ブロック注射は左右別々に2回に分けて実施された

ブロック注射というものが実際にどのように行われるものなのか全く知らなかった。例の痛み止めとして処方されていた薬のうちで、血管を拡張させる効果を担っていた「リマプロストアルファデクス錠」は、血液をサラサラにする効果もあるようで、こちらは前日からの服用は禁止されたが、他には特別な注意事項もなく、当日を迎えた。

先ずは重症度が高かった右足から打ってもらうことになっていた。11月29日月曜日のことだった。突然の救急車搬送と入院からほぼ2週間後のことである。

予約時間に行かなければならない場所が中央放射線科の受付だったのだが、どうして放射線科なのか皆目見当がつかない。

M先生が待っていてくれて直ぐに準備に入る。どうして放射線科なのか直ぐに分かった。ブロック注射をするに当たって、どこに注射をすればいいのか、放射線で透視をしながら場所の特定をするからなのである。

考えてみれば当然のことであった。ブロック注射には大きく2種類の方法があるようだが、僕が受けた注射は「神経根ブロック」という脊髄から枝分かれした神経根に直接もしくは神経周囲に薬剤を注射するというものだった。

その神経根を放射線の透視を見ながら探していくのである。

神経根ブロック注射の実際

先ずは最初に消毒を念入りにしてから、局所麻酔をされ、その後、注射針で狙いの神経を目指して針を刺していくことになる。先生からは「神経に当たると直ぐに反応して分かるから、そうなったら伝えてほしい」と言われる。そして針を刺していくわけだ。局所麻酔は打たれていてもやはり針を刺されるのは痛いし、結構辛い。そして「すぐに分かるから」と言われても、それがどのようなものなのか皆目見当がつかず、かなりの緊張を強いられることになった。

刺されると何か反応したような気になってくる。「うん、先生。何か来たような気がしますが・・・」と言うが、どうも良く分からない。違うみたいだ。少し身体の角度を入れ替えて、再度刺し続けると、突然、身体中に電流が流れるような感じで正にそれというのが明白に分かる。「ああ、先生、来ました!来ました!」と声を上げてしまう。

これは中々恐ろしいものであった。神経に当たると明らかにハッキリと分かる。電流が流れるような強烈な反応があるのだ。その強烈な反応が出るまで、針を刺していくわけで、これはかなりの恐怖体験だった。その神経とドッキングすると、今度はそこに薬液を注入することになる。ステロイドのようなものらしい。

薬剤の液体が身体に注入されるのが良く伝わってくる。その瞬間は神経を刺激されて、痛いような快感のようなちょっと特殊な体験だ。注入が終わると終了。「はい、お疲れ様でした」ということになる。

その後で、車椅子で30分間の安静を求められるが、これで終了となる。

効果があったのかどうかは僕の場合は、直ぐには良く分からなかった。

ブロック注射のイメージ写真
イメージ写真である、念のため。

翌日から明らかに効果が出てきた

元々、ブロック注射が脊柱管狭窄症にどれだけの効果があるのかは、ハッキリしていなかった。M先生からも色々と聞いていた。

➀このブロック注射がきっかけとなって症状が一挙に改善することもある

②ほんの数時間効果が出るが、直ぐに元に戻ってしまうことも多い

③ブロック注射を打っても全く効果が出ないこともある

④場合によっては神経を痛めて、痺れが残るようなこともある

このようなことは色々な本にも、ネットにも記載されていた。

僕は、ブロック注射を打ってもらう11月下旬の段階で、痛みの発作が起きてからちょうど2カ月が経過していたわけだが、病状的には膠着状態に陥っていたので、何の効果が出なくてもそれまでのこと、うまくいって今よりも少しでも改善されれば儲けもんだ、くらいの軽い気持ち、そうは言っても内心は藁をもつかむ気持ちで注射に臨んだわけである。

なまじ効果を期待して、それが満たされないとその方がダメージが大きいので、努めて期待しないようにしていた。

ところが・・・。

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ブロック注射の効果はテキメンだった

翌日になってブロック注射の効果がテキメンに現れてきた。これには本当に驚かされた。

先ずは痛みが急速に弱まってきた。元々症状の重たかった右足からほとんど痛みが引いてしまったのである。特に排尿直後のいつも決まって襲われる激痛がすっかりと治まったのには驚かされた。

そして足の指先に少し力が入れられるようになってきたのである。少し踏ん張れるようになってきたのだ。

ブロック注射は打った直後には効果が出るが、直ぐに効果は消えてしまうというのが多くのケースであり、僕の場合はむしろ、注射を打ってもらった後、少しずつではありながら、確実に改善していることが明らかで、これは想定外の喜びであった。

