目 次
経営改善のためになぜ看護師長が重要なのか?
看護師が覚醒すれば病院は変わる、変えられる。そして救うこともできる。
だとしたら、看護師長の役割の大きさはあらためて言うまでもないだろう。多数のナースを取りまとめ、指導する立場の看護師長の役割はとてつもなく大きい。
僕は若い一看護師にも経営を意識することを求めてきた。いわんや看護師長をやである。
看護師長が経営のことを理解し、現在、自分が働いている病院の経営がどういう状態になっていて、どこに課題と問題点があるのか、それを正確かつ的確に理解していないようでは話しにならない。
そしてそんな発想で日々の看護業務や事務処理を推進していかなければならないことを、しっかりと(若い)部下のナース達に指導していかなければならない役割を担っている。
これ以上重要な役割があるだろうか?
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実際に看護業務がどう変わるのか?
看護師が病院の経営の実態や状況などを知ることで、どう業務内容が変わってくるのだろうか。
これは様々な局面で直ぐに影響を及ぼす、つまり業務内容が変わってくる余地があるのだが、具体的に列挙し始めるときりがないので、基本的なことに絞って具体例を挙げてみることにしよう。
看護業務が変わってくる一例(具体例)
病院の経営実態を把握する大前提として、先ずは病院の置かれた医事的な基本データをしっかりと頭に入れてもらう必要がある。これすら頭に入っていないとしたら、かなり深刻で、問題が根深いので十分に心してほしい。
例えば、当該病院の現在の病床稼働率、入院患者数、平均在院日数などは当然のことで必須事項。
そしてDPC病院であれば(急性期病院の多くはDPC病院だと思われる)、DPCの基本はしっかりと理解しておくことが必要だ。それを知っているか知らないかで、入院患者との向き合い方も自ずから変わってくる。
今、自分の目の前にいる入院患者が、入院してから何日経過しており、あと何日入院が続けば、入院料がいくらになるのか、何日目から基本入院料が激減し、いくらになってしまうのか!?
その点を意識するのとしないとではまるで働き方が変わってくる。少しでも早めに転院を考えるのであれば、自分としてその患者にどのような看護を提供しなければならないのか、全て変わってくるはずである。
ただ漫然と与えられた看護業務をこなしているだけでは、もはや済まされないのである。
クリニカルパスがDPCとの日数との関係で作られていなければならないことは当然のことであり、その連動を意識しないパスなどあり得ない。そういう意味でも、目の前の入院患者の入院後の日数は極めて重要な意味を持ってくる。それを日々意識して患者と向き合い、働いているのかどうか!?
全てのナースがそういう意識で働き始めたらどうなるだろうか?病院の経営は様変わりしてくるのである。
看護師が経営面に覚醒すれが、病院が変わるということは、そういうことだ。
そこを目指す必要がある。そしてそれをドンドン積極的に推進し、意識の足りない看護師の意識改革を促す役割を担っているのが看護師長というわけである。
事務が経営を考えるのは当然、これからは看護師
事務職が病院経営を考えることは、もはや当たり前のことだ。
僕は長年の事務長職の経験の中で、どこの病院でも強く訴えてきたことは、病院の事務職が果たすべき役割は「病気に陥った病院を救うこと」にあるということだった。「病気に陥った病院を救うための処方箋を書く」ことが事務の使命だと、繰り返し訴えてきた。
全国どこでも病院の経営がここまで悪化し、経営難に陥った今となっては、そんな発想はもはや当たり前のことかもしれない。それを理解できない事務職などは不要だと断言したい。
それは当たり前過ぎる。それを理解できない事務職は即刻退職すべきだ。パワハラだと訴えられそうだが・・。
これからはナースがそれを担う。事務職に続いて看護師が覚醒しなければならない。そうしないと病院は救えない。存続できない。
看護師が経営のことを考える時代の到来だ。その意味で看護師長の果たすべき役割は限りなく大きい。
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具体的な取り組み策
先ずは、病院の目指している方向性を理解して、病院幹部とのベクトルを合わせることが最優先となる。
どんな病院でも病院が目標として掲げている経営上の各種の数値目標があるはずだ。それこそ全国どんな病院でも「理念と基本方針」は定めてあるので、それを具体的に実現するためのもっと細かい数値目標などを設定しているはずだ。
自治体病院であれば総務省が定めた「経営改善のための中期目標」(4カ年計画)というもの義務付けられており、様々な数値目標が設定され、なおかつ外部に対しても公表されている。似たようなものがどの病院にもきっとあるはずだ。
病院の予算や事業計画を正確に把握
最低限どんな病院であっても、その年(年度)の予算(事業計画・経理計画)は作られているだろうから、収益に対してその基礎としての目標稼働率や入院と外来の診療単価を元に年間の医療収益額の目標は、必ず定められている。
その内容を正確に知ることがスタート地点である。
この予算や事業計画の内容を、看護師など医療職が正確に認識することは、これらの資料作成が、事務屋による事務屋だけの密室作業になることを防ぐためにも、非常に重大な意味を持つことなので、しっかりと把握してほしい。
そして、もう一つ重要な点は、それに加えて、やっぱり我々の職場は人の命を救う非常に尊い責務を担っているわけで、財務や黒字赤字だけを意識して働くことはおかしい。本末転倒のそしりを免れない。
そこでBSCの登場となる。バランスコアカードだ。
BSC(バランススコアカード)の有用性
BSC(バランススコアカード)を導入している病院はかなり多いのではないかと思っている。
但し、BSCは一時、どこの病院でも導入が図られたものの、結局はすたれてしまったという病院も多いと聞いている。あるいは制度だけが残り、非常に形骸化した形で受け継がれている病院も多いことも聞き及んでいる。
だが、僕はBSCを非常に高く評価し、どこの病院でも大切に扱ってきた。

BSCという仕組みに振り回されるのは本末転倒だが、その基本的な発想と考え方、理念には全くもって賛同するしかない。病院という職場では様々な視点に配慮しながら、バランスを取って業務推進していく必要があるという発想は、絶対に間違っていないので、その基本的な考え方はどうしても意識してほしいと考えている。
そこで、BSCの基本的な考え方と理念を少し紹介しておきたい。
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BSCの具体的な内容(基本)
これがBSCの基本の基本となる。


病院としてBSCの導入を決めているのなら、病院の事業計画も重点目標もこのBSCが土台になっているはずである。その病院が定めたBSCを、それぞれの部署が、病院目標を達成させるために部署のBSCを作成し更に部署内に転換させていく。
これが基本的な考え方で、こうすることで病院全体の進むべき方向性のベクトルも合致することになる。


看護師長はBSCの良き理解者で推進役
看護師長は当該部署の所属長として、自部署のBSCを作成することになるわけだが、ここで重要な点は師長が師長室なり部屋の中にこもって作っても意味がなく、当該部署に所属するスタッフ全員と意見交換しながら作成していくことが重要である。
その際に、適切なアドバイスをしてもらうことが不可欠となってくる。先ずは師長が病院の掲げた目標(病院のBSC)と、BSCそのものの発想と基本的な考え方を十分に理解し、部下に対して適切なリーダーシップを発揮して指導してもらう必要がある。
看護師長にはBSCの良き理解者であり、現場の推進役となることが期待されている。
これが経営改善の要となる看護師長の重要な役割となってくる。
【後編】看護師の覚醒が病院を救う③に続く