目 次
コンビニで見かけた「ゴルゴ13」に惹かれた
つい先日、たまたま入ったコンビニ(セブンイレブン)で、ゴルゴ13の最新SPコミックス(第216巻)の「ゴルゴダの少女」に目を惹きつけられた。
帯が付いていて「Gの遺伝子を持つ少女、再び!!」というキャッチコピーに興味を持った。ゴルゴ13の遺伝子を持つ少女って、どういうことなんだろう。しかも「再び!!」とある。
もしかしたら、これはゴルゴ13の新たな「ルーツ編」なのではないか、そんな動物的な感が働いた。
迷わず購入し、早速読んでみると、これが滅法おもしろい。僕は非常に気に入って、久々に夢中になってしまった。
そして、思っていたとおり、この「ゴルゴダの少女」は「ゴルゴ13のルーツ編」と呼んでもいいものだった。
ゴルゴ13本人のルーツにダイレクトに迫るものとは違って、未曾有の特別な能力に恵まれた万能の天才少女が、実はゴルゴ13の娘ではないかというミステリーを背景に、その少女が事件に巻き込まれ、そこにゴルゴ13が登場して少女を救うというストーリーにたまらない魅力を感じた。
これが何ともおもしろく、興味は尽きなかった。
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こちらは続編で、1作目が更なる大傑作
「Gの遺伝子を持つ少女、再び!!」。そう、この「ゴルゴダの少女」はある作品の続編だったのだ。これはどうしても読んでみたいと調べたところ、1作目がズバリ「Gの遺伝子」という作品だった。
これを即座にネット注文。
この「Gの遺伝子」は「ゴルゴダの少女」を遥かに凌ぐおもしろさとミステリーの満ち溢れていて、感動してしまった。
ゴルゴ13を読んで感動させられたのは、本当に久々のことだった。



こんなおもしろい感動作を知らなかった自分が情けない限り。
まだ読んでいないゴルゴ13ファンがいたなら、絶対に読んでもらわないといけない作品であり、特別にゴルゴ13のファンでなくても、第1級のアクションとミステリー、更に少女の感動的な自分探しの物語に、誰が読んでも深く感動できる名作だと断言したい。
是非とも読んでもらいたく、今回取り上げることにした。
この2作を紹介する前に、ゴルゴ13と作者のさいとう・たかをのことを振り返ってみたい。
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ゴルゴ13が嫌いな「ゴルゴ13」ファン
僕は「ゴルゴ13」についてはかなり屈折した感情を持っている。
かなり読んで来ているし、相当詳しい方だ。だが、まかり間違っても主人公のゴルゴ13ことデューク東郷と、このマンガの基本的なコンセプトというか、物語設定は好きじゃない。
単刀直入に言うと、僕は「ゴルゴ13」の主人公であるゴルゴ13・デューク東郷が嫌いなのだ。だが、漫画としての「ゴルゴ13」には興味があるという屈折した読者である。
このことはこの「熱々たけちゃんブログ」でも何度か書いてきた。
過去のゴルゴ13に関する記事『「ゴルゴ13」の本当の魅力とは(さいとう・たかを第1弾)【2020年9月改定】』を是非ともお読みいただきたい。
金で人を暗殺するだけの男は許し難い
理由は明確だ。この超A級スナイパーのゴルゴ13ことデューク東郷は、思想信条なく金をもらって確実にターゲットを暗殺するだけの男。感情のかけらもない冷酷無比の殺人鬼なのだ。
これまでに殺した人間の数は1,000人どころでは到底済まない、稀代の殺人鬼である。
10年位前のデータらしいが、全巻を読んで死体の数を数えた愛読者がいたらしく、その人のカウントだと、5,000人を超えていたという話しもある。
暴力で問題を解決することは、僕の信条と根本的に異なる。そんな殺人鬼が英雄になっては困る。そういう意味では非常に困った漫画なのである。
暴力と銃による殺人を正当化する漫画であって、到底容認できない。
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だが、ゴルゴ13は非常におもしろい
それでいて、この「ゴルゴ13」はめちゃくちゃおもしろいのである。主人公のデューク東郷に共感できなくても、作品そのものに夢中になるということはあってもいいだろう。
何と言ってもシナリオというかストーリーが非常に練り上げられているし、絵も素晴らしい。
最後はゴルゴ13が依頼を受けたターゲットを必ず銃殺して終わるのだが、その背景に現代の最先端の国際情勢が反映されていて、非常に勉強になる。
世界中の戦争や紛争、もめ事を深く調査し、その最新情報を踏まえながら、そこに創作上の天才スナイパーによる暗殺を絡める辺りのストーリーは圧巻で、これはすごいな、と感心させられることは度々だ。
そういう意味では、このゴルゴ13という漫画は凄い作品なのである。
アクションの質から言っても超一級のアクション映画も観るのと何ら変わることはない。
このあたりが「ゴルゴ13が嫌いなゴルゴ13ファン」という次第である。
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作者のさいとう・たかをは死んでしまったが