M先生にも電話でその状況をお伝えして、喜んでもらった。

油断して、道路で転倒したのは大失敗

そんな中で、既に書いた3回目の転倒を起こしてしまったのは大失敗であった。あの転倒は12月2日のことだった。ブロック注射を打ってもらった4日後のことだった。かなり効果が出て来て、気持ちが舞い上がっていたのか、油断していた矢先のことだった。腕(肘)と足(膝)に大きな傷を負って、その時の転んだ衝撃が強くて、一時はあれだけ痛みが治まってきたのに、一旦はリセット、元に戻ってしまう程の失態となった。

転倒して怪我をした時の写真。膝の傷
膝の部分はこんな状態。現在でもかなり痛む。
転倒した際の肘の怪我の写真
肘のは傷はこんな状況。かなり痛かった。

そうは言いながらも、流れは確実に改善に向けて動き出してきたことには間違いなかった。

僕は、先ずは右足から始めて、しばらく後に今度は続けて左足にもブロック注射を打ってもらえるものだと信じていたのだが、M先生は必ずしもそういう風には考えていなかったようだ。あれはステロイドなので少し時間を空けた方がいいとおっしゃる。先ずは効果を見極めたいと。

2回目のブロック注射(左足)は2週間後だった

右足の効果がかなり認められたので、左足にもブロック注射を打ってもらうことになった。右足からちょうど2週間後の12月13日のことである。前回の初めてのブロック注射はかなり恐ろしいイメージが残っていて、終わった直後には、もう2度とブロック注射はごめんだと思っていた程だったが、その効果がこれだけ大きいと、そんなたわごとは言っていられない。

不思議なことに楽しみでならなくなっていた。

そんな心境で臨んだ2回目のブロック注射。こちらも2回目で勝手が分かっているので、非常にスムーズに進んだ。針を刺されて神経を探るのも今回は1回目よりもズッとスムーズで3回ほどで神経にたどり着くことができた。あっという間のことだった。

薬剤を注入されると、圧迫感はあるのだが、足だけではなく妙に気持ちまで安らぐのであった。

2回目のブロック注射の効果は

今回は1回目よりも効果が早めに現れた。その日のうちに効果が現れ、明らかに痛みが楽になったことが実感できた。1回目の前回は、注射を打ってもらったその日はあまり効果を実感できず、翌日から急激に楽になったのだが、今回はその日のうちから効果が実感できて、明らかに効き目が早かった。

但し、痛みは消えても足の脱力感と重み、足に力が入らないと言う点はあまり変わらなかった。

その翌日になって、更に効き目がテキメンに現れた。朝だと言うのに、痛みがほとんどなかったのである。昨日ブロック注射を打ってもらった左足が、嘘のように痛くない。力が入りにくいのは相変わらずだったが、何とスタスタと歩くことができた。全く信じられないことだった。嬉しくてたまらなかった。

その後もドンドン良くなってくる。1週間後あたりからはもう杖を使わずに歩く場面も多くなってきた。

痛みはほとんど消えてしまったのだ。後は足の脱力感と力が入らないことだけが残っていた。

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足の脱力感と力が入らない点も少しずつだが確実に改善へ

最後の最後まで残った点は、はやり足に力が入らないという一番の難題だった。足に力が入らない。足の脱力感と何とも重たい足。それもいつの間にか、少しずつだが、確実に改善してきたことが実感できるようになってきた。

具体的にはこんなことができるようになってきたのだ。列挙する。

➀足の指を左右共にしっかりと内側に折り曲げることができるようになってきた。
 分かりやすく言うと、足の指でグーを握れるようになってきたのである。以前は全く曲げることができなかったのだが、少し曲げられるようになって、やがてありったけ力を入れて内側に曲げることができるようになった。

②その逆もできるようになった。すなわちパーのように足の指を外側に広げることができるようになった。

③それらができるようになったことで、足の指でジャンケンのグーもパーもどちらも自由自在にできるようになった。

④更に、足の親指を持ち上げて、隣の(足の)人差し指に被せて折り曲げることもできるようになった。これで足の指がほとんど自由
自在に好きなように動かし、力も入れられるようになったことになる。

⑤布団の中で横を向いて寝ている際に、上側にある足を自由に上に持ち上げることができるようになった。これが全くできなかったこ とは中編で書いたとおりで、寝ている時にはこれが辛くてたまらなかったのだが(寝返りが打てない)、これがいつの間にかどれだけでも自由に上げられるようになった。

⑥座っている時に「貧乏ゆすり」を自由にできるようになった。これも今まではどうしてもできなかったのだ。貧乏ゆすりというのは足のつま先で支えながらやるものだったのである。今までは意識をしたこともなかったが、足の指先で支えられないと足全体を小刻みに動かすなんてことは到底できない代物だった。これが自由にできるように。何とも快感だった。

こうなってくると、足に力が入らないという点も少しずつだが、改善に向かっていることを実感できるようになってきた。

新年、遂に階段を自力で登れるようになる!

