルの順だが、弦楽四重奏曲の作曲年代では、一番年長のフォーレの作品が一番最後に作曲されていることに注目してほしい。

ドビュッシーの10年後にラヴェル。その約20年後にフォーレとなっている。

それは、ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲がいずれも二人の極めて初期の作品で、この弦楽四重奏曲の作曲によって、自らの作曲家としての成功を導いたエポックメーキング的な記念すべき若き日の作品であるのに対して、フォーレの弦楽四重奏曲は文字通り、フォーレの最後の作品なのである。

年下の天才が若き日に作曲した成功作2曲に対して、年長のフォーレが79歳という驚くべき高齢で作曲した最後の作品。

このドラマチックな対照には、興味が尽きなくなる。

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ドビュッシー「弦楽四重奏曲」作品10 ト短調 

音楽史上の類い稀な天才ドビュッシーの若き日の傑作として知られている名作。ドビュッシーは当時の音楽界を完全に席巻していたヴァーグナーのいかにもドイツ色濃厚な咆哮する音楽を、そっとささやいて一変させてしまった天才だ。

その天才ドビュッシーが、自身もヴァーグナーに染まっていた作風から抜け出して、全く新しい音楽を樹立した作品として有名なのが、「牧神の午後への前奏曲」と今回紹介する「弦楽四重奏曲」とされている。

ドビュッシーが31歳で作曲した弦楽四重奏曲は、ドビュッシーの全作品の中でも唯一作品番号が付けられた作品としても知られているが、自身にとっても自信作だったのだろう。

作品の基本情報

イザイ弦楽四重奏団に献呈され、彼らによってパリの国民音楽協会にて初演された。初演時の評価は賛否両論、聴衆からはほとんど理解されなかったといわれている。

但し、ドビュッシーの友人で作曲家のポール・デュカはこの曲の本質を見抜き、絶賛した。

4つの楽章から構成され、演奏時間は25~30分程度。

ドビュッシーの弦楽四重奏曲の一般的評価

今日では、ドビュッシーの作風を確立させた全く新しい音楽として知られているが、以下の評論がこの曲の本質を最も的確に突いているのではないだろうか。

「(前略)旋律も和声も完全にドビュッシーその人のユニークな感受性で満たされていて、つまり誰もが決して弦楽四重奏曲で意図もせず実現もしなかったものが出現したのである。弦楽四重奏曲という曲種は、これまで多かれ少なかれベートーヴェンの傘下に置かれることを余儀なくされていたのだったが、それの引力圏外にここで初めて飛び出したのだ。(後略)」(大木正興「室内楽名曲名盤100」(音楽之友社ON BOOKS)

 

(【後編】に続く)

 

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ドビュッシー、フォーレ&ラヴェル:弦楽四重奏曲集 [ エベーヌ四重奏団 ]

 

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