ゴルゴ13を語るのに、今、忘れてはならないことは、作者のあの「さいとう・たかを」が約2年前に亡くなってしまったことだ。
2021年(令和3年)9月24日にさいとう・たかをは、膵臓がんのため、84歳で亡くなった。


「ゴルゴ13」は50年以上に渡って一度も休まずに連載されていたが、新型コロナウイルスの影響で、2020年5月に、初めて休載となったことは良く知られている。但し2カ月後の7月には再開したが、それから約1年後に、今度は作者のさいとう・たかを自身が死んでしまったということになる。
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作者が亡くなった後も連載が続く
ところが、作者のさいとう・たかをが亡くなった後も、ゴルゴ13は連載が続いているのである。もちろん現在も連載中だ。
さいとう・たかをが亡くなった際、ゴルゴ13を連載している小学館のビッグコミック編集部は「今後は、さいとう・たかを氏のご遺志を継いださいとう・プロダクションが作画を手掛け、加えて脚本スタッフと我々ビッグコミック編集部とで力を合わせ、『ゴルゴ13』の連載は継続していく所存です」と連載継続を伝えている。
元々、さいとう・たかをは存命中から、さいとう・プロダクションを設立し、漫画の制作にあたって、初めて分業体制を確立し、脚本部門を設立するなど、漫画家が個人の能力だけで漫画を作るという在り方を改め、大勢のスタッフによる作品制作を進めたのである。
それがすっかり定着している。
こうして作者の死後も、「ゴルゴ13」がさいとう・たかをの存命中と何ら遜色のないレベルで連載が続くという夢のような事態が現実のこととなった。
愛読者としてこれ以上、嬉しいことはない。
こうなると、「ゴルゴ13」は永遠に続くことになる。いつ終わりの日を迎えることになるのであろうか。
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ゴルゴ13の「ルーツ編」は全てが傑作揃い
現在、ゴルゴ13は、単行本(SPコミックス)は216巻まで出ており(2025年4月現在)、物語の数としては、実に651話(2025年5月まで)も作られている。
その中には数え切れない程の名作、傑作がひしめいているが、「ゴルゴ13嫌いのゴルゴ13ファン」として、最も魅力を感じているのは、いわゆる「ルーツ編」といわれている一連の作品群である。
「ルーツ編」とは一体何なのか
主人公のゴルゴ13ことデューク東郷は謎の人物であり、国籍も本名も何一つ明らかにされていない。ゴルゴ13に関するありとあらゆる個人情報は、世界中で誰も何一つ知らないという設定になっている。
したがって、この未曾有の超絶スナイパーがどこでどのように生まれ、どんな生い立ちをたどり、どうやってこれ程の殺人能力を身に付けたのか、そもそも彼の目的はなんなのか、一切が謎に包まれている。
正にゴルゴ13誕生のルーツ、出生の秘密を明らかにするテーマである。
何一つハッキリしているものはないので、そのゴルゴ13の正体そのものを探る物語が何作か作られ、それらが「ルーツ編」と呼ばれているわけだ。
その「ルーツ編」が8編ある。それ以外にも近いものが2作ほどあることはあるのだが。
それら「ルーツ編」は例外なく非常にスケールの大きな歴史物が多く、興味の尽きない傑作ばかりが揃っている。
更にこれらを興味深く、読者を夢中にさせるのは、これらのルーツ編を読んでも、デューク東郷の正体、出生の秘密は明らかにならないということなのだ。
謎が謎を呼ぶというか、ゴルゴ13その人の少年時代が描かれて、彼こそが後のゴルゴ13に違いないと思わせるのだが、最終的にはハッキリしない。
真相が明らかにされることはないのである。
誰が正真正銘のゴルゴ13なのか、判断は読者に委ねられている。この約10人の中の誰かかもしれないし、該当者はいない可能性すらある。
そこが読者を惹きつけて止まない最大の要因と言っていいだろう。
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ゴルゴ13「ルーツ編」の一覧表
発表された順に一覧表にしてみる。
『日本人・東研作』(第14巻収録) ゴルゴ13の正体「東研作」
『芹沢家殺人事件』(第27巻収録) ゴルゴ13の正体「芹沢五郎」
『おろしや間諜伝説』(第36巻収録) ゴルゴ13の正体「アレクセイ・スメルジャコフと小柳美沙の息子」
『蒼狼漂う葉て』(第41巻収録) ゴルゴ13の正体「五島貴之」
『毛沢東の遺言』(第51巻収録) ゴルゴ13の正体「東郷狂介」
『河豚の季節』(第57巻収録) ゴルゴ13の正体「東郷英治」
『すべて人民のもの』(第81巻収録) ゴルゴ13の正体「グレゴリー・皇子・東郷=ロマノフ」
『禿鷹伝説』(第86巻収録) ゴルゴ13の正体「東堂高志」
本当にワクワクドキドキさせられる稀有な傑作ばかりである。
【後編】に続く
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