とんでもない映画を観た
とんでもない映画を観てしまった。
往年の名女優というよりも、アイドルスターに近かったあのデミ・ムーアの久々の主演映画としてかなり話題にもなった。デミ・ムーアと言えば、あの「ゴースト/ニューヨークの幻」のヒロインとして一世を風靡したアイドルスターである。
認知症にかかって俳優業を引退したあのブルース・ウィリスの元妻としても有名だ。
そのデミ・ムーアも現在63歳。久々の主演が、この60歳を超えた年齢、最盛期の美しさが失われた60代ということが映画のテーマそのものになっていることなど、色々と伝わってきていた。
凄い映画、衝撃的な内容だという喧伝が断片的に耳に入ってくる。ジャンルはホラーだという。ただのホラーではなく、美と若さとルッキズムを描いた作品だと認識していたが、僕は映画館でもディスクでも観ておらず、詳しいことは何も知らなかった。
かなりの話題作となって、主演のデミ・ムーアへの絶賛がある一方で、よくこんな衝撃的な問題作に出演したものだと揶揄するようなコメントも見聞きしていた。
詳細は後述するが、キネマ旬報ベストテンでも高位置に付けており、観なければならない映画にカウントしていた。
これもまたアマゾンプライムで見放題
この「サブスタンス」がまたアマゾンプライムで見放題になっている。プライム会員であれば無料で見放題という奴だ。
早速観てみた。僕はデミ・ムーアは好きな女優でもあった。
で、大変な衝撃を受けて、しばらく口が聞けなくなった。
観る前からブログで取り上げるつもりでいたのだが、ヤバい、これは何も書けない。書いちゃいけないと痛感させられ、そのあまりの衝撃からしばらく立ち直れなかった。
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今回は何も書かないと決めた
だから、今回はこの映画そのものについては、ほとんど何も書かないことに決めている。
書き始めると大変なことになりそうだし、この映画を観る人にとっては、一切の事前情報と先入観なしで臨んだ方がいい。
その結果、どうなっても責任は取れないが・・・。


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映画の基本情報:「サブスタンス」
フランス・イギリス・アメリカ映画 142分(2時間22分)
公開 イギリス・アメリカ 2024年9月20日 フランス 2024年11月6日
日本 2025年5月16日
監督・脚本・編集:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド他
【受賞】
第77回カンヌ国際映画祭 脚本賞:コラリー・ファルジャ
第82回ゴールデングローブ賞 主演女優賞:デミ・ムーア
第97回アカデミー賞 メイクアップ&ヘアスタイリング賞
デミ・ムーア 主演女優賞ノミネート
キネマ旬報ベストテン(外国映画):2025年度 第99回 第5位
読者選出ベストテン 第4位
※評論家からも一般観客からも非常に高く評価されたことが分かる。
※全くの偶然だが、前に取り上げた「宝島」と全く同じ順位。これは奇妙!
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どんなストーリーなのか
ごく簡単に触れておく。この部分を話しても問題はないだろう。
往年の人気女優のエリザベス・スパークルは50歳となり、長年レギュラーとして指導を務めてきた人気エアロビクス番組から突然降板されてしまう。50歳を迎えかつての美しさと若さが失われてしまったせいだった。


自らの美と若さの喪失を痛感させられたエリザベスは、あることを契機に怪しげな若返りの薬に手を出してしまう。その結果、見事に若さと美貌を取り戻し、生まれ変わりに成功するのだが・・・。




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一切のコメントを封印したい
この映画のことはこれ以上は何も書けないし、書きたくもない。
ホラーとはいっても、かなり真摯な映画ではある。
テーマはあまりにもハッキリし過ぎている。若さと美貌を求める人間の狂気と暴走ということに尽きる。ルッキズムへの批判と言ってもいいだろう。美を売り物にする過度な商業主義への怒りでもある。

それは直ぐに分かるのだが、その表現方法があまりにも衝撃的過ぎる・・・。
簡単に言えば、「そのテーマは、ここまで描かなくても伝わるでしょ」っていうことだ。ここまで描いてしまったことに僕は言葉を失い、しばらくの間、脳が麻痺してしまった。
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監督・脚本のコラリー・ファルジャについて
このとんでもない映画を作ったコラリー・ファルジャのことについては少し触れておきたい。
この凄まじい映画を観て、これを作ったのがまだ若手の女性監督だと信じてもらえるだろうか。コラリー・ファルジャはフランスの映画作家だ。この「サブスタンス」では監督・脚本だけではなく、編集もこなし、製作の一員も担っている。
1976年の生まれなので、現在49歳。この映画を作ったときに47歳の若さである。



今回の「サブスタンス」は、コラリー・ファルジャによる2本目の長編映画で、最初の作品は2017年製作の「REVENGE リベンジ」である。
僕はこの「REVENGE リベンジ」を軽い気持ちで観て、衝撃を受けたことを忘れられない。

過激なアクションと血に満ちた異様な作品だった。だが、そのスタイリッシュでセンスのいい映像が妙に気に入って、この人はこれからどんな映画を作るんだろうと非常に興味を持った。その待望の2作目が「サブスタンス」だったわけだ。
なるほど、あの監督ならやりかねないなと、得心がいった。
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キューブリック始め、鬼才監督へのオマージュ
僕はこの映画を観始めて、直ぐに画面に釘付けとなった。その映像センスがただ事ではなかったからだ。
必ずしも褒めているわけではない。奇をてらったこれ見よがし。いかにも思わせぶりな仰々しさに満ちていた。それでいて、ワンシーンワンシーンに引き込まれ、ただならぬ映画の予感がヒシヒシと伝わってくる。
実は僕が熱愛しているスタンリー・キューブリックとクローネンバーグを思わせる映像のオンパレードで、それだけで胸が高鳴った。
キューブリックの「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」を彷彿とさせるシーンがあっちこっちに出てくる。クローネンバーグの「ザ・フライ」へのオマージュも一目瞭然だった。
ここまであからさまにパクられると爽快なくらいだった。最初のうちは・・・。
いずれにしても、この人の映画マニアぶりと映像への拘りは半端ない。その点は高く評価したい。
デミ・ムーアにはリスペクトを捧げたい
かつてのアイドルスターが良くぞこんな映画に出演したものだ。それだけでもビックリだが、デミはこの映画で大絶賛され、ゴールデングローブ賞の主演女優賞に輝いたばかりかアカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた。
受章こそならなかったが、これは大変なことだ。年齢を重ねて若さも美貌も失って焦り、あがく姿はデミ・ムーアそのものの姿でもある。まだまだ十分に美しいと補足しておきたいが。
この過激な映画に思い切って出演し、新たな栄誉を獲得したことは素晴らしい。
強靭な女優魂を見せてくれた。若さを失ってもしっかり輝けることを身をもって示してくれたことはリスペクトに価する。
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後は沈黙を守りたい
悲しくて、やりきれなくて。
ハッキリ言って狂った映画。最高だが最低。いや、最低だが最高と言うべきか。
観ない方がいい映画だが、観ることを強く勧めたくもなるめちゃくちゃな映画。こっちまで支離滅裂になってくる(笑)。
観るな!観ちゃいけない、こんな映画は。
それでも観たい人だけが、観ればいい。気軽に観ると、大変なことになる。
責任は取りかねる。自己責任でどうぞ。