遂に待望の日が訪れた。

新年1月3日。明日から仕事に行かなければならないという年末年始休暇の最終日、今まで全く不可能だったことができるようになったことを確認できた。思い切って、我が家の階段を杖はもちろん、手摺りを一切触らずに自分の足だけで上がってみようとトライしてみる。少しよろけたが、何とそれができたのだった。

これは今まではどうしてもできなかった。自宅の階段は元々急なので到底無理だったのだが、ホンの5センチメートル程の段差も足だけで支えることはできず、登ることができなかった。

それが遂に、我が家の急な階段を自力で登ることができるようになった。この時の感動といったらなかった。

もうビックリして、慌てて女房を呼んでくる。ねえ、見てみて!と。

手摺りを使わずに自力で階段を3~4段上がることができて、そのまま向きを変えて、下まで降りることもできた!

それを女房の前でやって見せて、あまりの感動に二人で抱き合って大喜びをしてしまった。

我が家の階段の写真。ここを手摺りを使わずに自力で登れたのだ。その階段の写真である。
これが実際の我が家の階段、この4段ほどを自力で登ることができたのである。

職場でも杖を使わずに歩いている

こうして嬉しい新年となった。職場ではもう杖を使わずに歩いている。垂直移動ではどうしてもエレベーターを使ってしまうが、これも時間の問題で、いずれ階段を自由に昇り降りできるようになるだろう。

この時点で、まだできなかったことは1点だけだった。足のつま先だけで立つこと、いわゆるつま先立ちである。これは元々一番困難なことで、何度かトライしてみるのだが、それこそホンの1ミリたりとも踵を持ち上げることができなかった。これは相当な難関で、階段を昇り降りできるようになった後でも、中々できなかったのである。

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1月15日(土)、遂につま先立ちもできるように

その日は直ぐにやって来た。遂につま先立ちまでできるようになった。トライすると、さすがにフラフラするが、何とか踵を持ち上げることができるようになってきた。ホンの数秒で踵を突いてしまうが、何度かやっているうちに、しっかりとつま先だけで立っていることが可能になった。

こうして足の脱力感、足に力が入らないという難問も何とか克服が近づいてきた。一挙にここまで来た。改善し始めると今までできなかったことがドンドンできるようになってくる。このことにあらためて驚きと喜びを隠せない。

あんなに長いことできなかったことが、今では普通にできるようになってきた。一時はもう一生この足は治らない、一生杖をついてヨチヨチ歩くしかないと諦め、半ば自暴自棄に陥っていた時期もあったのだが、こうして目に見えて一挙に改善され、快復してきた。

痛み止めも1月13日(木)から一切服用していない。それが正しい措置なのかM先生に確認しなければならないが、痛まない以上あの強いリリカを飲むことはできるだけ避けたいと考えている。

そのせいか多少痛むことがあるのだが、足の力は確実に戻って来ている。

先生始め支えてくれた全てのスタッフと、とりわけ女房に感謝

思えば、最初に発作に襲われたのは昨年(2021年)の9月下旬であった。あれから3カ月強、漸くこの脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の苦しみから逃れる兆しが確実に見えてきた。

まだ油断は禁物だが、3カ月経過してここまで快復してきたことを素直に喜びたい。そしてM先生、N先生始め病院の僕を支えてくれた全スタッフ、そして何よりも僕の身体が自由にならないことで心配に心配をかけ、従来まで僕がやっていた家の用事や雑用を一手に担ってくれ、いつも変わらずに支え続けてくれた女房にこの場を借りて、心より深く感謝したい。

まだ完治したわけではない。油断をして、再発することのないように注意することはもちろんであるが、どうか再発しないようにと心の底から祈らずにいられない。

 

☟ この間、脊柱管狭窄症に関する本はかなり買い込んだが、一番勉強になって参考になったものは、以下の1冊。
  脊柱管狭窄症に効果のある体操の本を何冊か購入したが、M先生からは痛みの出ているときには体操などはするべきではないと言われ役に立っていなかったが、これだけ改善してきたこれから役に立つものと思われる。

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